![]() | 働きながら書く人の文章教室 (岩波新書)小関 智弘岩波書店このアイテムの詳細を見る |
東京・大田区周辺の町工場について、ルポや小説を書き続ける人。
著者は一本筋が通ってる。
切実に伝えたいテーマを持ち続けている。
書き手としての姿勢には文句のつけようがないと思う。
プロレタリア文学的目線と民族学のような情報収集方法。
かなり共感できる部分があった。
尊敬もできる。
しかし、憧れには至らなかった。
何故か。
マクロに見ると、著者の視線は後ろ向きだからだ。
失われているものの儚さ・不条理はわかる。
しかし、著者が書き続けている対象は必要悪であり、文明の進歩の一面でしかない。
著者の目的は「告発」ではなく、「伝えたい・残したい」であることは明確だけど、
僕は読者として、著者の視点の偏りを感じざるを得なかった。
それと同時に、小関智弘氏が書く日本社会は、それのバランスにとって必要であるとも言える。
誰がが純度の高いものを書かないと、
まるで最初からなかったかのように消え去ってしまうから。
本当は、視線の偏りなんかじゃなくて、本物を目にしてビビっただけか。
悔い改めよ。