よしべや自然博物館

2022年11月の月蝕を契機に電視観望を始めました。
通信販売とSNS頼りに頑張ります。
天文初心者の悪戦苦闘の記録。

電視観望の記録061(おおぐま座 超新星 2023ixf)

2023-05-23 06:00:00 | NGC天体他

おおぐま座 超新星2023ixf(SN 2023ixf)

超新星(Supernova、スーパーノバァ)とは、大質量の恒星や近接連星系の白色矮星が大規模な爆発(超新星爆発)によって輝く天体のこと。

命名法は、SN 西暦(4桁)順番、で、SN 1987Aは1987年に最初に発見された超新星となる。

イアン・シェルトンさん他により発見されたSN 1987Aの超新星爆発は、発生したニュートリノが日本のカミオカンデで検出され、ニュートリノ天文学の幕開けを告げた。(NHKの銀河宇宙オデッセイで大々的に取り上げられた。)

このカミオカンデの活動成果により、2002年小柴昌俊さんはノーベル物理学賞を受賞している(以上Wikipediaより)

超新星爆発というのは、大変興味深い天体現象といえる。

 

SN 2023ijd観望に失敗したが、ネットで関連情報を調べていると、新しい超新星のニュースが入ってきた。

SN 2023ixf(5月19日発見)。しかも、日本の伝説の超新星ハンター稲垣公一さんが発見したという。さらに2100万光年という比較的近い距離で起こっているので、SN 1987Aの時と同様にニュートリノなどの観測が期待されるらしい。

5月21日に電視観望を実施した。

SN 2023ixfは、M101回転花火銀河(記録056)内のNGC5461の近くにある。

FMA135をM101に向けると、写ったのは窓枠。メダカ部屋からの観望時期はやはり終わっていた。

VirtuosoGTiを窓枠からはみ出させ、そのへんのもので安定を取る。今度こそ写った!しかし電線も写っている。(以下5分省略)悪戦苦闘の末、画像⑤が撮れた。なお、電視観望中は、ライブスタック画面を300%に拡大し、初めての超新星に少し興奮気味に見入ることができた。

観望後のデータ確認でも悪戦苦闘は続く。FMA135と私の腕では、Twitterに皆さんが投稿しているようなひと目明らかな画像とはならない。AstapのAdd object position shortで、赤経と赤緯を表示させる。微妙に公式データと異なる。SN 2023ixfと思われる部分をドットがわかるところまで拡大し、赤経と赤緯を何度も表示させ消すを続けること20分、公式データに一番近いのが、画像①。公式データは「.7」の部分が、「.564」でわずかに違う。ベテランの方々なら、誤差かどうか判断できるのだろうが、判断のつかない初心者の私としてはこれでよしとした。くっつくぐらい少し上にNGC5461が薄ら写っているが大変わかりにくい。

画像①(QBPフィルターⅢ使用、画像④よりVGA切り出し)

画像②(画像①の元画像)

これで終われば良かったんだが、さらに苦難は続く。

記録056に超新星爆発前のM101が写っている。これは皆さんのように二枚比較して掲載したらいいと、考えたのが運の尽き。記録056の画像を再処理して、画像①に近い形に回転させる。比較すると画像②に微妙に写っているNGC5461が、青く小さく写っている。微妙に位置は異なるが、区別は難しい。色々考えて、ステライメージliteでコンポジット(画像③)。よく見るとSN 2023ixfとNGC5461がくっつきそうな感じで写っている。大きい方が、SN 2023ixf。拡大しないとパソコン画面でも見えにくい。

画像③(画像②と記録056の画像をコンポジットしたもの)

画像④(記録056の画像を回転処理、VGA切り出し、NGC5461の位置記入)

 画像③と比較すると、NGC5461のすぐそばに超新星が出現していることが見とれる。

画像⑤(Astapで、プレートソルブ、α,δgrid表示、視野回転部分トリミング)

大変疲れたが、超新星が観望できて良かった。また、FMA135の限界がしれたようにも思う。普通にきれいな画像が撮れない分、苦労も多いが天体観測についての経験を深めることができた。終わってみれば、天体望遠鏡の分解能について考えさせられることも多く有意義であった。

画像⑥(wis-tin.orgによるSN 2023ixfのデータ)

 

参考資料

1)中西昭雄著「メシエ天体&NGC天体ビジュアルガイド」誠文堂新光社

2)浅田英夫著「エリア別ガイド 星雲星団ウォッチング」地人社館

3)Askar 『FMA135』 口径30mmF4.5 EDアポクロマート鏡筒

4)Player One Neptune-C Ⅱ | 株式会社サイトロンジャパン

5)天体望遠鏡セット「VIRTUOSO GTiシリーズ」| Sky-Watcher

6)Quad BPフィルター III | 株式会社サイトロンジャパン

7)M101~Wikipedia

8)AstroArts-メシエ天体ガイド:M101

9)超新星 - Wikipedia

10)電視観望の記録056(おおぐま座 M101回転花火銀河)

11)星が好きな人のための新着情報

12)SN 2023ixf | Transient Name Server

13)M101の超新星2023ixf by 銀河☆ - 天体写真ギャラリー~アストロアーツ

 

撮影データ

2023年5月11日晴れ所々雲
メダカ部屋観測所
おおぐま座M101渦巻銀河内SN 2023ixf
FMA135+Neptune-CⅡ+Virtuoso-GTi+QBPフィルターⅢ
FMA135ヘイリコイド位置53
SharpCapPro4.0でライブスタック、Save exactly as seenでpng保存
Raw16、Area2712x1538、Offset=120、Gain=380
Exposure=15s×71frames=1065s
ホワイトバランス(AUTO)、ダーク補正(あり)
Astapで、fitsファイルをプレートソルブ、自動色補正(Low+)、α、δgrid表示、Deepsky annotation処理、Add object position short処理、jpeg保存
Microsoftフォトで、スポット修正・色・明るさ調整、トリミング等