「甘味辛味」著・藤沢周平
「民田なすという小粒のなすびがある。これは炎天下に三度もたっぷり水をやる。それが旨味のもとだったのが、いつの間にか化学肥料にまかせて、骨の折れる水運びはやめたらしい。従って以前のようにおいしくなくなって、形だけの民田なすになったが、それが解っても、昔の水運びに戻ることはもう出来ないだろう」
藤沢周平が亡くなって、今日で15年になる。山形出身の彼は農村・農業の将来に大きな不安をもっていたようだ。
「民田なすという小粒のなすびがある。これは炎天下に三度もたっぷり水をやる。それが旨味のもとだったのが、いつの間にか化学肥料にまかせて、骨の折れる水運びはやめたらしい。従って以前のようにおいしくなくなって、形だけの民田なすになったが、それが解っても、昔の水運びに戻ることはもう出来ないだろう」
藤沢周平が亡くなって、今日で15年になる。山形出身の彼は農村・農業の将来に大きな不安をもっていたようだ。