百姓通信

自然と素直に向き合い、全身で風を感じて私は百姓しています。
①土づくり②循環型③無農薬・無化学肥料④永続性を大切に!

豚肉の未来

2021-01-30 20:46:20 | Weblog





日本における養豚の現状として農水省のHPには「生産量については、平成2(1990)年度の154万tをピークに減少しましたが、平成23(2011)年度は128万tと平成12(2000)年度の126万tに比べて僅かに増加しています。」と掲載されている。
対して「豚肉の消費仕向量は、増加傾向で推移し、平成2(1990)年度の207万tから平成23(2011)年度の246万tに19%増加しています。」とあるように今や食している豚肉の1/2は輸入に頼っていると言える。
また、日本における豚の飼養頭数の推移をみると、「平成2(1990)年に1,182万頭まで増加しましたが、平成12(2000)年には981万頭まで減少し、以降は、980万頭程度で推移して」あり、現在は918万頭(2018年)と減少傾向は継続している。
また、平成30年7月3日に農林水産省が公表した「畜産統計」によると、同年2月1日現在の豚の飼養戸数は、前年から200戸減少して4470戸(前年比4.3%減)となり、依然として減少は続いている。
2015年のTPPの農産品をめぐる日米協議では「豚肉の関税のうち最も安い部位にかかる関税が、1キロ当たり482円から最終的には50円まで引き下げられる案が有力」とされており、当時、日本養豚協会の志澤勝会長は「日本の豚肉の相場は、安く輸入された豚肉の価格に合わせて大幅に下がる。日本の養豚業は生産コストや環境コストがアメリカと比べ高く、その(下がった価格の)レベルで生産できる人は少ない。結果として日本の生産者は半分くらい止めてしまうかもしれない」と懸念を示していたことが思い出される。

2019年12月論座で山下一仁氏は「豚肉については、特殊な関税制度によって関税が下がっても、今までと同様の価格で輸入される仕組みになっているので、関税削減・撤廃の影響はない。」と述べており、
実際は特殊な関税制度を用いているようで、一部では養豚農家の平均年収は2,000万円とも言われている。
誰が得をして、誰が損をしているのか?
そういう議論ではなく、「豚肉の未来」をみんなでどう考えるか?「日本の食の未来」をどう考えるのか?「自国の“食”を他国に委ねた国の行末」をどう捉えるか?が大切な時代を迎えている。
昨年6月コロナ禍で国産並びに輸入豚肉が高騰した、当時巣ごもり需要によるものと言われたが、一昨年前は「アフリカ豚コレラ」で高騰した。そんな中、米中貿易戦争で中国は米国への対抗措置の一環として、米国産の豚肉、さらには豚の餌となる大豆にも高い関税を課した。当然のことながら、養豚農家にはコスト高となって跳ね返ってきて、養豚をやめる農家が急増したと言われており、自然に影響されることは「農業」ゆえしょうがないが、政治に左右されるようでは“豚肉の未来”はなかなか厳しい。

畜産の将来

2021-01-30 20:27:12 | Weblog




畜産は、現在、購入飼料の高騰や持続可能な社会形成への課題となるふん尿の廃棄やストレスの少ない新しい肥育方法(アニマルウェルフェア)へのチャレンジが問われている。
また構図とすると肉畜農家に対する大企業の支配が強化され,農家はその従属下におかれ、経営的にも厳しい中、畜産経営に対する農家の不安感が発生してきている。
コロナ禍の下、乳製品でも課題が山積している。鮮度が問われる生乳の生産量は需要の多い夏場に少なく冬場に多い、国内の生乳は消費期限の短い順に、まず飲用として出荷。次が生クリームやチーズなどの乳製品。生乳を分離して作るバターと脱脂粉乳は保存期間が数カ月あり、最後に位置づけられているが、今回巣ごもり需要でチーズやバターの品不足が続いた。かたや学校給食や外食産業が使用しなくなった牛乳が余っているというのに、バター等乳製品を製造できる企業が限られていて、その後需要に応えられなくなっていたというのだ。限られた製造ラインで効率よく生産していく考え方は、世の中の変化にまったく対応できなくなっている、足りなくなれば輸入すれば良いという考え方は、世界が満たされてある場合は成立するが、穀物等の高騰が発生した場合、脆くも崩れ去るわけで、国内の状態だけでも整備しておかないと“食”の不安定が国民の精神の不安定を招くことになる。