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武蔵野物語 27

2008-03-15 19:01:04 | 武蔵野物語
坂を上りきった所で、お参りを済ませていない事を思い出し、写真も撮りたかったので、春日通りから近い湯島天神に戻った。
入り口の信号を右に曲がるとすぐ左側だが、通り越した左の下り坂あたりはホテル街になっている。
誠二は、その方向から湯島天神に入っていく二人連れを何気なく見ていたが、雅子と、この間店でみかけた男性だと分かると、後をつけていった。
二人はお参りを済ませると、舞台の踊りを観て、梅を背景に写真を撮っていたが、一緒の写真を撮って貰う事はしなかった。
混雑を嫌ったのか、30分もすると階段を降り、御徒町駅に向かって歩いていく様だった。
電車に乗って秋葉原駅で乗り換え、新宿方面に行く。やはり新宿駅で降りた。
京王線に乗り換えたが、店に行くには時間が早すぎる。
隣りの両に乗り込み見張っていたが、府中までは一緒だった。駅を出ると雅子は店の方に行き、男性はバス停に向かった。男性の正体を知りたかったので、顔は見られていないはずだから、すぐ後ろについて行き先の時刻表を覗いたが、武蔵小金井行きになっていた。
土曜日のこの時間は30分間隔だが、丁度よかった。
武蔵小金井駅南口寄りの少し手前で降りて、右方向に歩いていく。図書館や小学校がある辺りを左に曲がった所が自宅らしかった。中に入るのを見届けてから表札をみると、黒木と書かれてある。
ここからだと武蔵野公園や野川公園にも近く、誠二もよく散策に来ている場所だ。
住所もメモしておいて自宅に戻った。
近くに意外な人が住んでいたりする。雅子の家は多磨霊園駅から近い、と店で聞いていたので、府中を中心に円を描けば、点在している関係者がうまく収まる。
誠二はもう少し調べてから、ゆりこに報告しようと考えていた。
3月に入ってから暖かい日が続き、桜の開花予想も発表されたが、自分の周りは春の嵐が吹くのだろうな、と感じている。