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二人のこれから

日常を、つれづれに・・・

「ジヴェルニーの食卓」を読む

2019-01-29 | 読書

原田マハさんの「ジヴェルニーの食卓」を読みました。

株式会社 集英社発行2013年の作品です。本を手に取った時、うす紫の表紙にまず目がいきました。
これは・・・睡蓮・・・モネ・・・そういえば作者のマハさんは、過去に美術館で仕事をしたとあった・・・こんな流れでこの本を借りてきました。

 

 

この本は4つの短編 「美しい墓」・「エトワール」・「タンギー爺さん」・「ジヴェルニーの食卓」が収められています。


「美しい墓」は取材の形からはじまります舞台はニース、孤児の少女マリアは富豪のマダムの家政婦となり、白いマグノリアの花をもってマティスのところへお使いに行くところからはじまります・・・

「エトワール」は、メアリー・カセットという女性、印象派絵画を世界に広める今は画商となった晩年に、懐かしいドガの踊り子の絵に出合います。ここから物語が始まります。
若いメアリーは官展入選を果たすために、日々創作を続けていた、そんな時に画廊のショウウィンドゥのドガの作品に目をひきつけられる、それはエトワールと呼ばれるバレエの踊り子の絵、ドガの絵でした・・・

「タンギー爺さん」は、貧乏な画学生に画材を掛けで売ってくれる気の良い画材屋でした。その娘の書簡から物語が綴られていきます。娘が手紙を送ったのはセザンヌでした・・・ここから物語が展開します。

最後の「ジヴェルニーの食卓」はモネの愛した地シヴェルニーの家を舞台にモネの義娘ブランシェを通しての生活が描かれます。
食事の風景やメニューがでてきて楽しめました。読んでいるうちにマハさんの巧みな筆致にっ引き込まれて、私の頭は虚実ないまぜ・・・勿論小説ですから本当のことばかりではないのはわかっていますが。

マハさんは美術関連のキュレーターという仕事をされておられたとか・・・
キュレーター?でしたが、展覧会を企画立案し、全体を導く役割をになう人だとか、さもありなん・・・
下地にそういう知識をお持ちの方だったのですね。

とても興味深く読みました。何度もおなじところを読み返したり、読み終わってもう一度読んだり・・・私にとっては、手元に置いておきたい本でした。 


総理の夫(First Gentleman)を読む

2019-01-25 | 読書

原田マハさんの「総理の夫」を読みました。
株式会社実業之日本社発行 2013年発行の本です。月刊「ジェイ・ノベル」に2011年4月から2013年4月まで掲載されたものだそうです。

  

 

20xx年、相馬凛子は42歳にして第111代総理大臣に選出された。夫である私・日和(ひより)は鳥類研究科でありながらファースト・レディならぬファースト・ジェントルマンとして妻を支えようと決意する。

以前から「野鳥観察日誌」をつけていた日和は、この日(妻凛子が総理大臣に選出された日)から妻凛子の「神秘」を書き残そうと決心する。

史上初の女性総理として国会で指名されて、夫日和の生活も変わります。職場の皆で祝杯をあげようと計画しているところへ母が迎えに来て、実家で祝宴となります。自宅へ戻って、そこへ戻った妻は朝出ていく時にみせてくれた輝く笑顔のままで、そして言う「よかった 長い一日の最後に、日和クンがいてくれて」
こうして、日和の日記がはじまります。

ここから、止められない止まらない勢いで私は読み続けました。
作者のマハさんは、前に読んだ「まぐだら屋のマリア」や「太陽の棘」とは又違うパターンで読者を引き付けます。
本当にこんな総理大臣が出現しないものかしら・・・と思えるほど凛子総理は、美しく・気高く・鋭く・そしてまっすぐ・・・

小説だよ・・・と自分をなだめながらも、こんな政治家が、出てきてほしい!と思いました。
ますます、原田マハさんの本に魅力を感じています。 


太陽の棘を読む

2019-01-16 | 読書

原田マハさんの「太陽の棘」を読みました。文芸春秋発行 2014年の作品です。
先日「まぐだら屋のマリア」を借りにいった時に、たまたまそばにあったというだけで、どんな本がという予備知識もなく借りてきた本です。

最初のページに

    私たちは、互いに、巡り合うとは夢にも思っていなかった                     

                      ーーーースタンレー・スタインバーグ

                                      と、ありました。 

小高い丘の上の診療所、精神科のドクター・ウィルソンの回想から物語が始まります。

24歳の医学修士号を取り立てのウィルソンは戦後の沖縄に軍医として出向くことになる。


 

原田マハさんの本に引き付けられて、一気に読みました。沖縄の太陽・紺碧の海・緑深い森が目に浮かんできます。
そのなかでの人間模様・・・心と心がぶつかり、ニシムイという画家たちの家での物語が紡がれていきます。
貧しい画家たちの仲間に対する上官の許せない行為を知った主人公は火の玉!になります・・・

是非読んでいただきたいと、おすすめします。
こころをゆさぶられる一冊でした。

裏表紙の筆致のしっかりした絵は出合った沖縄の画家の自画像で主人公にプレゼントされたものです。
実在の人物で玉那覇正吉さんという画家・本の最初のページにあったスタンレー・スタインバーグさん、この二人のことは本当のこと、それ以外の人物・イベントはすべてフィクションと作者の対談にありました。 


まぐだら屋のマリアを読む

2019-01-10 | 読書

 久し振りに図書館へ出かけました。
原田マハさんの「まぐらだ屋のマリア」・「太陽の棘」の2冊を借りてきました。

 

 

まず「まぐだら屋のマリア」2011年 幻冬舎発行 を、今朝から読み始めました。読み始めると引き付けられて昼食の用意、片付けがもどかしく思えます。

まずタイトルが何?と思わせる本です。
マグダラと聞くと、イエス・キリストに関係するのかしら・・・でもひらがなだし…

老舗料亭に就職した及川紫紋が、生きることに絶望してたどり着いたのは尽果(つきはて)という海の見える所でした。
崖っぷちの小屋をめざして、とぼとぼと歩いて行くとそこは、こざっぱりと整った佇まいの古民家 ここが、まぐらだ屋でした・・・

なんとか主婦のしごとを片付けて午後から読みました。今日は予定のない日でラッキーでした。

夢破れ、恋を失い、後輩を失くし、ふるさとにも帰れない主人公が死のう思った・・・崖っぷちに建つ小屋、まぐらだ屋をみつけ、ここで死のうと引き寄せられた。
その思いが「生きよう」という意思にかわっていく物語は作者原田マハさんの展開の上手さで一気に読みました。 

 

 

物語の土地が地塩村・すぐ近くの島が方舟島・主人公が紫紋・まぐだら屋の女性がマリアと呼ばれている・その他の人物も当て字のような・・・

人の本当のやさしさって、こうなのかとか、居場所を得て主人公が生き生きと変わるところなど胸をつかれ涙しました。
まぐらだ屋は食事を提供する店なので、お惣菜的な献立が折々に出てくるのも興味深いところでした。

作者原田マハさんのマハは「裸のマハ」「着衣のマハ」からとったのだそうです。
彼女の他の本も読みたくなりました。

まず次は借りてきた「太陽の棘」を読むことにします。