JAの店先に植わっている稲穂が実ってきた。
わずか30センチ四方の発泡スチロールの田んぼの中ですくすくと育つ稲は日本の宝のよう。
粒ぞろいの稲穂は、きれいに整列して天に向かって伸びている。
日本人が食する米は日本で作るべし、稲作は経験がないが、技術的にはかなりの生産効率化が図られているだろう。
近隣の田んぼに小さな子供を乗せて自転車で駆け回る外国人の奥様がいる。
「実によく働く、働き者」とレストランのマスターの評、ポーランドご出身だそうだ。
農家の人、年寄りや女性の方が毎日何かしら手を休めない理由が、最近わかってきた。
草取り、収穫した豆の鞘取り、仕分け、畑の天地返し、たね蒔き、追肥、、、やることが目白押しで休む間がない。
わずかに自然が残る多摩には、所々に米の無人精米所がある。
大きな紙の袋が二つ並んでいたので玄米を販売しているのかなと聞いてみたら精米の過程でできた米糠だという。
たけのこのアク抜きなどに使うヌカも今や有料だ、販売用に保管するのかしらと思いきやそうではないという。
持ち込まれる米の生産地は特定できない、スーパーで買ったものもあれば農家から直送されたものもある。
つまり放射能汚染された米が精米された可能性があるので精米所でできたヌカを販売するわけにはゆかない。
店先に並んだ米はトレーサビリティがしっかりしているが、持ち込まれた米がどこの産のものかは誰にも保証できない。
福島の原発事故は、かように被害を全国に撒き散らしている。
近隣の酒屋さんで栽培している巨峰は袋がけされて見事に棚にぶら下がっている。
実がついたら袋がけして殺虫剤や殺菌剤を散布する、この手間をかければ売り物のようなブドウが出来上がる。
一方でオーガニックを気取って無農薬とすればカナブンやアリの被害にあって葉は丸坊主に実もやられてしまう。
ここが悩みのたねでプロフェショナルは手間と費用を惜しまず断行するから安定して収穫できる。
米から透き通る清酒が出来上がり、ブドウからワインが出来上がる。
造り酒屋に外国人の杜氏が現れたり、日本でもワイナリーを始める動きが出てきた。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
齢相応に味わいが出て頭を垂れるほどの人となりでありたいものよ。
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