夢の介音楽夜話

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非電化のススメ

2015年11月24日 | 日記・エッセイ・コラム


TV放送で鹿児島に住む自称ヒッピー、テンダーさんのドキュメント番組があった
横浜出身の彼が音大を出てピースボートに乗ったのが人生の転換をするきっかけになったようだ

ご本人はいたって自然とおっしゃるが、傍目から見たら変わり者に見えて不思議はない
アメリカ先住民の生活を勉強して帰国し、鹿児島の山村で電気、ガス、水道といったインフラに頼らない生活を始めた

水は山からの天然水を引き込んで、燃料はマキ、電気は最低限ソーラーなど自家発電をして、冷蔵庫、洗濯機など最低限必要な電気製品にとどめる
なおかつ非電化の工夫を創造しながら生活する、その実体験から得たノウハウをレクチャーする

一つは既成概念からの脱却であり、よりシンプルなあるべき生活の原点回帰を求めている
恥ずかしいとか、みっともないとか、という心配をはねのけるところがヒッピーである根本か

生い立ちを聞いて驚くのは、彼のご実父が原発の設計に携わるエンジニアであったこと
安全だと聞かされて実際に現地に行った六ケ所村での生活が、彼の疑問を想起した

チェルノブイリにせよ、福島にせよ、危険を冒してまで果たして「原発」は必要だろうか?
原発は、本当に安全なのだろうか?

電気製品を買ってきてコンセントに挿すというルーチンに慣れきっている者には、そもそも電気製品を使わない発想ができない
ましてや非電化の機能を持つ道具なり機械を製作しようとまで思わないのが一般人だろう

栃木県那須で「非電化工房」を運営されている藤村靖之日大教授の発想もユニークだ
国を挙げてのビジネス社会を維持するため、無駄な電力供給の世界を構築しているのが今の日本なのかしら?

確かに自然エネルギーを利用して必要最低限の蓄熱、蓄電を行い自然に寄り添う生活をするのが我が国日本の伝統だ
自然に反する仕掛けのエネルギー装置は必要なく、ローテクであろうが自然に優しい生活手段が望ましい

テンダー氏、藤村教授の言葉に説得力を感じるとすれば、それは「無理をしなくていいよ、自然体で」という思想が根底にあるからだろう
天ぷらなどの廃油を使ってディーゼル車を走らせる試みも、実用化できれば面白い未来が開ける

近代文明は、生活への価値観を少しばかり見直す時期に来ているのかもしれない
少なくとも無駄な生産と消費、余剰をなくすような仕組みづくりの視点で

ピースボートで担っていたバーテンダーからとったというテンダー氏
「Tenderly」という生き方に通じるようで象徴的だ



鹿児島電力テンダーワークショップ

鹿児島電力テンダーワークショップ(その2)

大震災の福島原発 那須の工学博士 藤村氏(撮影)映像作家 安孫子亘

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