夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

アレンジの妙

2015年11月25日 | 音楽


楽曲が優れていればいるほどオリジナルどおりに演奏しなければいけないようなニーズもある
以前お会いしたビートルズバンドの面々はそっくり同じに演奏しなくてはダメで、ライブが終わった後リーダーから事細かに「あそこが間違っていた、、、」という具合にチェックの電話が入るという話を聞いて笑ったことがある

アレンジのやり方は無限にあるのだろう、リズムを変える、コード進行を変える、歌い方を変える、、、
リズムを変えるだけでも立派なアレンジになるので手っ取り早い方法だ

だがリズムを共有することは案外難しいことでもある
同じボサノバだとしてもリズムに対するイメージや感覚が人それぞれだからだ

バンドを編成してライブを行う時に何回もリハーサルをしてなおかつ本番を繰り返さないと安定した演奏にならない
長年同じメンバーで続けているバンドの強みは「息が合っている」から即座に目指すノリが出せることだ

ノリを出そうとして「前のめりに」なってしまうことが多い
平たい言葉で言えば「走る」ということになる

リズムが走ると楽曲に落ち着きがなくなって演奏が面白くなくなる
「ノル」と「走る」では全く異なる結果になる

さてカスケーズの名曲「Rhythm of the Rain」
雷鳴のような効果音から始まって、チェレスタのような音が雨をイメージさせる

ミディアム・テンポのリズムの上に感傷的なボーカルで好きな曲だ
だからアレンジのやりようがないと思っていた

若くして亡くなられたようだが、「Dan Fogelberg」という人のアレンジが素晴らしい
「Fender Rhodes」のピアノサウンドの中で上昇していくベース・ライン、ディミニッシュ・コードが効果的だ

バックのブラスやコーラスが出張っていないのもこのアレンジを引き立てている
結局このゆったりしたグルーヴの上で思いのまま歌うから、まるで別物の楽曲のように聴こえてくる

こういうアレンジができる人は楽器の個性を熟知していて細かいところまで神経が行き届くのだろう
アレンジ次第で楽曲が良くなる、そんな経験は音楽の大きな楽しみの一つだ





Dan Fogelberg - Rhythm Of The Rain

Hard To Say - Dan Fogelberg 2003

Dan Fogelberg - Leader of the Band (Live 2003)