しんぶ赤旗 2016年9月5日(月)
JR九州グループから企業献金 6000万円 2000年~14年
今村復興相 半分超を依存
新幹線整備推進 問われる関係
東京電力株の大量保有が明るみに出た今村雅弘復興相(衆院比例九州)が支部長を務める自民党支部が2000年~14年の15年間にJR九州のグループ会社から6000万円を超す企業献金を受け取っていたことが本紙の調べでわかりました。同時期に受け取った企業献金の半分以上に相当します。今村氏はJR九州出身で、博多(福岡県)と長崎を結ぶ九州新幹線長崎ルートの整備・早期着工を推進しているだけに、JR九州との親密な関係が問われることになります。(藤沢忠明)
今村氏は、大卒後、旧国鉄に入社、JR九州関連事業本部企画部長などを経て、1996年10月の総選挙で佐賀2区から初当選。現在7期目。今回の改造で初入閣しました。
今村氏が支部長を務めた「自民党佐賀県第二選挙区支部」、現在、支部長を務める「同佐賀県衆議院比例区第一支部」の政治資金収支報告書(00年~14年)によると、郵政法案に反対して無所属で総選挙に立候補した05年などを除いて九鉄工業、JR九州メンテナンス、JR九州フードサービス、三軌建設などJR九州のグループ会社から多い年で19社、少ない年でも13社、1社当たり12万円、24万円、36万円、48万円など、あわせて毎年500万円前後の献金を受け取っています。
JR九州グループ会社からの献金総額は、6438万円にのぼります。この間、両支部が受け取った企業献金は計約1億2100万円で、じつに53・0%がJR九州関連ということになります。
1987年の国鉄の分割・民営化によって発足したJR九州(資本金160億円)は、すべての株式を国土交通省所管の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有、事実上、国の補助金である経営安定基金約3800億円も受け取っており、政治資金規正法によって献金することができません。このため、グループ各社に割り振って献金している格好です。
JR九州は現在、今村氏の地元、佐賀県内を通過する九州新幹線長崎ルートの早期着工・開業を目標に掲げています。
一方、政府・与党は、国土交通省、JR九州、佐賀、長崎両県などとことし3月、在来線と新幹線を乗り継ぐ「リレー方式」を導入し、2022年度に暫定開業することで合意しています。
初当選後、国土交通政務官、衆院国土交通委員長、自民党国土交通部会の部会長代理などを歴任した今村氏は、ことし1月27日に初会合のあった与党整備新幹線建設プロジェクトチームの検討委員会のメンバーとなっています。4月24日、佐賀県で開かれた九州新幹線長崎ルートの沿線自治体議員の学習会に出席するなど、積極的に推進しています。
20数分の時間短縮効果しかない長崎ルートに巨額な投資をすることについては、沿線住民らから疑問と反対の声があがっています。
こうしたなか、JR九州関連会社の献金にどっぷりと依存していることをどう考えているのか、同社に便宜を図ったことはないのか―。本紙の問い合わせに、今村氏の事務所は「政党機関紙には、回答を控えている」としました。
JR九州のグループ会社からの献金がズラリと並ぶ「自民党佐賀県衆議院比例区第一支部」の政治資金収支報告書(2014年)