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2020-06-08 | 村上春樹(翻訳物)

 

レイモンド・チャンドラー
訳 村上春樹
『ロング・グッドバイ』★★★★

 

言うまでもない傑作
これぞ旧きよきハードボイルド
女子にもその渋さ分かります。

探偵と美女(それも完璧な)そして大富豪 ギャングも登場

多くは語らない。

 

春樹の熱き想い それは解説を読むとよく分かる。

 

長きに渡り時間がかかってしまった・・
いつかまた忘れた頃に再読したい。
(清水俊二訳もちょっぴり気になるところ)

 

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「夕方、開店したばかりのバーが好きだ。店の中の空気もまだ涼しくてきれいで、すべてが輝いている。バーテンダーは鏡の前に立ち、最後の身繕いをしている。ネクタイが曲がっていないか、髪に乱れがないか、バーの背に並んでいる清潔な酒瓶や、まぶしく光るグラスや、そこにある心づもりのようなものが僕は好きだ。バーテンダーがその日の最初のカクテルを作り、まっさらなコースターに載せる。隣に小さく折り畳んだナプキンを添える。そのいっぱいをゆっくり味わうのが好きだ。しんとしたバーで味わう最初の静かなカクテル――何ものにも代えがたい」
私は賛辞を表した。
「アルコールは恋に似ている」と彼は言った。

 

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この描写!

迷わず「ギムレット」ですな(知人がステイホーム中作ってくれた写真を拝見)

 

 

 

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少なくとも彼女は若く美しいまま死んだ。放蕩は男を老けさせるが、女を若く保たせると人は言う。

 

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「一家に一人の酔っぱらいで十分」と彼は私の顔をじっと見て言った。

 

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「ものごとの陰には常に女あり」と彼女は静かに言った。「ちらちらとほの見える、というところかしら。それはべつに宿命的な相手である必要はありません。でも、私たちの話のポイントはどうもすれ違っているみたいですね。それとも私たちは、まったく違うものごとについて話をしているのかしら」
「そうかもしれない」と私は言った。

 

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遅くに帰宅したとき、くたびれて気が滅入っていた。空気はもったりと重く、夜の物音はくぐもって遠くに聞こえた。霞のかかった月が、空の高いところに我関せずという顔で浮かんでいた。部屋の中をあてもなく歩き回り、レコードを何枚かかけたが、ほとんど聴いてもいなかった。どこかからこちこちという規則的な音が聞こえてくるような気がした。しかし家の中にそんな音を出すものはない。
それは私の頭の中で鳴っている音だった。私は独歩する死の時計なのだ。

 

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私はキッチンに行ってコーヒーを作った。大量のコーヒーを。深く強く、火傷しそうなほど熱くて苦く、情けを知らず、心のねじくれたコーヒーを。それはくたびれた男の血液となる。

 

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ハヤカワ文庫って普通の文庫本の規格とちがう なぜ?

 

さてお散歩に出よう!わんことGOGO


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