青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

妙見の森ケーブルが消える理由!

2023-10-19 | 昭和・懐かしい京阪神の風景

いよいよ阪急電鉄子会社の能勢電鉄(兵庫県川西市)で展開する妙見の森ケーブルカーが、12月4日に廃止となります。妙見の森ケーブルは黒川~ケーブル山上間666メートルを結び、標高差223メートル、最急勾配23度、平均勾配20度。定員51人の車両2両が最高速度8.6km/hで往復し、所要時間は約5分です。

子供の頃の遠足や、妙見山に遊びに行った折に何度か乗ったことがありますが、大人になってからは妙見山に行くのは天体観測が多く、自動車を使うようになったので、ケーブルカーからは足が遠のきました。ケーブルカーは夜間は運行していないので。

廃線の理由は利用者が減ったからとマスコミは書いていますが、なぜ利用者が減ったのかについては、まともに言及していないようです。

阪急電車宝塚線を見れば分かりますが、清荒神、売布神社、中山観音、岡町、服部天神などは全て有名神社仏閣のある駅ばかりで、戦前はその参拝者が物凄く多かったのです。妙見山もそう。山体が信仰の対象であり、山頂近くには日蓮宗の関西地区における重要寺院である能勢妙見堂'があります。戦前、神社仏閣に足を運ぶことは、今のように初詣だけではなく年中行事であり、人々の娯楽だったのです。昔の写真を見れば分かりますが、大人は和服やスーツという正装。子供は学生服という姿でみんながお参りしています。

妙見の森ケーブルは、戦後半分以下に急激に落ち込んだ利用客回復の為、ハイキングコースを整備したり、バーベキューテラスや足湯などの施設を作ったり、近年では独身男女の出会いの場を能勢電鉄が主催し、その会場に妙見の森を利用したりとあらゆる手を尽くして来ました。

しかし、そもそもケーブルは戦中に線路を軍に供出し、戦後復旧しますが、建設経費削減のために運行距離が短くなりました。山上まであったケーブルを短くし、そこには代わりにリフトを作りました。現在妙見山に登ろうと思えば、能勢電車・妙見口駅で下車、そこからケーブルの黒川駅まで徒歩20分掛かります。(バスは大幅な運行減で、まず乗ることは出来ませんので歩くしかないのです。)そこからケーブル~リフトを使うという不便さ。

更に戦後の娯楽は、阪急電鉄が宝塚に宝塚歌劇、温泉、遊園地を作り、梅田を阪急の一大アミューズメントパークとして作り上げた為、神社・仏閣巡りから、映画鑑賞やデパートでの買い物、遊園地に移り変わり、妙見山を訪れる人も、妙見の森ケーブルを利用する人も激減し、利用客は減少の一途を辿って回復することが全く無かったのです。周辺の大阪府豊能町・能勢町は昨年過疎指定されましたし、今回の妙見の森ケーブル廃止は寂しいながらも、仕方がなく、むしろ今日までよく続いたと思います。思い出を持つ人たちには、廃線前にもう1度利用して頂きたいですね。