◇No.1027

 太陽光、風力、地熱、水力、バイオマス……。自然の力を生かしたさまざまな再生可能エネルギーの最新技術が紹介されている。

 7月31日、午前10時、東京都江東区東京ビッグサイト

 太陽光発電の総合イベント「PVジャパン2014」と、「再生可能エネルギー世界展示会」。その二つが合同で開かれた。

 開場してすぐに細川護熙(76)、小泉純一郎(72)がそろってゲートをくぐった。

 企業のブースの間を縫うように、主催者の説明を聞きながら進む。

 原発メーカーでもある東芝のブースにさしかかると、小泉が我が意を得たりとばかりに叫んだ。

 「原発やってる企業だって、再生可能エネルギーの準備を始めているじゃないか。原発なしでやれるよ。原発なくても大丈夫だ!」

 この視察には、細川、小泉を含め総勢6人の元衆院議員が参加した。

 元新党さきがけ代表代行の田中秀征(73)、元自民党幹事長で小泉と近い中川秀直(なかがわひでなお)(70)、細川と小泉が率いる自然エネルギー推進会議事務局長の中塚一宏(49)、ソフトバンク顧問の嶋聡(56)。

 中塚と嶋は民主党出身だ。

 そのなかで先頭を切って歩き、集団をリードしたのは小泉だった。新しい試みの数々を目の当たりにしては、目を輝かせた。

 例えば、北海道別海町で建設が進むバイオガスプラントの計画を紹介するブース。小泉が家畜の排泄(はいせつ)物を使った発電技術に興味を持ち、担当者を質問攻めにした。

 「どんな家畜?」「牛のふん専門?」「へー、生ゴミも!」

 1時間ほどで、すべて見終わった。細川と小泉が並んで、報道各社の取材に応じた。

 「原発いらないな」と、細川。

 続いて小泉が能弁に語り出した。

 「企業は先を見越している。政治が原発ゼロにすると言えば、だーっと動くよ。再生可能エネルギーに。企業はバカじゃないですよ。将来を見越せば、原子力よりも再生可能エネルギーの方が展望がある」

 記者から「原発はあきらめるしかないか」と質問が飛んだ。

 「あきらめるしかない。いずれ、必ずなる。時間の問題だ」

 小泉はそう言い、首相時代を思わせるような大見えを切った。

 「政治が責任を取らなくてはいけない。政治が原発を導入したんだから政治がゼロにする」(前田直人