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圧巻だった元自衛官の発言~「戦争させない」オール埼玉総行動に1万人(5月31日)

2015-06-02 15:25:22 | 平和 戦争 自衛隊

                                                 画像by中川 浩

【動画】5・31オール埼玉総行動 元自衛官 のスピーチ

https://m.youtube.com/watch?v=vq9FpwHPOo4

 

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LNJ Logohttp://www.labornetjp.org/news/2015/0530saitama

圧巻だった元自衛官の発言~「戦争させない」オール埼玉総行動に1万人

                堀切さとみ

 

 真夏日となった5月最後の日曜日(5/31)。北浦和公園(さいたま市浦和区)で、集団的自衛権行使容認の撤回を求める「オール埼玉総行動」が行われた。朝9時すぎから地元のジャズバンドの演奏に迎えられ、大勢の市民が続々と集まってくる。横浜で3万人、沖縄で3万5千人が集まって声をあげたように、埼玉でも戦争反対の意思を示そう! 1万2千部用意されたプログラムはあっという間になくなり、暑さ以上の熱意がみなぎる総行動となった。

 「日本を戦争する国にしてはならない。子どもや孫に銃をとらせてはいけない。70年守り続けてきた平和国家という大切なブランドを捨て去ってはならない」「安倍総理は、自衛隊の危険は?と聞いても答えないが、海外に派遣されて自殺した自衛隊は54名。アメリカでは200万人の帰還兵のうち50万人がPTSDになっている。これが戦争なんだ」。主催者代表の小出重義さんの訴えで集会が始まった。

 元自衛官の泥憲和さん(写真)の話は圧巻だった。「自衛隊だったとき、私は皆さんのような人たちを敵だと思っていた。ソ連や中国にそそのかされて平和主義を叫んでいるかわいそうな人たちだと。私が北海道の部隊を希望したのは、ソ連と闘う最前線だったから。その後『防衛白書』を書いた官僚が、退官後に『ソ連脅威論は嘘だった。防衛白書の行間にそう書いてある』と発言。自分はまんまと騙されたのだと思った」

 「ナチスドイツのヘルマン・ゲーリングが言った。『もちろん普通の国民は戦争なんて望まないんだよ。でも国民を戦争に参加させるのは簡単なんだ。“我々は攻撃されてる”って言えばいいんだ』と。安倍さんたちはなぜ戦争に導こうとするのか。彼らにとって戦争は悲劇ではない。新しい需要を生み出してくれる。死んだり傷ついたりするのは他人。我々と安倍さんらは立場が違うんだ。そのこ とに気づかせないように、ヘイトデモなど排外主義をあおり、敵意を作り出している。われわれが騙されたと気付いたとき、彼らは言うだろう。『騙されたお前たちの自己責任だ』と。」

 そして「私たちの子どもたちのために、そして、見も知らぬ国で自衛隊によって命を奪われたり傷つけられたりする、見知らぬ誰かの未来のために、我々はこの憲法の下に集まらなければならない」と訴えた。

 自由の森学園高校の山森要さん(写真)は、学内で集団的自衛権の署名を集めてきた。「戦争に行かされるのは国民だ。殺したくないし殺されたくないと皆思っている。18歳で選挙権を持てるようになったとき、自分の意見を持って投票できる人が増えるようにしたい」

 集会の最後に、参加者はプラカードを掲げてコール。広い公園が「戦争させない」「9条こわすな」の文字であふれた。その後、参加者は「浦和駅」「与野駅」「南与野駅」の三つの駅に向かってパ レードし、さいたま市民にアピールした。

 

 


原発再稼働と“活断層” ~原子力規制委員会の“有識者”たちは本当に「有識」なのか?

2015-06-02 14:58:51 | 福島、原発

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43555

原発再稼働と“活断層” ~原子力規制委員会の“有識者”たちは本当に「有識」なのか?

石川和男

「科学的な解釈の中身に問題」 有識者会合による評価書に意見相次ぐ

私は以前から、原子力規制委員会(とその事務局である原子力規制庁)と、電力会社など原子力事業者の関係について、大きな危惧を抱いている。規制委・規制庁は規制する側、原子力事業者は規制される側。警察による犯罪取締り規制と違い、原子力関連規制は経済規制であるので、規制する側と規制される側の円滑な意思疎通が欠かせない。しかし、原子力規制を巡る現状を考えると、両者の関係が最悪だ。

その最たる例の一つが、日本原子力発電の敦賀原子力発電所をめぐるもの。敦賀原発には2基ある。敦賀1号機については今年4月27日をもって廃炉が決まり、敦賀2号機については今後本格的な議論が始まる見通し。しかし、この敦賀2号機に関しては、大きな問題が横たわっている。

5月22日付け福井新聞などで既報の通り、日本原電の濱田康男社長は、敦賀2号機の再稼働に向けた規制基準適合性審査(安全審査)に係る申請を「夏から秋ごろには行いたい」と述べたとのこと。この審査を担う規制委・規制庁は、今年3月25日の第65回原子力規制委員会において、この敦賀2号機直下の破砕帯に関して、規制委・規制庁が指名した"有識者"をメンバーとする"有識者会合"が「地盤をずらす可能性のある断層(活断層)」と結論付けた評価書を確定させた。

しかし、この評価書案を他の"専門家"がチェックした昨年12月10日の有識者会合ピアレビューでは「科学的な解釈の中身に問題がある」と修正を求める意見が相次いだ。日本原電も、活断層の可能性を一貫して否定している。規制委・規制庁は、活断層があると認めた原発であっても、再稼働に向けた安全審査の申請を拒否しない方針のようだ。規制委の田中俊一委員長は、敦賀2号機直下の破砕帯の活動性について、日本原電から安全審査の申請があれば「規制委が審査で判断する」とし、"有識者会合"の評価書は「重要知見の一つとして審査の参考にする」との意向を示している。

ではここで、敦賀2号機に関する上述の"有識者会合"による評価書を例として、規制する側と規制される側の関係について深く考察していく。日本原電は、審議の進め方や技術的な問題点に関し、次のような見解の公表や申入れを行うなど、評価書の見直しを強く求めてきた。

http://www.japc.co.jp/news/press/2014/pdf/261210.pdf (2014年12月10日/敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合ピア・レビュー会合について)
http://www.japc.co.jp/news/press/2014/pdf/270305.pdf (2014年3月5日/原子力規制庁への申し入れについて)
http://www.japc.co.jp/news/press/2014/pdf/270324.pdf (2014年3月24日/原子力規制委員会への申し入れについて)
http://www.japc.co.jp/news/other/2015/pdf/20150416.pdf (2015年4月16日/敦賀発電所の敷地内破砕帯に係る「評価書(平成27年3月25日)」の問題点について)

一方、規制委・規制庁は、昨年12月3日の第43回原子力規制委員会で、安全審査に当たっては「他のサイトと同様に、原子力規制委員会が審査を行い、許認可の可否を決定する。この際、有識者会合による評価を重要な知見の一つとして参考とする他、事業者から追加調査等による新たな知見の提出があれば、これを含めて厳正に確認を行っていく」との方針を明示した。

原発の敷地内破砕帯に係る審議は、規制委・規制庁が旧原子力安全・保安院による耐震安全性再評価(=通称「耐震バックチェック」)の積み残しを引き継いだものである。これに関しては、有識者による現地調査の結果などを踏まえ、規制委・規制庁が自ら評価することとされていた。

これは、2012年12月10日の敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合(第1回評価会合)での田中委員長による「今のままで再稼働ということでの安全審査はとてもできないなというふうに、私は印象ですけど判断しました。ただ、これは委員会で皆さんからの報告を得た上で決めたいと思いますので」との発言からも明らかである。だから、昨年12月3日に規制委・規制庁が示した方針は、従来からの方針転換だということになる。ただ、方針転換をした理由は明らかにされていない。

原発の安全性とは、それぞれの原発ごとにどの程度のリスクがあるのか、ということに他ならない。それについては当然、最新の科学的な知見に基づいて原子力規制を執り行う行政機関としての判断がなされる。その論拠こそ、昨年12月3日に規制委・規制庁が示した方針に掲げられている「重要な知見」であるはずだ。

とても科学的なものとは言えない、"神頼みの評価書"

ところが、"有識者会合"には法的根拠はなく、その位置付けについては各方面から批判が多い。規制委・規制庁としては、自らが判断するために"有識者"である専門家に科学的な助言を求めたということなのだろう。科学者たる"有識者"の役割は、現在の学術レベルでの知見を最大限活用し、客観的なデータに基づいて、分かること・分からないことを識別し、どのように評価することが最も確からしいのかを専門家の立場から提示することであろう。それ以外の何ものでもないはずだ。

特に、敦賀2号機や他の原子力事業者の原子炉であって、相当の商業運転実績のある既設のプラントを審査するのであれば、過去に安全審査を担った専門家や規制される側にいる原子力事業者の担当者らの意見を十分に汲み入れる必要がある。彼らには、相当の知見が蓄積されているからだ。そうした意見も踏まえながら議論と検討が重ねられて取りまとめられたのであれば『品質の高い評価書』となり、まさに「重要な知見」に値するだろう。科学者の助言を仰ぎながら行政判断がなされることはよくあることだが、いずれの場合でも『品質の高い』助言であることが前提となっているのは必然だ。

そういう視点で、私なりに敦賀原発2号機の破砕帯に関して規制委・規制庁に受理された評価書を分析してみた結果、その評価書は、

①事実誤認に基づき、
②通常の学術的手法を無視し、
③科学的な論理に一貫性のない、
④原子力事業者側の説明を単に否定するだけで、
⑤"見えている事実"を見ず、"見えない願望"にすがったもの

にしか思えないのだ。これでは「重要な知見」になり得ず、"品質の低い"評価書でしかない。では、このような"品質が低い"評価書となった理由が何か?

それは、"有識者"の人選に大きな問題があったからであり、そのような仕組みを作った規制委・規制庁に責任がある。昨年12月10日の有識者会合ピアレビューの議事録にも書かれているが、敦賀担当以外の専門家から出された次のコメントがとても印象的だ。

〈 重要なことは、その可能性が非常に高いということが重要であって、その附帯事項として、それは100%は証明されてませんよと書くべきであって、その後者を表に出すというのは、科学的でも技術的でもないですよね。それはもう明らかに何らかの別の判断が入ってるということになりますので、やはり物事はきちっと正しく、データとして意味のあることを前面に出して、それの信頼性を付記するという形でいかないとまずいと思います。 〉
 
ただ、規制委・規制庁に報告された"評価書"には、このコメントはまったく参酌されなかった。この"有識者による評価書"は、"有識者"が作りたいと思っていた"物語"でしかないのではないか? ――私には、とても科学的なものとは言えない、"神頼みの評価書"にしか思えないのだ。

このような分析は、日常的に規制委・規制庁をみているはずの報道機関からはいまだ発信されていない。原子力規制行政に関する多くのマスコミの姿勢は、日和見主義に染まっているように思う。マスコミ各社は、反原発や嫌原発の姿勢のほうが読者ウケするはずだという"独善的一方的な世論の深読み"から早く脱却し、規制委・規制庁の科学的に正しい部分とそうでない部分の両方を的確に報じていくべきだ。そうしたバランスある報道のほうが、結局は記者と読者の両方の原子力リテラシーを引き上げることにつながるであろう。

 

 

 


<柳沢協二氏の安保国会ウォッチ> 機雷掃海 議論するほど矛盾鮮明

2015-06-02 09:42:06 | 政治 選挙 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015060202000123.html

Shoichiro Ikenagaさんの写真

<柳沢協二氏の安保国会ウォッチ> 機雷掃海 議論するほど矛盾鮮明

 安倍晋三首相は一日の答弁で、集団的自衛権を行使して戦時の中東・ホルムズ海峡で実施する機雷掃海について「受動的、制限的な行為」と強調するため「完全な停戦合意はしていないが、合意に向けた話し合いが進んでいる状況」でのみ行うような説明をした。

 だが、そんな限定的状況なら期間も短く、ほどなく正式停戦になるし、手続きが残っているだけなら外交力で早く決着させればいい。原油の輸送ルートもほかにあり「国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」という武力行使の要件に当たるはずがない。

 首相はこんなに無理がある事例に、なぜこれほどこだわっているのか。

現憲法で集団的自衛権の行使を容認する解釈の変更をするために、何とか説明のつく事例として、自身が一番理解できたのが機雷掃海だからではないか。

 首相は私が官房副長官補を務めていた第一次政権でも解釈変更しようとしたが、当時の事例は弾道ミサイル迎撃と米艦防護で、機雷掃海はなかった。今回、機雷掃海が加わったのは、おどろおどろしくなく、国民にも理解されると思ったのかもしれない。

だが、要件と矛盾するのは明らかで、議論すればするほど説明がつかなくなっている。

 集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」や他国軍を支援する「重要影響事態」に、明確な認定基準がない。

特に存立危機事態は日本が武力行使するトリガー(引き金)であり、武力行使とは戦争だ。国がいつ戦争するか、主権者である国民の誰も分からない法律をつくろうとしている。立憲主義からもおかしい。 (聞き手・上野実輝彦)

 

 


安全保障法制等の法案に反対し、平和と人権及び立憲主義を守るための宣言(日本弁護士連合会)

2015-06-02 09:27:33 | 平和 戦争 自衛隊

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/assembly_resolution/year/2015/2015_1.html

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安全保障法制等の法案に反対し、平和と人権及び立憲主義を守るための宣言

 

 

戦後70年を迎えた今、平和と人権及び立憲主義はかつてない危機に瀕している。

 

政府は、2014年7月1日に集団的自衛権の行使容認等を内容とする閣議決定を行い、これを受けて現在、安全保障法制や自衛隊の海外活動等に関連する法制を大きく改変する法案を国会に提出している。これは、日本国憲法前文及び第9条が規定する恒久平和主義に反し、戦争をしない平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるものであり、立法により事実上の改憲を行おうとするものであるから、立憲主義にも反している。

 

先の大戦は国内外で多くの戦争被害者を生んだ。日本はアジア・太平洋地域への侵略により、同地域の多くの人々に重大かつ深刻な被害を与えた。また、日本軍の多くの兵士や関係者も死傷し、国内では沖縄における地上戦、広島・長崎への原爆投下、大空襲等により、膨大な数の人々が被害を受けた。

 

戦争は最大の人権侵害であり、人権は平和の下でこそ守ることができる。

 

これは、先の大戦の余りにも大きく痛ましい犠牲に対する真摯な反省と、そこから得た痛切な教訓であり、この反省と教訓を胸に私たちの国は戦後の歴史を歩んできた。

 

憲法前文及び第9条が規定する徹底した恒久平和主義は、この悲惨な戦争の加害と被害を経験した日本国民の願いであり、日本は二度と戦争を行わないという世界に向けた不戦の誓いの表明である。これまでも幾度か憲法第9条を改正しようとする動きがあった中で、今日に至るまで恒久平和主義を堅持してきたことが、アジアのみならず世界の人々の平和国家日本への信頼を育んできた。

 

ところが、戦後70年を迎え、日本国憲法の恒久平和主義に、今大きな危機が迫っている。

 

今般、国会に提出された安全保障法制を改変する法案は、憲法上許されない集団的自衛権の行使を容認するものであり、憲法第9条に真正面から違反する。

 

また、自衛隊の海外活動等に関連する法制を改変する法案は、自衛隊を海外のあらゆる地域へ、しかも「現に戦闘行為を行っている現場」以外であれば戦闘地域を含めどこにでも派遣し、弾薬・燃料等の軍事物資を米国及び他国軍隊に補給することを可能とするものである。これは外国で戦争をしている他国軍隊の武力行使に対する積極的協力であり、他国軍隊の武力行使と一体となり当該戦争に参加するに等しいものであって、憲法第9条に明らかに違反する。また、このような戦争をしている他国軍隊への積極的協力は、相手側からの武力攻撃を誘発し、我が国が外国での武力紛争に巻き込まれる危険を伴い、現場の自衛官は、武器を使用して他国の人々を殺傷する立場に追い込まれ、自らが殺傷される危険に直面する。全世界の国民が平和的生存権を有することを確認し、国際紛争を解決する手段として戦争と武力行使を永久に放棄し、戦力の保持を禁じ、交戦権を否認している日本国憲法の下で、このような事態を起こしかねない法制への改変は到底許されない。

 

このように、最高規範である憲法の恒久平和主義に反する極めて重大な問題であるにもかかわらず、主権者である国民に対して十分な説明が行われないまま、2014年7月1日に閣議決定がなされ、それを受けた与党協議を経た安全保障法制等を改変する法案が第189回国会に提出されたが、米国との間で「日米防衛協力のための指針」の見直しが先行して合意された。政府の方針が、主権者への不十分な説明のまま、対外的に決定され、憲法改正手続を経ることなく、法律の制定、改廃によって憲法第9条の改変が事実上進められようとしている。これは立憲主義に反するものであり、到底容認することができない。

 

戦前、弁護士会は、言論・表現の自由が失われていく中、戦争の開始と拡大に対し反対を徹底して貫くことができなかった。戦後、弁護士及び弁護士会には弁護士法第1条の「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という使命が与えられた。この使命は、国民からの期待と信頼に応えるものであり、今、弁護士及び弁護士会が「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という立場から意見を述べ行動しなければ、弁護士及び弁護士会は、先の大戦への真摯な反省と、そこから得た痛切な教訓を生かせないことになる。

 

私たちは、1950年の第1回定期総会(広島市)に引き続いて開催された平和大会において、日本国憲法の戦争放棄の崇高な精神を徹底して、平和な世界の実現を期することを宣言した。私たちはこの決意を思い起こし、憲法の恒久平和主義や基本的人権の保障及び立憲主義を守り抜くために、集団的自衛権の行使等を容認し自衛隊を海外に派遣して他国軍隊の武力行使を支援する活動等を認める、今般の安全保障法制等を改変する法案に強く反対するとともに、平和と人権、そして立憲主義を守る活動に国民と共に全力を挙げて取り組む。

 

以上のとおり宣言する。

 

 

2015年(平成27年)5月29日

日本弁護士連合会


 

提案理由

第1 はじめに

1 平和と人権及び立憲主義の危機

 

戦後70年を迎えた今、平和と人権及び立憲主義はかつてない危機に瀕している。

 

日本は戦後、恒久平和主義を基本原理とする日本国憲法の下、一度も戦争をすることなく、平和国家の礎を築いてきた。

 

ところが、政府は、2014年7月1日に「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」と題する閣議決定(以下「本閣議決定」という。)により、集団的自衛権の行使を容認する立場を明らかにするとともに、自衛隊を海外に派遣して戦争を遂行する他国軍隊を直接的に支援したり、任務遂行のための武器使用を認めるなどの活動の拡大方針を決定した。本閣議決定を受けて、「日米防衛協力のための指針」が国内法制に先行して見直され、そして今、安全保障法制や自衛隊の海外活動等に関連する法制を大きく改変する法案が国会に提出され、その審議が行われている。

 

これは、日本国憲法前文及び第9条の下でこれまで築いてきた平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるものであり、立法により事実上の改憲を行おうとするものであるから、国家権力の行使は憲法に基づかなければならないという立憲主義にも反している。

 

今改めて、日本国憲法の恒久平和主義と、その原点である先の大戦を振り返り、平和と人権の問題を確認することが必要である。

 

2 アジア・太平洋地域における戦争下での人権侵害

 

1931年9月18日、日本軍が謀略により起こした柳条湖事件を口実に開始された中国侵略は、1937年7月7日の日本軍の夜間演習中の偶発的出来事から生じた盧溝橋事件等を機に本格化する。

 

日本は、アジア・太平洋地域への侵略により、同地域の多くの人々に重大かつ深刻な被害を与え、約1900万人の戦争犠牲者を出したとされており、数々の重大な人権侵害を引き起こした。

 

日本軍の多くの兵士や関係者も、戦死し、病死し、餓死していった。日本国内でも、沖縄における地上戦、広島・長崎への原爆投下、大空襲等により、膨大な数の人々が被害を受けた。我が国の戦争犠牲者の全体数は約310万人といわれている。

 

戦争は最大の人権侵害であり、人権は平和の下でこそ守ることができる。これは、先の大戦の余りにも大きく痛ましい犠牲に対する真摯な反省と、そこから得た痛切な教訓であり、この反省と教訓を胸に私たちの国は戦後の歴史を歩んできた。

 

第2 日本国憲法の徹底した恒久平和主義

1 戦争の違法化の徹底

 

国際社会は、戦争をめぐり、不正な攻撃への対抗等を目的とする「正義の戦争」だけが許されるとする「正戦論」から、戦争に訴える権利は国家の主権的自由であるとの考え方(無差別戦争観)を経て、戦争は違法であると考えるようになった(戦争放棄に関する条約(パリ不戦条約、1928年))。もっとも、そこで禁止される戦争は、「國家ノ政策ノ手段トシテノ戰爭」、すなわち侵略戦争を指し、自衛戦争は認められるなど全ての戦争を違法とするものではなかった。

 

第二次世界大戦の反省の下に制定された国際連合憲章(以下「国連憲章」という。)は、平和的解決義務を具体化し(国連憲章第2条第3項)、「武力による威嚇又は武力の行使」を原則として禁止し(国連憲章第2条第4項)、戦争の違法化を徹底した。しかしなお、国連が軍事的措置等をとるまでの間の暫定的な措置として、個別的又は集団的自衛の権利を害するものではないとされた(国連憲章第51条)。

 

2 国連憲章を超える日本国憲法の徹底した恒久平和主義

 

このような中で日本国憲法は、全世界の国民の「平和のうちに生存する権利」を憲法前文に明記し、「武力による威嚇」及び「武力の行使」を禁じて戦争を放棄したこと(憲法第9条第1項)に加えて、戦力の不保持と交戦権の否認を規定し(憲法第9条第2項)、国連憲章の規定による集団的自衛権の行使をも認めないという、世界の平和主義の系譜の中でも類がない徹底した恒久平和主義を基本原理とすることとした。

 

それは、余りにも悲惨な戦争の被害と加害を経験した日本国民の願いであり、日本は二度と戦争を行わないという世界に向けた不戦の誓いの表明である。これまでも幾度か憲法第9条を改正しようとする動きがあった中で、今日に至るまで恒久平和主義を堅持してきたことが、アジアのみならず世界の人々の平和国家日本への信頼を育んできた。

 

第3 日本国憲法の恒久平和主義の大きな転機

1 安全保障法制等を大きく改変する法案の国会提出に至る経緯

 

本閣議決定では、①武力攻撃に至らない侵害への対処、②国際社会の平和と安定への一層の貢献(①及び②は自衛隊の海外活動への規制を大幅に緩和するもの)、③憲法第9条の下で許容される自衛の措置(集団的自衛権行使容認に係る安全保障法制に関するもの)の3点について述べている。

 

本閣議決定を受けて、「日米防衛協力のための指針」の見直しが行われ、今般、安全保障法制及び自衛隊の海外活動等に関連する法制を改変する法案が国会に提出され、その審議が始まっている。

 

2 安全保障法制等の特徴-集団的自衛権行使容認と自衛隊の海外での戦争協力支援

 

(1) 徹底した恒久平和主義を採用している憲法第9条の下では自衛戦争を含めた全ての戦争を放棄したとの見解が有力にある中で、従来の政府見解は、自衛のための実力の行使が認められるとしつつ、それはあくまでも、我が国が外国から武力攻撃を受けた場合にこれを排除することに限定していた。その上で、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力を持って阻止する集団的自衛権の行使は認められないとしていた。これにより、自衛隊が海外に出て戦争に参加するような積極的な武力の行使に歯止めをかけ(専守防衛政策)、我が国の安全保障法制の合憲性を保持しようとしてきたのである。

 

しかし、本閣議決定はこれらを変更し、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」にも、必要最小限度の実力を行使し得ることとし、今般の安全保障法制を改変する法案は本閣議決定の実施に法律上の根拠を与えようとするものである。

 

これは従来の憲法上は許されないとしてきた集団的自衛権の行使を「自衛のための措置」として認めるものであり、さらには「自衛のための措置」であれば国連の軍事的措置への参加も可能にしようとするものである。

 

(2) また、自衛隊の海外活動等に関連する法制を改変する法案は、地理的限定をなくして海外のあらゆる地域の戦闘行為を行っている現場近くまで自衛隊を派遣し、戦争等を遂行する米国及び他国軍隊への支援として、弾薬・燃料等の軍事物資の提供や輸送その他の役務の提供等を可能とするものである。

 

これは外国で戦争をしている他国軍隊の武力行使に対する積極的協力であり、他国軍隊の武力行使と一体となり当該戦争に参加するに等しいものである。

 

さらに、今般の法案では、平和協力活動の範囲を拡大するとともに「駆け付け警護」その他の任務遂行のための武器使用を認めようとするものである。また、自衛隊法を改変する法案等により、自衛隊の活動と権限を他国軍隊の武器等の防護等や在外邦人の救出活動にまで広げようとしている。これらの法案もまた、我が国が戦争や戦闘行為に陥る具体的危険を生じさせるなど、自衛隊の海外における武器の使用に道を開くものに他ならない。

 

3 安全保障法制等を改変する法案は恒久平和主義に反する

 

このように、今般の安全保障法制等を改変する法案は、集団的自衛権の行使等を容認するばかりでなく、戦闘中である米国及び他国軍隊への後方支援として、自衛隊を海外のあらゆる地域へ、しかも戦闘地域まで派遣し、弾薬・燃料等の物品や自衛隊の役務を米国及び他国軍隊に提供することを可能とするものであり、また自衛隊の武器使用権限を拡大するものである。

 

他国軍隊に戦闘地域で弾薬・燃料等を補給することは武力行使と一体化した戦争参加とみるべきものであり、相手国からの武力攻撃を受け、武力紛争へと発展する高度な危険を伴う。また、武器の使用権限の拡大も武力紛争のきっかけとなりかねない。いずれにしても、このような状況下で、現場の自衛官は、武器を使用して他国の人々を殺傷する立場に追い込まれ、自らが殺傷される危険に直面する。戦前の盧溝橋事件は、現場での兵士の武器使用が全面戦争のきっかけとなる危険があることを示しており、今改めてこの歴史の教訓に学ばなければならない。全世界の国民が平和的生存権を有することを確認し、国際紛争を解決する手段として戦争と武力行使を永久に放棄し、戦力の保持を禁じ、交戦権を否認している日本国憲法の下で、他国軍隊の武力行使に協力することは、平和的生存権を侵害し、憲法第9条に反し、到底許されないものである。

 

第4 日本国憲法の立憲主義に対する危機

1 国民への情報提供が不十分な中での安全保障法制等の改変

 

今般の安全保障法制等の改変に向けて、本閣議決定やその後の「日米防衛協力のための指針」の見直し作業、さらには与党協議が行われてきたが、その間、主権者である国民に対しては、十分な情報が与えられず、民意を反映させようとする努力も行われてこなかった。国民は、第189回通常国会が開会された後、安全保障法制等の改正案等が国会に提出されて初めて具体的な情報を得ることができた。

 

そもそも、国政の在り方を決定する権威と権力を有するのは国民である(国民主権)。

 

この国民主権が十全に機能するためには、内閣総理大臣、国務大臣及び国会議員は、憲法尊重擁護義務(憲法第99条)を負う者として、充実した国民的議論が保障されるように、必要かつ十分な情報を提供し、多様な意見に十分に耳を傾けながら、丁寧に説明する責任がある。しかし、政府は、恒久平和主義に反する安全保障法制等を改変する法案が国会に提出されるまで、主権者である国民に対して十分な説明を行わないまま、不透明な状況下で既成事実を積み重ねてきたのである。

 

2 立憲主義に反することは許されない

 

このように、最高規範である憲法の恒久平和主義に反する極めて重大な問題であるにもかかわらず、主権者である国民に対して十分な説明が行われないまま憲法の恒久平和主義に反する本閣議決定がなされ、それを受けた与党協議を経た安全保障法制等を改変する法案が国会に提出され、米国との間で「日米防衛協力のための指針」の見直しが先行して合意された。政府の方針が、主権者への不十分な説明のまま、対外的に決定され、憲法改正手続を経ることなく、法律の制定、改廃によって憲法第9条の改変が事実上進められようとしている。これは立憲主義に反するものでもあり、到底容認することができない。

 

第5 憲法の恒久平和主義や基本的人権の保障及び立憲主義の擁護と弁護士会の責任

1 戦前の弁護士会の活動の教訓

 

今、平和と人権及び立憲主義が危機に瀕しているときだからこそ、弁護士会は、憲法の恒久平和主義や基本的人権の保障及び立憲主義を守るための意見を述べ、活動に取り組まなければならない。

 

戦前、人権擁護活動を熱心に行っていた弁護士はいたものの、それは個人的対応に留まり、弁護士会としては、必ずしも十分な人権擁護活動は行っていなかった。朝鮮への植民地支配や、中国への侵略、さらにはアジア・太平洋地域へ戦線が拡大し、言論・表現の自由が失われていく中で、弁護士及び弁護士会も戦時色に染まっていき、1944年には、中国大陸の権益を軍事力により確保するための国家総動員体制に組み込まれる形で、大日本弁護士報国会が作られるなど、弁護士会は戦争の開始と拡大に対し反対を徹底して貫くことができなかった。

 

また、先の大戦下では、個人の権利主張は反国家的であるという風潮が強まる中で民事事件が減少し、刑事事件についても被疑者・被告人を弁護することを敵視する見方が強まった(日弁連五十年史)。そのため、国民が司法制度を利用する機会が減少し、弁護士の活動範囲が狭まったのであり、平和や人権を守るための活動を積極的に行うことは、それ自体大事なことであるとともに、日常の弁護士活動の基盤として弁護士が人々の権利を擁護するために必要であるということも、真摯な反省と痛切な教訓として残った。

 

2 当連合会の原点-人権を守り平和な世界を築くこと

 

日本国憲法は1946年11月3日に公布され、1947年5月3日に施行された。基本的人権の保障が憲法上明確に規定されたことに伴い、弁護人依頼権の規定(憲法第34条、第37条第3項)など弁護士に関する規定が憲法上初めて置かれた。これにより、弁護士の職務が人権擁護や司法制度にとって不可欠な存在であるとされた。この弁護士の新たな地位及びその職務を規律するため、1949年5月30日に改正弁護士法が成立し、弁護士法第1条により新たに「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」使命が設けられた(同年6月10日公布・同年9月1日施行。)。

 

改正弁護士法を受けて、1949年9月1日に当連合会が設立された。1950年5月12日に当連合会は第1回定期総会を被爆地である広島市で開催し、それに引き続いて平和大会を開催して、次の平和宣言を採択した。

 

「日本国憲法は世界に率先して戦争を放棄した。われらはこの崇高な精神に徹底して、地上から戦争の害悪を根絶し、各個人が人種国籍を超越し自由平等で且つ欠乏と恐怖のない平和な世界の実現を期する。右宣言する。」

 

この宣言に表れているとおり、戦争を放棄した日本国憲法の恒久平和主義(憲法前文及び第9条)を徹底することは、当連合会の原点である。そして、その原点は、戦前において国が戦争への道を推し進めようとしているときに、弁護士及び弁護士会がそれに必ずしも十分な対応ができず、むしろそれを推し進める役割の一翼を担ってしまったことへの真摯な反省と痛切な教訓に基づくものである。

 

3 立憲主義違反を阻止するのは弁護士及び弁護士会の当然の責務

 

憲法をないがしろにすることは、憲法により守られている私たちの人権をないがしろにすることである。弁護士及び弁護士会の「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という使命は国民からの期待と信頼に応えるものであるが、今この立場から意見を述べ行動しなければ、弁護士及び弁護士会は、先の大戦への真摯な反省と、そこから得た痛切な教訓を生かせないことになる。

 

当連合会はこれまでも、2013年5月の第64回定期総会において「集団的自衛権の行使容認に反対する決議」を、2014年5月の第65回定期総会において「重ねて集団的自衛権の行使容認に反対し、立憲主義の意義を確認する決議」を採択した。また、2014年9月には「集団的自衛権の行使容認等に係る閣議決定に対する意見書」を、2015年2月には「『日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間報告』及びこれに基づく見直しに対する意見書」を採択してきた。

 

平和宣言に示された私たちの原点を踏まえたとき、日本国憲法の基本原理である基本的人権の保障と恒久平和主義に反する法律が制定されようとし、立憲主義が脅かされている今、これに対して、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とし、日本国憲法の掲げる平和な世界の実現を期すると宣言した私たち弁護士及び弁護士会が、人権と平和を守るために意見を述べ、行動することは当然の責務である。

 

第6 結論

私たちは、1950年の第1回定期総会(広島市)に引き続いて開催された平和大会において、日本国憲法の戦争放棄の崇高な精神を徹底して、平和な世界の実現を期することを宣言した。私たちはこの決意を思い起こし、憲法の恒久平和主義や基本的人権の保障という基本原理及び立憲主義を守り抜くために、集団的自衛権の行使等を容認し自衛隊を海外に派遣して他国軍隊の武力行使を支援する活動等を認める、今般の安全保障法制等を改変する法案に強く反対するとともに、平和と人権、そして立憲主義を守る活動に国民と共に全力を挙げて取り組む。

 

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