これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

日本国憲法 (その9)

2019-06-29 07:59:43 | 司法・裁判
 今回は、第六章・司法に関連する裁判員制度について書きます。

 前回、書き忘れたのですが、憲法で『国民は、公開裁判を受ける権利』が保障されています。私は、この権利は非常に重要だと思います。北朝鮮では殆ど裁判無しで、政治犯だと言って処刑している様です。中国では、国家反逆罪は非公開裁判ですから、共産党に都合が悪い人間を抹消する事が出来ます。中国ではスパイ罪=国家反逆罪と言われています。旅行に来た外国人を、スパイとして逮捕すると(非公開裁判ですから、)外交の取引材料に使えるのです。

【はじめに】
 2004年、小泉内閣の時に『裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(裁判員法)』が制定されました。そして、2009年に最初の裁判員裁判が行われました。

 裁判員法は、衆議院がインターネットに公開しています。そんなに長文の法律では有りません。一応、私はこのブログを書く前に読んで見ました。憲法よりは長文で、私の様な素人には読破するのに時間が掛かりました。解説記事もインターネットで読む事が出来ます。

【国民が参加する裁判の意義】
 権力者が、一応裁判を開いても、自分に都合の良い判決を出すのは困ります。ヨーロッパ諸国では、市民の力が強くなって、権力者に勝手な裁判をさせない為に、裁判に市民が参加する様になったのでは?と思います。民主主義国家にとって、市民が裁判に参加する事は昔は重要だったのです。

 明治維新の10年程前(1859年)に、時の権力者・井伊直弼が、吉田松陰、橋本左内などの有能な人材を死刑(斬罪、切腹、獄門)にしました。(安政の大獄です。) 明治政府を立ち上げた人達の先達が、権力者に粛清された記憶は生生しかったと推察しますが、(明治維新は権力の奪還でしたから)再発防止対策は取らなかったのです。 明治政府は、欧米諸国が採用していた市民参加の裁判制度は導入しませんでした。(明治政府は、それなりに法治国家を目指した改革は進めたと私は思いますが。)

 戦後、GHQは日本に民主化を迫り、民主的な憲法草案を作成して半ば強制的に現在の憲法を制定させました。然し、何故か陪審制度は押し付け無かったのです。貴方は、何故だと思われますか?

 憲法草案を作成したアメリカ人達は、『ヒットラーの様な独裁者が誕生出来ないほど、アメリカの民主主義は発展し、国民が参加する裁判の意義が薄れ、寧ろ、参加者に重りを背負わす事になるデメリットの方が大きい』と考えたのではないかと、私は思います。

 裁判員制度によって冤罪が無くなる訳では有りません。一方、日本には死刑があります。裁判員裁判で死刑判決が出て、執行された後に冤罪だった事が判明したら!参加者達は、心穏やかには過ごせません。

【裁判員制度の目的】
 裁判員制度の目的については、裁判員法の第1条に『・・・司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資すること・・・』と有ります。

 上記の目的は、苦し紛れに考え出したものだと思います。言葉尻を捕らえる様で恐縮ですが、①市民が参加したら、どうして『信頼が向上』するのでしょうか? 現在の司法は、信頼を向上しなければならない状態なのでしょうか?

 ②市民を参加させたら、司法の理解が進むとは思えません。裁判員は、裁判の内容について一切口外してはならないのです!裁判員と補充裁判員以外の人は、密室で行われる審議の内容を知る事は出来ません。従って、『司法に対する国民の理解の増進』にはならないと考えます。

(私の提案) 裁判を国民が身近なものと感じ、理解を深める事が目的なら、傍聴者を大幅に増やす工夫をした方が効果的だと考えます。最も効果的なのは、中学校や高校の授業に裁判の傍聴を取り入れる事です。

① 各地の地裁を建て直すか、リホームして傍聴席を増やし、もっと沢山の人が入れる様にして、更に快適な空間にすべきです。

② 傍聴席の前を厚いガラス板で仕切って、傍聴席の音が判事側には漏れない様にする。子供達が傍聴した時、多少騒がしくなっても支障なく裁判が続けられます。お茶やコーヒーくらいは許容しましょう!勿論、裁判の音声は、スピーカーで傍聴席に流します。

③ 各地裁に傍聴者に裁判について解説する係員を配置し、説明資料を展示/配布する専用の部屋を設けましょう。

④ 混乱を避けるために、裁判所の表出入り口は傍聴人や記者が使用し、裏出入り口は判事、弁護士、検事など専用にする。

(余談) 日本の裁判所は韓国の様に世論を慮った(忖度した)判決は出していないとみています。正常で信頼されています。世論を慮るべきは国会議員です。時代に合う様な法律を制定したり、改正するのは国会の仕事です。裁判は、該当する法律の良し悪しを云々するのでは無く、その法律に従って白黒を付けるのです。ソクラテスの『悪法もまた法なり!』です。

【国民が参加する裁判の種類】
 欧米諸国では、市民が裁判に参加する制度が採用されています。次の②と③の制度です。国によって、制度の細部は異なっています。

① 裁判員制 :日本独自の制度だと言って”裁判員制”と言う造語を作りましたが、一種の”参審制”です。日本では民間人は1件毎に選任されますが、参審制では、一般的に任期期間があり、その期間中に複数の裁判に関わるのです。ヨーロッパでは民事訴訟も扱う国が有るようですが、日本では重い量刑が課せられる可能性がある刑事事件に限定しています。

② 陪審制 :刑事事件では民間人だけで議論して、有罪/無罪を決めて、判事が刑の重さ(量刑)を決めます。民事訴訟では民間人が「どちらの主張が正しいのか?損害賠償金額』を決めます。  アメリカ、イギリスなどで採用されており、日本でも昭和の初期に15年間ほど採用されました。

 アメリカでは、一部の州を除いて、陪審員の評決は全員一致が要求され、一人でも反対者がいたら、新たな陪審員達が選ばれて最初から裁判をやり直す様です。

 アメリカの民事訴訟では、被告側が故意に証拠を隠蔽した場合は、被告が痛手を受けると思われる懲罰金を課します。例えば、放置しておくと死亡事故が発生する可能性が有る事を承知していたのに、金が掛かるので対策せずに販売し、A氏が亡くなったとします。損害賠償金の他に懲罰金の支払いが命じられるのです。懲罰金とは加害者を制裁し、痛手を被らせる金です。従って、同様の事件でも、被告が年間売り上げが10億円の企業と1兆円の企業では、懲罰金の額は1,000倍程違っても不思議では無いのです。

③ 参審制 :民間人と判事が、事実認定~量刑まで判断する制度です。ドイツ、フランスなどヨーロッパ諸国で採用されています。国によって”まちまち”の様ですが、民間人は1件毎に選任されるのでは無く、任期期間務めるのが一般的です。ドイツの任期は5年、フランスは1件毎です。中国も、一応は参審制で、任期は5年です。

【裁判員裁判の判決の見直し問題】
 裁判員裁判の後に上告して、高裁が(過去のよく似た事件の刑の重さ(量刑)と比較して)「刑が重すぎる」と言う判断をするケースが有ります。

① 第1案 :過去の判例を重視するので有れば、裁判員裁判では有罪/無罪のみ決めて、(アメリカの様に)量刑は判事が決める様に法律を改正すべきです。市民は、残酷な事件や強欲で起こした事件については「重い罰を与えたい」と考えると推察されます。判例が正しいのか?市民の感覚が正しいのか?今後も裁判員制を続けるので有れば、市民感覚の方を重視すべきです。

② 第2案 :裁判員裁判では2回判決を出す案を提案します。先ず、有罪/無罪の判決を出します。その結論に被告/検察が不服なら裁判員裁判は結審とします。後は高裁で争うのです。被告側が有罪判決に異議が無ければ、弁護士と検事は、それぞれ自分に都合の良い判例を提示して量刑についてのみ弁ずる事にします。この案で有れば、”量刑の平等”はある程度キープが出来ます。

 第2案では、被告が無罪を主張する事件は実質的に、高裁から始まる事になります。従って、前回提案しました、高裁の数を8か所(+支部6か所)→50か所に増やす必要が有ります。裁判員裁判は被告が有罪を認めている事案のみを取り扱う事になりますから、公判を何回も。何回も行う事が無くなります。何よりも良い事は、裁判員が冤罪事件と無縁になる点です。(誰かを庇うために被告が有罪を主張するケースが考えられますが、万一、有罪の判決を出しても裁判員が精神的負担を感じる事は無いでしょう。)

【附則の第2条 :施行前の措置等】
第2条 :政府及び最高裁判所は、・・・裁判に参加することの意義、・・・を具体的に分かりやすく説明するなど、・・・国民の理解と関心を深めるとともに、・・・主体的な刑事裁判への参加が行われるようにするための措置を講じなければならない。

 本文の第1条:趣旨には、裁判員制が『司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上』とあります。附則の第2条では、『裁判に参加することの意義』と有ります。

 本当の目的を、具体的に述べるべきだったのです。目的が明確になっていたら、裁判員裁判に参加する関係者全員(裁判員、判事、検事、弁護士)が、裁判員裁判を効率的に、より公正に運用する工夫が出来たと思います。今からでも遅くないですから、『○○と△△の為に裁判員制を採用する』と裁判員法に明記して欲しい!

【附則の第3条 :環境整備】
第3条 :国は、裁判員の参加する刑事裁判の制度を円滑に運用するためには、国民がより容易に裁判員として裁判に参加することができるようにすることが不可欠であることにかんがみ、そのために必要な環境の整備に努めなければならない。

 裁判員法は2004年(小泉内閣で)に制定され、5年間もの準備期間を置いて2009年に施行されました。『環境整備が必要』だと、他の法律には殆ど例の無い記載が有るにも関わらず、何もしませんでした。近年の日本の政治家には”志”が無いのです!準備期間中に何も手を打たなかった内閣を整理しておきます。

 小泉内閣(2001年4月~2006年9月)→安倍内閣(~2007年9月)→福田内閣(~ 2008年9月)→麻生内閣(~ 2009年9月)→鳩山内閣・・・

 どんな環境整備が必要と思いますか? サラリーマンの場合は特別休暇制を企業に義務付ける。自営業や農民、漁民などには、代わりの人を雇える体制や補助金を検討する。・・・裁判員と補充裁判員の日当は現在1万円が上限だそうです!少な過ぎますよ!

【附則の第8条 :検討】
第8条 :政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、裁判員の参加する刑事裁判の制度が我が国の司法制度の基盤としての役割を十全に果たすことができるよう、所要の措置を講ずるものとする。

 裁判員法が施行されたのは2009年です。附則の第8条の規定に従って2013年に法制審議会で検討して、一部改正され2014年に施行しました。

問題点①: 公判が長引きそうな事案は、裁判員裁判には掛けないと改正しましたが、2018年の姫路地裁の裁判員裁判は207日間(公判70回)にもなりました。長すぎると思いませんか?曖昧な表現の改正をした為です。『原則として○○日を超えると予想される事案は裁判員裁判には掛けない』と改正すべきだったのです。(私は研究・開発に長年携わったので、曖昧な発言や表記が大嫌いです。)

問題点②: 「何年後に検討して見直せ」と明記した法律を、裁判員法以外に見た事がありません。画期的だと感心しました。2014年の改正時に次回の検討時期を明確に打ち出しているのでしょうか?

(余談) 会社の経営状態が悪化して、不祥事も続き社内改革が必要になった時に、ある重役が"社内会議の改革”を唱えられました。社外からアドバイザーを招き、議長になる年代の社員を集めて勉強会を開いてくれました。ポイントの一つは、会議出席者全員に発言させることでした。大学卒でも、自分の意見を殆ど持っていない社員が結構いて、全員に発言させるのは工夫が必要でした。裁判員裁判でだれが審議の進行役をするのか知りませんが、日本人には優柔不断の人が多いので、悪い人間が進行役になると『自分の考え方に皆を誘導する事』はそんなに難しく有りません。この点からも、日本には市民参加の裁判員制度は馴染まないと考えます。

(余談) 各国の国民性を実に見事に表したブラックジョークが、インターネットで読む事が出来ます。勤勉で従順と言う国民性は、先人や上司の指示には従うが、指示の無い事は『しない/出来ない』と言う事です。

日本国憲法 (その8)

2019-06-22 00:17:08 | 司法・裁判
 今回は、第四章の国会と第五章の司法についてです。司法の裁判員制度については次回に書きます。

第五章 内閣 : 第65条~第75条
【持論(1) :文民の規定】
 第66条の2項、『内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。』と規定されています。文民の対義語は”軍人”ですが、憲法が制定された時点には、軍隊は存在しませんでした。第9条で軍隊は保持しないと規定しています。従って、この規定は「元帝国軍人は大臣になれない」と言う意味だと思います。

 1954年に自衛隊が創設されましたが、「自衛隊は軍隊では無い」と言う屁理屈で、防衛大学出身で、元自衛官の中谷元氏が大臣になりました。私は、大臣になれない経歴を、憲法を改正して明確にすべきだと思います。(私は、アンチ巨人で、少しアンチ自民党ですが、中谷元氏の防衛大臣就任には賛成でした。兵器の進歩、外国の軍隊の知識がある人が防衛大臣になるべきです。)

(私の提案) 次の①の案を推奨します。戦前は、現役の将官が陸軍大臣と海軍大臣になる事が決まっていました。この為に、軍国主義になっていったのではと私は考えます。元自衛官の活躍を制約する、下の②と③案には反対です。

① 「現職の自衛官は(防衛大臣を含め)大臣になれない」と規定する。
② 「元自衛官は防衛大臣になれない」と規定する。
③ 「元自衛官は大臣になれない」と規定する。

【持論(2) :総理大臣の代行】
 憲法には総理大臣が急死する等の異常時に誰が代行するかの規定がありません。内閣法の第9条で、予め決めて置いた国務大臣が代行する事になっています。

(私の提案) 組閣の時に、代行順位を決めて公表すべきです。論功行賞か派閥の力学かで選ばれたと思われる、国会答弁が満足に出来ない大臣が時々いますので、そういう方は序列の最後にして国民を安心させて頂きたい。国会議員で無い大臣は、代行順位から外すべきと考えます。

(余談) 「内閣官房長官は国務大臣では無い」と誤解されている方が、時々おられますが、内閣法で「国務大臣」と規定されています。 何で、”内閣官房大臣”と呼ばないのでしょうか?他の大臣よりも重要な仕事をしている様に、私には思えるのですが!

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第六章 司法 : 第76条~第82条
 念のために、日本にある裁判所を下に列記します。憲法では、最高裁判所と下級裁判所の設置を規定しています。裁判官を裁く、弾劾裁判所は憲法第64条で国会に設けるとなっています。(従って、弾劾裁判所は司法には含まれない裁判所です。)

 下級裁判所(高等裁判所~家庭裁判所)は、裁判所法によって規定されています。知的財産高等裁判所は知的財産高等裁判所設置法によって、2005年設立されました。

● 弾劾裁判所 :国会に設ける・・・憲法第64条
★ 最高裁判所 :定員15名
★ 高等裁判所 :8か所、支部=6か所
★ 地方裁判所 :本庁=50か所、支部=203か所
★ 簡易裁判所 :438か所
★ 家庭裁判所 :本庁=50か所、支部=203か所、出張所=77か所(原則非公開)
★ 知的財産高等裁判所 :東京高等裁判所の支部

【持論(1) :司法制度の適正化、効率化が必要です!】
 叔父の奥さんの兄弟にあたる方が、高裁の判事でした。判事の給料は”とんでもなく”安いのです。最高裁長官の月給は、なんと”200万円”ほどしか有りません。新任官判事の月給は”23万円”だそうです。

 裁判官の定員は裁判所職員定員法で規定されます。2018年に改正され、(148人増えて)総定員は3,866になりました。日本弁護士連合会(日弁連)の2018年の会員数は40,066人です。判事は弁護士の"1/10"以下です。

 2017年の訴訟件数は361万件(出典:www.courts.go.jp)にもなり、判事一人当たり900件以上になります。近年、”働き方改革”が叫ばれていますが、判事が如何に激務か想像出来ます。発想を転換した改革が不可欠と思います。

(私の提案:1) 司法改革、判事の適正な定員、判事の給与等々を議論する、最高裁判所直属か独立の諮問機関を設けるべきと考えます。そして、毎年”白書”に相当する報告書を公開するのです。

(私の提案:2) 現在でも第一法規(株)が、判例をデジタル化して有料で公開していますが、裁判所として公式な「判例のデジタル化」を進め、弁護士と検事は、判例の番号を必ず示して論争する様にすれば、判事の負荷軽減と裁判時間の短縮が可能ではないかと考えます。

(余談 ;特許の例) 私は、特許庁に提出する”明細書”の殆どを自分で書きました。特許がデジタル化されてからは、自分で先行特許検索もしました。スムーズに審査をパスするポイントは、先行特許の番号を明示して、その問題点を示し、私の特許案が問題を解決出来る事を文系の方にも分かる様に説明する事です。(裁判と特許は少し似た所が有ると思います。)

【持論(2) :大岡越前守の時代では有りません!】
 江戸時代までは、法律らしい物は存在していませんでしたから、裁判は奉行の見識で白黒を決めたのです。(庶民の期待を思い量って、大岡越前守の様な名奉行の話しが作られたのです。)明治以来、種々の法律が制定されましたが、社会が複雑になって予想していなかた(法律に規定されてい無い)事件が起こり、裁判官の裁量が必要でした。

 現在は、各種法律が完備され、多量の判例が蓄積されています。裁判官の裁量が必要なケースは殆ど無くなっているのでは? 逆に、裁判官の個人的思想による判決は禁止すべきだと考えます。

 中国では、人口知能(AI:artificial intelligence)を用いた裁判の実験を始めた様です。”血も涙もない”裁判になりそうですが、公平(?)な判決が出る可能性が有ります。将来、日本でもAI裁判が導入される可能性が有ります。

(余談:大岡越前守) 映画やドラマに登場する大岡越前守(大岡忠相:1667年~1752年)は実在の人物です。ドラマは、町奉行での活躍を誇張した内容ですが、彼は旗本→山田奉行→普請奉行→江戸南町奉行→寺社奉行へと出世して、それぞれの役職で種々活躍して、寺社奉行の時に大名になりました。(大岡家は、一万石の三河国西大平藩(岡崎市)を拝領し、明治2年まで治めました。)

(余談) 2018年7月7日に、『皆で声を挙げましょう』と言うプログを書きました。実父に強姦されて、二人も子供を産んで、それでも迫ってくる父親を殺してしまった話です。大岡越前守だったら情状酌量して、軽い刑にして彼女が子供を育てられる様にしてやったのではと思います。事件が起こった1955年には、尊属殺人罪が有りましたから、判事は法律に従って重刑を言い渡したでしょう!

【持論(3) :訴訟開始から判決までの時間】
 競争の激しい企業に勤めておられる方は、”時は金なり(Time is money)”を実感されていると思います。憲法第37条に『すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。』となっています。疑いの目で見ると、個人が民事訴訟を起こした場合は、裁判はだらだらとやって良いと取れます。企業間の訴訟では、時間は非常に重要です。

 極端な例は、最高裁の民事訴訟です。大半のケースは書類の審査だけで、裁判が行われるケースは非常に少ない様です。書類審査で不受理の判断が何時出るか?明確で無く、2年後に却下の通知が突然来るケースも多々ある様です。(最高裁の判事は15名ですから、仕方ないですが!)

(私の提案) 曖昧な”迅速”と言う表現では無く、訴訟の分類毎に目標の日数を設定し、オーバーした件数、その原因を分析し、改善しなければ点を明確にして、毎年公表すべきです。

【持論(4) :専門裁判所の新設】
 司法試験では理学、工学、医学の様な理系の知識は要求されません。原子力発電所の安全、医療ミスなどの理系の知識と経験が必要な訴訟があります。この様な訴訟を文系の知識しか無い人間が(傲慢にも)白黒付けているのは、長年技術の世界で生きてきた人間としては腹立たしく思います。

 弁護士は専門化して来ています。判事も有る程度は専門化すべきです。私は特許を30件以上申請して、全て権利化出来ました。白状しますと、審査官が工学の知識/経験が乏しい事を逆手にとった明細書を作成したのです。会社の特許担当部署から、「そんな物は絶対に特許にならない!」と言われた機械の権利化にも成功しました。この特許は、アメリカを始め数か国で権利化しました。審査官が理科系の知識/経験が乏しいのは、日本だけでは有りません。

(私の提案) 知的財産高等裁判所の様な、理系の知識と経験が必要な訴訟を扱う特別の高等裁判所の新設を提案します。理系の才能の有る判事を選抜して、この高等裁判所に配属するのです。

【持論(5) :三審制】
 憲法第76条に『すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」となっており、”裁判所法”で上述の高裁以下の裁判所の設置が決められている為に、同じ事件/訴訟で3回裁判が受けられる事になています。然し、最高裁の判事が15名しかいない為に、最高裁は十分な機能を果たす事が出来ず、「日本は実質的には二審制だ!」と言われるのです。

 『最高裁はどうあるべきか?』と言う議論を国会でした事が有るのでしょうか?判事の定員を15名と決め、『15名で出来る範囲で、適当に工夫してやれ!』と言っているのと同じです。本末転倒です。 貴方は、これで良しとされますか?

 最高裁の判事が次の様に考えても責められません。 『経験の浅い判事は地裁以下に配属し、”いっちょまえ”になったら高裁の判事に昇格させ、時の政府の覚えが良かったら最高裁判事になれる。初審は”半人前”の判事に任せ、時々可笑しな判決を出すから、、二審は”いっちょまえ”の高裁判事に任せよう、それでも上告して来たら適当に門前払いして、マスコミが注目している訴訟は真面目に取り組もう!最高裁には判事は15名しかいないのだから!』・・・言い過ぎでした!

 最高裁には、年間、民事訴訟が3,000件、刑事事件が2,000件ほども持ち込まれる様です。現状では、三審制では無く、実質は二審制と言っても過言では有りません。

(私の提案 :無意味な裁判はやめましょう!) 近年、両院の選挙の度に、”投票価値の平等(一票の格差)”についての訴訟が起こります。判例が沢山蓄積されている案件を整理して、裁判所が受理しない訴訟リストを公開すべきです。裁判には金(税金)が掛かっているのです。 一方、勝てもしない訴訟を勧める悪徳弁護士もいます。(私の従兄弟が、被害にあいました。)

(私の提案 :高裁の数) 高裁も地裁と同じ50か所に設け、高裁の判事を大幅に増員すべきと考えます。高裁を各都道府県に最低一か所設けたら、証人が遠方まで出掛ける必要もなくなる等々、メリットが多々有ると私は思います。

【持論(6) :非公開裁判を許容する件を明確に!】
 対審及び判決の公開 : 憲法の第82条の2項;裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行うことができる。・・・

 家庭裁判所が扱う離婚訴訟などはプライバシー保護のために、原則として非公開裁判となっていますが、レイプ事件は公開で行われる様です。被害者にとって恥ずかしい事は、非公開の裁判にすべきだと私は考えます。

(私の提案) 憲法に書くのは無理でも、レイプ事件などは、(裁判官の裁量に任せるのでは無く,)法律で「原則非公開裁判とする」と規定すべきです。

(余談) 大学で法律の概要を教える授業が有りました。教授は裁判の傍聴を強く勧めました。特に「レイプ事件は勉強になるぞ!」と言われ、幾つかの裁判について話をしてくれました。裁判では、具体的にどのようにして強姦されたのか、被害者と被告に演じさせる場合も有るそうです。

 レイプ事件は、現場を目撃した証人がいたケースは殆ど無く、証拠も少ない事が多いい様です。多分、そのために、どんな風に押し倒されたか?とか被害者に演じさせる必要が有るのでしょう。教授は被告が無罪になった例を何件か紹介しました、「押し倒された時に、ハンカチが女性のお尻の下に落ちていた(?)為に、無罪の判決が出た」・・・

【余談 :私と法律】
 私は、機械の設計・研究・開発に40年ほど携わって来ました。法律には無関係の様に思われるかも知れませんが、機械の設計/製造をするためには多くの法律を勉強する必要が有ります。私の仕事に関係した法律を下に書きます。他に関連の施行令や技術基準も勉強する必要が有りました。とんでもなく沢山の法律のもとで設計/製造しているのです。『産業法令一覧 ウィキペディア』で検索して見て下さい。

①高圧ガス保安法、②消防法、③電気事業法、④騒音規制法、⑤振動規制法、⑥建築基準法、⑦製造物責任法.(PL法)、⑧毒物及び劇物取締法、⑨船舶安全法、・・・