荻野洋一 映画等覚書ブログ

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『容疑者Xの献身』 西谷弘

2008-11-12 20:00:00 | 映画
 中原俊監督の新作『魔法遣いに大切なこと』の公開を来月に控えているプロデューサー尾西要一郎と10数年ぶりに会って、愉しく食事を共にした。深川のどじょう屋のあと、日本橋小網町で飲み直す。歩いて移動したため、小名木川と隅田川、2つの川を渡る。
 これはほぼ、『容疑者Xの献身』で堤真一が演じる主人公の数学教師の通勤路を辿る形となる。彼は、深川を東西に流れる小名木川の畔にある安アパートに住んでいる設定だ。アパートを出るとすぐに橋を渡り、清洲橋に向かう。昨夜の私たちはそのまま人形町方面まで直進したのだが、堤真一は清洲橋を渡ると橋桁から河岸に下りて、居並ぶ “ブルーマンション” を横目で見やりつつ浜町河岸をとぼとぼと歩いていた。さらに浜町公園を突っ切って、明治座前に出ると左に折れる。10数メートルほど行くと、江戸小間物を扱う店「高虎」が右手にある。この路地を右折するとすぐに、手作りコロッケが人気の弁当屋「モントレー」がある。この「モントレー」こそ、悲劇のヒロイン松雪泰子が経営する弁当屋のロケ地である。この道程の中のどこかしらが、なんどもなんども本作で切り取られる。まあ、大川水景のご当地映画と言えるだろう。

 果たして、松雪泰子のような弁当屋が実際に存在するのかどうか、疑問だが。いないとも断言できまい。