SMILES@LA

シェルターからやってきたミックス犬のニコとデカピンのニヤ。どちらの名前もSMILEの犬姉妹の思い出を綴ります。

フードにトッピング、どんな時に何をどのくらい?

2024-01-19 01:29:41 | 食餌・健康
ホームセンターなどで買える大手のメーカーのフードの記事で「ミールが多いのでお肉などをチョコッとトッピングすると良い」と書きました。

今回はフードにチョコッと足すトッピングについて、もうちょっと掘り下げてみたいと思います。

「トッピングトッピング〜♪」

まず最初に、どんな時にトッピングをちょい足しすれば良いのでしょうか?
順番に挙げていってみますね。

1. フードのタンパク質源がコーンや小麦グルテンなど植物性がメインの時

2. フードのタンパク質源がチキンミール、ラムミールなどミール類がメインの時

3. 水分を積極的に摂ってほしい時

4. フードが好みに合わない様子の時

5. フードの原材料では不足する栄養素があるのでは?と思う時

こんなところでしょうか。

1の場合は、植物性タンパク質では必須アミノ酸のうち不足するものがあります。
2の場合は、高温加熱で作るミールは必須アミノ酸のうち壊れてしまうものがあります。
どちらの場合も不足したアミノ酸がフードに別途添加されている場合もありますが、ちょこっと肉や魚を足すことでも補えます。

3の場合は、茹で野菜や肉や魚を茹でて汁ごと与えられます。

4の場合は、サバ缶など匂いの強いものがおすすめです。

5の場合、総合栄養食のフードであれば原則として栄養分が不足することはないはずです。
しかし製品によっては、原材料として集めた時点では完璧な栄養バランスでも、吸収率までは考慮されていなかったり、犬にとっては活用しにくい形態の材料が使われていることもあります。
オメガ3脂肪酸の摂取源として使われているのが亜麻仁だけという場合などがその一例です。

「それで?具体的には何を乗っけるの?」

はい、具体的にトッピングに使えるものと注意することなどをあげていきます。

●アミノ酸を補うためのトッピング (上にあげた中では1と2の場合)

・鶏胸肉、薄切り肉などをさっと茹でたもの
わざわざ取り寄せなくてもスーパーなどで買える普通のお肉で十分だと思います。
薬剤耐性菌のことなどを考慮して、生のお肉をトッピングするのはやめておきましょう。
加熱には焼くよりも茹でるのがおすすめです。茹で汁もトッピングに使えるしね。
レバーなど内臓肉は手作り食には良いのですが、栄養が豊富過ぎるのでトッピングにするとバランスが難しいです。

・無塩サバ缶、無塩イワシ缶(水煮)
手作り食の材料なら塩を使った缶詰でも良いのですが(塩分を計算するのは必要)フードには必要な塩分はすでに含まれているので、トッピングには無塩のものを使います。

・生節(なまり節)
カツオを蒸して1回だけ燻製したのが生節(地域によってなまり節とも言う)
蒸しただけで燻製していないのは「なまり」と言うそうですが、燻製していなくてもなまり節と書かれていることもよく有ります。
パックを開けて、ほぐしてそのまま使えるのでとても便利。

・卵
大型犬なら卵1個分くらいトッピングしても良いので、どんな調理方法でもOKですが、小型犬の場合はゆで卵にしておくと4分の1とか半分とか分けやすいので便利です。
カロリーや脂肪分を摂り過ぎたくない場合にも、ゆで卵が便利。

・ヨーグルト
プレーン無糖であるのはもちろん、可能なら低脂肪のものを選びます。
アミノ酸を補うことはできますが、トッピングの量程度ではプロバイオティクスとしての働きはあまり期待できません。(量にもよるけど)
ヨーグルトと同じ発酵乳製品だけどチーズはトッピングよりも、ご褒美用のトリーツとしての方が良いかと思います。


●野菜のトッピング(上にあげた中では3や5)

トッピングに使う野菜はデンプン質の少ないものを選びます。ほぼ全てのドライフードには犬が必要とするよりも多めの炭水化物(デンプン質)が含まれているからです。
ですからイモ類、豆類、穀類(コーン含む)はトッピング素材からは外します。
玉ねぎ、ネギ類、ニラなど犬にとって有害なものはもちろんダメね。

・根菜類を柔らかく茹でたもの
大根、にんじん、ごぼう、かぶ、などを小さく切って柔らかくなるまで茹でます。
茹で汁もトッピングすると水溶性と不溶性両方の食物繊維が取れます。
茹でる時に、お肉やカツオ節などを少し入れると風味が良くなって喜びます。

・ブロッコリーやカリフラワー
これも茹でて使いますが、どちらもシュウ酸を含むので茹で汁は与えません。(茹でると溶け出るからね)
シュウ酸とは簡単に言うとアクの成分。摂り過ぎると尿路結石の原因になることもあるので注意が必要です。

・葉物野菜
野菜は基本的になんでも火を通して使います。
白菜、小松菜、チンゲン菜はシュウ酸が少ないのでトッピングにも使いやすいですが、葉物野菜の茹で汁は念の為使わないでね。
ホウレン草はシュウ酸を多く含むので避けた方が良いですね(フードにはけっこう使われてるけど微量だからね)
たまにダイエット目的でキャベツやレタスを刻んで生のままフードに混ぜているという方を見かけますが、これはお勧めしません。
キャベツやレタスは意外とシュウ酸が多いことと、カサ増しになるほど野菜を足すと栄養のバランスが崩れるからです。

・夏野菜
ズッキーニ、オクラなどの夏野菜も茹でてトッピングに使えます。
きゅうりは生のままトッピングしても大丈夫ですが、スライサーやシュレッドで小さくしてください。
ナス、ピーマン、トマトなどのナス科の野菜には微量ながらアルカロイド系成分が含まれるので毎日与えたり、一度に大量に与えることは避けてください。

果物もトッピングに使えないことはないですが、近頃の果物は糖度が高いので、与えるなら少量のオヤツとしての方が良いですね。

野菜類をトッピングして便の調子を見ながら、消化が悪いなと感じたらフードプロセッサーなどでペースト状にするのもおすすめです。


●トッピングをする際に注意すること

フードに一手間かけてトッピングをしてあげるのはとても良いことですが、気をつけなくてはいけないこともあります。

それは「乗せ過ぎない!」これすごーく重要です。
せっかく総合栄養食のフードを食べているのに、トッピングの量が多すぎると栄養バランスが崩れてしまうからです。

肉でも魚でも卵でも野菜でも、トッピングの量はカロリーベースで全体の1割以内に抑えることを守ってください。
逆に言えば、このくらいの量なら栄養バランスについては気楽に考えてOKということです。
「肉も野菜も摂らないと」と考えなくてもいいんです。

例えば、100gあたり360キロカロリーのフードを1日100g食べている場合。
フードの量は10g減らして90gにします。
減らしたフードに匹敵するカロリーは36キロカロリー。
       ↓
皮付き鶏胸肉なら15g
豚薄切り肉なら15g(約1枚)
卵なら半個
低脂肪ヨーグルトなら90g
サバ水煮缶なら20g
これらが36キロカロリーの目安です。

手作り食ではないので毎日厳密に計量する必要はありません。
数日分まとめて調理して、1回分または1日分に小分けして冷蔵しておくと便利です。

トッピングが野菜だけで、体重を減らす必要のない場合はフードを1割減らす必要はありません。でもやっぱり乗せ過ぎは禁物です。

それぞれの食品のカロリーや栄養成分を調べたい時にはこちらが便利

乗せる量の目安がわかりにくいという方は、コメント欄でもツイッターでもお気軽に声をかけてください。






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犬はなぜブドウを食べてはいけないのか?

2023-07-28 00:57:20 | 食餌・健康
タイトルの件「何を今さら?」と言われそうですね😅 

犬にブドウを食べさせてはいけないというのは20年くらい前から言われており、今では広く知れ渡っています。
ブドウやレーズンは犬に腎臓障害を引き起こすリスクがあるのですが、その原因やメカニズムは解明されていませんでした。

しかし2年前の2021年、アメリカ動物虐待防止協会の研究チームがこの長年の謎についての調査結果を発表しました。

「2年前って、おかーさん情報遅くない?」

遅いです。すみません。
私も1年くらい前に知ったのですが、その時点で「もう1年経ってるし他で発信されてるだろう」と思い、自分では書いていませんでした。

でもあんまり見かけないことに気づいて、今さらながら「書かなきゃ」と思ったというわけです。

最初に書いておくと、アメリカ動物虐待防止協会が発表したのは「有力な仮説」です。詳細についてはさらに研究が必要だとされています。

ブドウやレーズンを食べた犬が急性腎臓障害を発症する理由は『酒石酸』ではないかと考えられています。
酒石酸とはブドウやワインに多く含まれる有機化合物で、人間には無害です。
ブドウなどから抽出された酒石酸は調味料やph調整剤として使われることもあります。
お菓子作りをする人なら、シフォンケーキなどのメレンゲを安定させるために使うクリームオブタータをご存知かもしれませんが、あれは酒石酸水素カリウムです。

酒石酸が犬の腎障害を引き起こすのでは?と考えられるきっかけになったのは、子供が遊ぶための手作り粘土を食べて急性腎障害を発症した犬の症例です。
残念ながらこの犬は命を落としてしまい、原因解明のために解剖が行われました。

手作り粘土は小麦粉や食塩を使って作られることが多いのですが、この犬は大量の食塩で起こる高ナトリウム血症を起こしていませんでした。
この犬は重度のアゾ血症(血液中のチッ素濃度が高い状態)と嘔吐の症状があり、これはブドウ中毒による急性腎不全の多数の症例とよく似たものでした。

犬が食べてしまった手作り粘土の材料を確認したところ、食塩ではなくクリームオブタータ(酒石酸水素カリウム=酒石酸とカリウム塩の化合物)が使用されていました。

・ブドウにも酒石酸と酒石酸水素カリウムが多く含まれている
・犬は酒石酸に過敏な動物種であることがわかっている
・亡くなった犬とブドウ中毒の犬の症状が一致していた

これらの理由から、犬がブドウを食べた時に腎障害を起こすのは酒石酸のせいではないかという仮説が立てられました。
ブドウやレーズンを食べた犬の全てが腎障害を発症するわけではないのは、犬の個体差の他に、ブドウの種類、栽培方法、産地、熟し方によって含まれる酒石酸の量に違いがあるからだと考えられます。

ブドウに含まれる酒石酸が急性腎障害の原因ではないかという仮説はかなり有力だと考えられていますが、実際にどのくらいの酒石酸を摂取すると危険なのか、どのような治療が有効なのかはさらに研究が必要だとのことです。

危険な摂取量がまだわかっていないので、酒石酸や酒石酸水素カリウムを含む食品は犬が食べないよう厳密に管理することが大切です。

ブドウやレーズンの他にはタマリンドというインドやタイでよく食べられているマメ科の果実も酒石酸を多く含みます。馴染みの薄い果物ですがペーストやチャツネなど加工品も同様なのでお気をつけください。

もっと身近なものでは、お菓子作りに使われるベーキングパウダーは重曹と酒石酸水素カリウムを混ぜたものです。お菓子全体に大量に使うものではありませんが、犬用クッキーなどにベーキングパウダーを使うのは止めましょう。
※追記
ベーキングパウダーは重曹とクエン酸を混合しているものもあります。クエン酸か酒石酸か分からない場合は犬用には避けておきましょう。

また犬の手作りごはんのレシピでリンゴ酢を使うものがありますが、リンゴ酢の代用でワインビネガーを使うことは厳禁です。ワインビネガーには酒石酸が非常に多く含まれるからです。


「うたがわしいものは全部やめとけってことよーーー!」

そういうことです。
「前にも食べて大丈夫だった」としても、今回のブドウやレーズンは酒石酸の多いタイプかもしれない。大切な愛犬にそんな危険なロシアンルーレットをやらせるわけにはいかないですもんね。

犬とブドウの件で続報が発表された際には遅れずに紹介するようにしますね。

《参考URL》
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炭水化物系デンタルトリーツも悩ましい

2022-06-11 00:09:03 | 食餌・健康
前回ローハイドを使った犬用ガムについて書きましたが、あんまり良いことは言いませんでした😔 

では何かガムの代わりになるようなトリーツはないのか?
代表的なのはグリーニーズですね。緑色で歯磨きの形をしたデンタルトリーツです。
アメリカではデンタルトリーツの中では売上第1位だそうです。

実は私、ニコニヤにグリーニーズを買ったことはなかったんですよ。


「なんで!?なんで買ってくれなかったの?」

それはね、2006年にグリーニーズを消化器官に詰まらせて命を落とした犬が続出して飼い主さんたちによる集団訴訟があったから。

この件は結局メーカーが賠償金を支払って示談が成立しました。
これがその時の新聞記事。
訴訟があった直後にマースInc.がこのメーカーを買収しています。
マースは当時M&M'sやスニッカーズのお菓子メーカーとして有名でしたが
現在はマースペットケアとしてペディグリーやロイカナのメーカーでもあります。
ピュリナと並んでアメリカを代表するペットフードの超大手ですね。

現在のグリーニーズは製法や原料を調整し消化性を高めたことをアピールしています。
グリーニーズはあの緑色を嫌がる人もいるのですが、あの色は天然葉緑素(口臭予防)で悪いものではありません。

ただ訴訟の後に調整したレシピでも小麦と小麦グルテンが主原料なのが私が避けたもうひとつの理由です。
小麦はアレルギーや不耐症が出やすい食材なのと、除草剤が多く使われる穀物です。
小麦を使ったフードを避けるのと同じ理由で、毎日与えるものでは避けたかったんですね。
(個人ブログなので正直に言えばマースの製品は買いたくなかったのもある😝

グリーニーズの他に日本で販売しているデンタルトリーツも小麦原料のものが多いです。

私がニコニヤに与えていたのはGET NAKEDという日本未発売のブランドと
ウィムズィーズのデンタルトリーツでした。

ウィムズィーズのワニさんはニコ専用。ニヤには普通のスティックタイプでした。

 
ウィムズィーズはポテト澱粉が主原料で、使用されているグリセリンも植物性のものなのが気に入っていました。
原産国がペット用食品への安全基準が厳しいEU加盟国のオランダなのも高得点。
ただし乾燥しやすくて、割とすぐに硬くなるのでお得用パックはお勧めしません。
硬くなると歯が欠けるリスクがありますから。

GET NAKEDは玄米粉とチキンだったのですが、今見てみたらポテト澱粉に変わっていました。
ウィムズィーズよりもやや弾力があって柔らかかったのでメインはこちらにしていました。


「おいしいね、おいしいね」

グリーニーズもウィムズィーズもVOHC認定という肩書きを持っています。
VOHCとはVeterinary Oral Health Council 米国獣医口腔衛生協議会のことです。
獣医歯科医師が犬猫用のオーラルケア製品を第三者の立場で審査する機関です。
デンタルトリーツだけでなく歯磨きペーストや、飲料水に混ぜるケア用品なども審査の対象です。

私がニコニヤにメインで与えていたGET NAKEDは認定されていませんでした。
でもウィムズィーズと大差はなかったし、どんなデンタルトリーツでもそれだけで歯を清潔に保つのは無理です。
歯の健康はブラシやワイプで磨かないと得られません。

獣医師会や動物の栄養学の研究機関にはペットフードの大手企業が多額の寄付をしています。
ですから私は獣医師の組織や研究機関が特定のメーカーを推奨することは全く参考にしていません。
VOHCについても同様で、トリーツや飲料水に混ぜる製品のような気休めのようなものを認定している点で参考にならない。

そういうわけでVOHC認定もデンタルトリーツを選ぶ基準にはなりません。
認定マークがついていても、ポリプロピレングリコールやソルビン酸カリウムなどの
避けたい添加物が使用されているものもありますしね。

デンタルトリーツで歯が綺麗にならないなら、与える目的は何でしょうか?
私の場合は「犬が長い時間楽しめるから」というのに尽きました。
犬用クッキーやジャーキーでは一瞬でなくなってしまうけれど、デンタルトリーツは2〜3分は持ちますから。

たった2〜3分?と思われたかもしれないですね。
犬によって個体差はあるでしょうが炭水化物系のデンタルトリーツはすぐに食べ切ります。
また炭水化物メインなのでカロリー高めのものが多いのも悩ましい点です。

長持ちするオヤツでローハイドよりも安心なものではアキレスやブリースティックがあります。
価格やカロリー、犬の好みなども併せて考えると、いろんなタイプをローテーションが良さそうです。

「こういう筒の中にジャーキーのカケラが入ってたこともあったわ」

愛犬のおやつやフードは悩み始めるとキリがないのですが、譲れない点を明確にしておくと選択がちょっと楽になります。


コメント (5)
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犬用ガムのローハイドの製法とは?

2022-06-08 01:02:39 | 食餌・健康
愛犬のデンタルケアのために犬用ガムを与えているという方は多いと思います。

犬用デンタルトリーツはいろいろな種類のものが市販されていますが、一般的なのはローハイドを使ったタイプです。

このブログの初期の頃にローハイドの製法や注意点について何度か書いたことがあるのですが、今回は久しぶりに復習です。

最近はあまり見かけなくなったけれど「骨ガム」と呼ばれた牛皮を骨のような形に成形したオヤツがありましたよね。

↓薄茶色の結んであるタイプ。これがローハイドの骨ガム。

Debbie MillerによるPixabayからの画像

日本で犬用ガムとして売られているのはこういう大きいのではなくて、白くて細いスティック状でミルクやチキンフレーバーを付けた製品が多いですね。

ローハイドを使った犬用ガム、原材料を見ると『牛皮』と書かれています。
食肉用の牛を解体した時に出た皮をオヤツにしているということ?

まあ、確かにそうなんですが、その製法はかなり複雑です。

以下、ちょっとショッキングな表現がありますのでご注意ください。

牛は食肉だけでなく、靴やバッグに加工される皮革としても利用されるので、屠殺の後にまず皮が取り除かれます。
この皮は何層にもなっており、皮革製品に加工されるのは毛のすぐ下の層です。
その皮革の下にもう一つ層があり、ローハイドに加工されるのはこの部分です。

皮革とローハイドを分離する工程は次のとおりです。
  1. 屠殺場で肉から取り除かれた皮は大量の塩をまぶして加工工場に送られます。これは防腐のためですが、この皮は食品になるわけではないので殺菌などの処理は行われません。
  2. 次に皮から毛と脂肪を取り除きます。この工程には硫化ナトリウムや石灰が使われます。
  3. 毛と脂肪を取り除いた皮を別の化学薬品に浸して皮革とローハイドの層を分離します。
  4. 漂白剤、過酸化水素水などを使ってローハイドを白くした後、防腐剤が添加されます。
つまりローハイドは食肉の副産物ではなく、靴やバッグに加工される皮革なめし工場の副産物だというわけです。
このようにして分離されたローハイドが、切断や成形、香料やフレーバー添加を経て犬用オヤツになります。

そしてこのローハイドの最大の出荷国は中国です。パッケージに原産国日本と書かれていても、ローハイドを輸入して最終加工の切断や成形を日本で行えば、原産国は日本ということになります。

犬用デンタルガムの原材料に『牛皮』と書かれているものの製造工程は上記の通り。
人間の食品には絶対に使わない薬品で処理されているので、私はローハイドには一切手を出しませんでした。

中国産以外のローハイドでは、化学薬品を使わずに加工されたものもあります。
その場合、毛を取り除くためには酵素が使用され、物理的に皮革と分離して、漂白せずに低温乾燥されます。
このタイプの犬用オヤツは成形せずに小さく切っただけのタイプがほとんどです。
当然ながら価格は相当高いですが、化学薬品についての心配は無くなります。


「でもそういうのでもニコ食べたことなかったよ」

衛生面や化学薬品のリスクを回避できたとしても、私がローハイドに手を出さなかったのは、その消化性の低さのせいです。

ローハイドは「タンパク質豊富」と商品説明されていることが多いですが、消化器官ではほとんど消化されません。
細く加工されたものなら、消化せずにそのまま出てくるだけで危険性も低いですが
長い時間噛むための大きいサイズのものは飲み込んだカケラが胃腸で水分を吸って膨らみ消化器官を詰まらせる恐れがあります。
大きなかけらを飲み込むと胃腸以前に喉で詰まって窒息する恐れもあります。
そう度々起こる事故ではないですが、いったん起きると命取りになるので軽視はできません。
このような事故はオーガニック製品でもリスクは同じです。

アメリカではローハイドについてペット関連のメディアが度々リスクを説明しているせいか、ローハイド製品は年々少なくなっている印象です。
ニコを迎えた頃はペット用品店にローハイド専用コーナーがあるほど定番でしたが、今では「ローハイド不使用」が売り文句になっているくらい。

でもしっかりと噛み噛みできるオヤツが大好きな犬も多いですよね。
ローハイドが好きな子なら細いスティックタイプで国産牛皮使用の無着色タイプ、
またはデンプン質メインのデンタルトリーツ、アキレスのジャーキーなどの選択肢があります。

うちは米粉とチキンのデンタルトリーツを与えていました。
「おいしいけど、すぐになくなるんだよ」

食べるのに時間がかかるもの、長く噛めるものという条件なら噛むおもちゃを使うという手もあります。

いろんな種類があるけれど、やっぱり定番のコングが安心な気がします。

これはニコニヤもお世話になったコングの噛み噛みボール。中におやつが入れられます。
 
こちらはスティックタイプ。小型犬にお勧めです。
 

ニコがかじっているようなデンプン主体のデンタルトリーツについては次回詳しく書きます。
これはこれで色々と注意したほうが良い点があるのでね。
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害虫対策に私が『自然派』をお勧めしない理由

2022-06-03 00:59:26 | 食餌・健康
コメント欄でノミダニ駆虫薬についてご質問をいただいたのですが
長くなりそうなので記事にすることにしました。

愛犬にはできるだけ強い薬を使いたくないという飼い主さんは少なくありません。
私もかつてはその一人で、できるだけ自然のものが良いと考えていました。


「”自然のものだから安心”て言葉に惑わされたらダメよ」

でも現在は、ノミ・ダニ・蚊は獣医さんが勧める薬剤を使うのが一番だと思っています。

地球温暖化の影響で、世界中でノミ・ダニ・蚊の生息域が広がり、数が増え、活動期間も長くなっています。
さらに2011年には重症熱性血小板減少症候群というマダニを介した新しい感染症も発見されています。

ダニを介して犬がバベシア症に感染したり、人間がライム病や出血熱に感染すると
予防のための強い薬剤どころではない負担を強いられます。

温暖化の影響でノミやダニが増えていることは以前に「犬のココカラ」でも書いたことがあります。
地球全体がこのような状態になっているので、アロマスプレーや超音波の首輪では十分に病気を防ぐことは困難です。
ラベンダーやニームなど、ノミやダニが嫌がる植物はありますが持続時間の短さや全身に行き渡らせる難しさなどは実用的ではありません。
またティーツリーのように、小型犬に大量に使うと有害なものもあります。

ノミダニ駆虫薬を内蔵した首輪も市販されていますが、購入する場合は信頼できるメーカーの正規品を正規ルートで買うのが鉄則。
ホームセンターなどで売っているものは複数の駆虫薬を使用している場合があり
その組み合わせが危険なものもあるからです。

スポットタイプか経口薬か、居住地、犬種、体質によってもベストな薬は違います。
かかりつけの獣医さんと相談して決めてくださいね。

薬品ですから、投薬の後は肝臓が薬の分解のために働きます。
投薬の後の体への負担が心配という場合は、肝臓サポートのハーブを使うのもお勧めです。
 この製品に含まれるミルクシスル(マリアアザミ)について以前に詳しく書いた記事はこちら。

マダニは都市部の公園などにも普通に生息して、草むらで動物が来るのを待っています。
犬だけでなく飼い主さんも対策をしておきましょう。
気温が35度を超えると、ダニは犬よりも人間に好んで近づくという研究結果も報告されています。

肌の露出をできるだけ抑えて、虫除けスプレーなどを使います。
散歩の後は、人も犬もダニがついていないかチェックしましょう。

「チェックして、ダニが噛みついてたらどうしたらいいの?」

もしも噛まれてしまった場合、絶対に手で無理やり取らないでください。
口部分だけが皮膚に残ってしまうと危険です。

ダニをクルッと回して取り除く、このような製品もあります。
 
取れない場合、人でも犬でもそのまま病院に行きましょう。(人は皮膚科)
自宅で取れた場合にも、必ず病院に行って皮膚に残っているものがないか確認して消毒してもらいます。

マダニの危険性は「ちょっと大げさじゃない?」と思うくらいの対策が必要です。
マダニが媒介する感染症は、噛まれると必ず発症するというわけではありません。
その点は蚊によって媒介される感染症と同じです。

ダニに噛まれた後、3〜4週間は発熱、下痢、倦怠感、発疹などが出ないか観察し
症状が出た場合は内科で必ず「いつ、どこで、どの箇所をダニに噛まれたか」を伝えます。



「あたしは草むらには近寄らないわよ」

ニコもニヤも草が茂っているところに行くことはほとんどなくて
公園でも芝生や砂利道を好む犬らしくない子たちでした。
ありがたいことに生涯を通じてダニに噛まれたことはありませんでしたが、いつも色々心配していたなあ。

「おかーさんシンパイショーだからね」

心配するのも幸せだったんだよ。
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