SMILES@LA

シェルターからやってきたミックス犬のニコとデカピンのニヤ。どちらの名前もSMILEの犬姉妹の思い出を綴ります。

ドッグフードの原材料を見てみよう トライバル

2022-02-26 12:23:45 | ドッグフード原材料シリーズ
ドッグフード原材料シリーズ、今回は『トライバル』です。

過去のドッグフード原材料の記事はこちら

サーモンとダックとターキーがあるのですが、2月にチキンが新発売となっています。
公式サイトによるとターキーは長期メーカー欠品中とのことなのでチキンに置き換わるのかもしれないですね。
どのフードもタンパク質源が違うだけで、他の原材料は同じです。

せっかくなので、新発売のチキンの材料を見ていくことにします。
チキンは発売されたばかりのせいかAmazonでは扱っていなかったのでサーモンの画像。
 
↑こちらは公式サイトです。

フレッシュチキン 35%、スイートポテト 35%、加水分解タラ 13%、

全卵 5%、ビートファイバー 4.5%、ビール酵母 1.5%、

チキンファット 1.4%、リグノスルフォン酸塩 1.25%、イヌリン 0.5%

ハーブブレンド 0.25%(パセリ、ローズマリー、イラクサ、カモミール、セージ、タイム、コリアンダーの葉、タンポポの葉、カンゾウ)

グルコサミン 0.098%、緑イ貝 0.05%、コンドロイチン硫酸 0.045%

ビタミン類(D3 1,500IU/kg)
ミネラル類(硫酸第三鉄一水和物 75mg/kg、酸化マンガン(II) 27mg/kg、硫酸銅(II)五水和物 13mg/kg、硫酸亜鉛一水和物 1.3mg/kg、無水ヨウ素酸カルシウム 1.3mg/kg、亜セレン酸ナトリウム0.2mg/kg)
酸化防止剤(トコフェロール抽出物)

原材料の一番最初にフレッシュチキン=鶏生肉がきています。
この製品はミールを使っていないことをアピールしているので、わざわざフレッシュという言葉を使っています。
35%とありますが、これは重量ベースでの割合です。
生肉は水分が多いので調理後は水分が飛んで、実質の割合はもっと低くなります。

スイートポテトがサツマイモでなくスイートポテトと表記されているのは良い点です。
公式サイトに掲載されている写真もオレンジ色のスイートポテトです。
炭水化物源ですが、食物繊維が多いため血糖値の上昇が緩やかな低GI食品です。
またニンジンのような色が表す通りβカロチンが豊富です。
スイートポテトも35%と書かれていますが、ここにはフレッシュの表記がないので乾燥イモかもしれません。
その場合、鶏生肉と同じ重量で入っていると、実質的にはポテトの割合がとても高くなります。
成分値を見ても粗タンパク質20.1%以上とあり、かなりタンパク質低めです。

加水分解タラ 酵素または酸を使って加水分解したタラで、タンパク質源となります。
タンパク質はアミノ酸がつながって成り立っていますが、酵素や酸を使って加水分解することでつながったアミノ酸がバラバラになります。
そのため消化吸収がしやすくなり、元々の食材にアレルギーがある場合もアレルギー症状が出ないなどの特徴があります。
加水分解されるタラは食用にしないアラ部分が一般的です。
加工後の形状は粉末で水分も少ないので、割合は13%と表記されていますが実質の製品中の加水分解タラの割合はもっと高いと思われます。

全卵は言うまでもなく良質なタンパク質源です。
ペットフードに使われる全卵は私たちがイメージする卵と違って、乾燥した粉末状です。
上記の加水分解タラと同様に、5%と表記されていますが実質の割合はもっと高いと思われます。
もしも乾燥していない普通の卵が使われているとしたら、5%という割合はツナギにもならないくらいの少量です。

ビートファイバー ビート(てんさい大根)から砂糖を作るための汁を搾った後の残りの繊維質です。水溶性と不溶性両方の食物繊維源となります。
4.5%と表記されていますが、英語表記ではパーセンテージが書かれているのは上記卵までの主原料のみです。
多分、信頼性を高めるために輸入業者が配慮して表記したのだと思われますが、率直に言って「その配慮は不要かな〜」と思います。

ビール酵母 エビオス錠などでお馴染みのビールを発酵させる際に使われる酵母です。
各種アミノ酸、ビタミンB群、ミネラル類を豊富に含み、腸内細菌のエサにもなります。

チキンファット 鶏脂肪です。オメガ6脂肪酸(必須脂肪酸)のひとつリノール酸とオメガ9脂肪酸のひとつオレイン酸を豊富に含みます。

リグノスルフォン酸塩 いきなり化学物質的で聞きなれない名前の登場で驚きますよね。
この製品は通常のドライフードよりも低温で加工されプレスして成形されています。
そのために製品を固めるための役割を果たす賦形剤(ふけいざい)として添加されているものです。
植物の細胞壁を構成するリグニンを化学処理して作られたものです。
一言『賦形剤』という表記が欲しいところです。

イヌリン 水溶性食物繊維の一種で、腸内細菌のエサとなるプレバイオティクスとして添加されています。

ハーブブレンド 9種類のハーブが挙げられています。
イラクサ、カモミール、タンポポなどマイルドで日常使いできるものも含まれていますが、
タイム、セージ、カンゾウなど長期使用してはいけないものも含まれています。
日常使いできる種類でも、ハーブは週に2日くらいは休憩したいものです。
個人的にはこのハーブのラインナップで自分の犬に与えるのはアウトです(神経質な反応なのは自覚しています)
他の条件が良くてこのフードを与えたいという方は、全く別のブランドの製品とローテーションをお勧めします。

グルコサミン、緑イ貝、コンドロイチン これらは全部関節のケアとして使われています。
緑イ貝はオメガ3脂肪酸を含み、関節炎サプリのアンチノールの原材料でもあります。
緑イ貝にはグルコサミンやコンドロイチンも含まれています。
原材料としては何も問題はないのですが、これらの0.098%などの割合の表記は問題です。
日本語で0.098%と表記されているグルコサミンは、英語の表記では980 mg/kgとなっています。
これは製品1kg中に含まれるこの成分が980mgという意味で、その意味では0.098%は間違いではありません。
しかし日本語の表記では鶏肉35%のように原材料時点でのパーセンテージが同じ書き方で表記されています。
同じ原材料一覧の中で、表記基準が変わっているのは間違っています。
グルコサミン、緑イ貝、コンドロイチンの割合を表記したいのであれば、英語表記と同じように1kg当たりと明記するべきです。
(これは製品の問題ではなく、日本の輸入業者の問題です。)

最後に来ているのは添加されているビタミンとミネラル類ですが、これも英語表記と微妙に違います。
日本語表記では足りないものがあったり、数値が食い違っていたりします。
例えばアイムスくらいの超大規模グローバル展開のフードなら国によって処方が違うこともあるのですが
この規模のフードでそれは考えられないので、これは日本の輸入業者の間違いだと思われます。

「このフードで他に何か気をつけることはある?」

このブランドが強くアピールしているのはミールを使っていないことと高温で焼き上げるのではなくコールドプレス製法を採用していることです。
チキンミールやフィッシュミールなどのミール類は高温加熱加工されているため、アミノ酸の一部が失われます。
ですからミールを使わず生の肉を原材料にしている本製品は肉類のアミノ酸が保たれています。
また製品の最終加工も100度以下の低温圧縮(コールドプレス)の製法なので、各種栄養素の損失を防ぎます。
また低温加工のため、胃腸内での消化のしやすさもアピールされています。

この製品を与える上で注意したいことは、オメガ3脂肪酸が少ないことです。
日本語では表記されていませんが、英語ではOmega-3→ 1.95 g/kg, Omega-6→ 12.35 g/kgとあります。
原材料の中にオメガ3脂肪酸源となるものが緑イ貝のみなので、これは当然の数字です。
オメガ3脂肪酸の摂取に配慮している他社のフードではオメガ6はオメガ3の3〜4倍の割合で含まれます。
この製品を与える場合、オメガ3のサプリメントなど対策が必要です。

それとハーブの項目でも書いた通り、他の製品とのローテーションをお勧めします。


「もうすでに文句タラタラって感じだけど、全体的にどうなの?」

低温製法というのは良いと思うのですが、ところどころ詰めの甘いフードだなという印象を受けます。
アミノ酸が損失していないと言っても、タンパク質含有量が20%そこそこというのは運動量の多い犬には物足りないかもしれません。

それから上記でも繰り返している通り、輸入業者による表記の不備が目立ちます。
公式サイト自体はオリジナルを基にしているので全体的にはしっかりしているのですが、細かい(しかし大切な)間違いが目に付きます。

ところで日本の公式サイトで「オランダ産コールドプレス製法ドッグフード」と書かれていたのでオランダの会社なのかと思ったらイギリスの会社でした。
オランダ語→英語の翻訳アプリでオランダ語のサイトを読んだら、そう書いてあった!
ちょっとこれはどうなの!?って感じですよね。

また日本語公式サイトでは「ヒューマングレードのフレッシュミートを使用」と書かれていますが、英語サイトにヒューマングレードの表記はありません。

オランダ語の販売サイトには「動物福祉、食品安全、トレーサビリティ、環境保護について責任を持って製造されていることを意味するレッドトラクター基準をクリア」とあります。
ヒューマングレードというのがこれを意味するのであれば、それはちょっと雑過ぎです。

しかしイギリスの公式サイトではレッドトラクター基準の表記も見当たらないので、オランダのサイトの情報も古い可能性があります。

過去の原材料シリーズでも何度も書いていますが輸入フードを買う時のポイントのひとつに、輸入業者の信頼性があります。
その点で不安を感じるところがありますね。


本日のニコニヤは2021年11月です。
コメント (22)
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オットの認識

2022-02-22 01:14:22 | ニコとニヤの思い出
今日ね、オットがPCでニコニヤの古い写真を見てたんですよ。
「懐かしいなあ」「かわいいなあ」と言いながら。
まあ、そこまでは分かりますよ。

このニコとニヤがジャレあってる写真を見て、しみじみした調子で
「ニヤは繊細で傷つきやすい子だったなあ」って......はあ〜?誰が?
「ニヤあそぼ」「いやよニコちゃん野蛮だし」

オットは「ニコと遊んでてもすぐにお腹を見せて降参してたし」と言ってましたが
お腹見せてニコに蹴りいれてますけど?
ニヤのあれは降参じゃなくて作戦だったんですけど?
「もお〜ニヤは〜」「しつこいのよっ!」

画像の右に写っているのはオットの腕だから、リアルタイムで見てたはずなのにw
「ニヤ顔きれいにしてあげるよ」「いーらーなーいー」


「人は見たいものしか見ないし、信じたいことしか信じないのよ」

そうね、ホントにそうだわね。

本日のニコニヤは2009年、どちらもピチピチの頃です。
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犬の本2

2022-02-18 01:00:39 | 犬のおはなし
前回に続いて、BBCサイエンスフォーカス誌が薦める犬の本7冊の後半です。

こちらはカナダの獣医師ブルース・フォーグル博士の著書です。
  獣医学と動物行動学の面から犬のことを解説している本と言えばいいかな。
1995年に出版されたのですが、この分野の定番書籍のひとつです。
何がすごいって1995年に「犬に罰を与えてはダメ。トレーニングは報酬ベースで」と書かれているんですよ。

Amazonでは中古品しかないのが残念。日本語のKindle版もないんですよ。
でもフォーグル博士の他の著書はたくさん日本語に翻訳されています。
犬版「家庭の医学」的な本は高価ですが、持っておく価値はあります。
 
こちらは英語のKindle版。
 
次のこれはこのリストの中では異色の一冊。
イギリスのテレビタレント、ステファン・ゲイツ氏の著書です。
著者は科学者ではないですが、書かれている内容は科学的です。
何しろタイトルがDogology=犬学ですからね。 
科学的と言ったすぐ後にナンですが、非常にくだらない(褒めてる)疑問を挙げて犬を読み解いています。
例えば「どうしては犬はオナラをするのに猫はしないの?」
「犬はなんでウンコする時に人の顔をじっと見てるの?」
「犬ってオオカミの可愛いバージョン?」

残念ながら日本語に翻訳されていないのですが、Kindle版の洋書が読めます。

最後は動物行動学者でドッグトレーナーでもあるザジー・トッド博士の著書。
 他の6冊に比べると、犬のトレーニングについて実用的なことが書かれています。
トレーニングのテーマは犬をハッピーにすること!
獣医師や動物心理学者へのインタビューに基づいてトッド博士が分かりやすく解説。
残念ながら日本語訳が出ていないのですが、英語のKindle版が読めます。

ザジー・トッド博士は「コンパニオンアニマル・サイコロジー」というサイトを運営しています。
犬だけでなく猫や他の動物の心理学をテーマにしたサイトでオススメです。
サイトだから翻訳アプリなどでも読み易いし、写真も綺麗で楽しいです。。



「みなさん、おもしろそーな本はありましたか?」


↑のニコは2017年でーす。
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犬の本

2022-02-16 02:55:54 | 犬のおはなし
先月、イギリスの雑誌BBCサイエンス・フォーカス誌のサイトで「犬への理解を深めるための7冊の本」という記事を見かけました。

犬を迎える前や迎えた後に、トレーニングの本を読んでみたことがある方は多いと思います。でも内容が難しくて頭に入ってこなかったという経験はないでしょうか?

犬のトレーニング方法って科学的できちんとしたものほど独特の用語が多いです。聞いたこともない長いカタカナの言葉だったり、日本語に訳した用語も日常生活で使わない言葉だったり。

そういった用語をネットで調べてみてもやっぱりピンと来ない。
そういう場合には「急がば回れ」で犬がどんな生き物で、何をどんな風に感じているのか、
どういうシステムで物事を学習するのかという根本的なことから知ったほうが早いかもしれません。
犬についての知識が増えた上で、トレーニングの方法を学ぶと何故そうするのかという理由が理解しやすくなります。

サイエンス・フォーカス誌で紹介されていた書籍はまさにそういうことを助けてくれるものでした。

日本語に訳されているものもあるので、ここで紹介しますね。

初っ端から日本語訳のない本ですみません。
 ドッグビヘイビアリストのマット・ワード氏の著書。
犬の五感やケアの方法、トレーニングなどについてイラストでわかりやすく説明しています。
可愛いイラスト中心で読みやすいのでイヌスキーさんの英語学習にも最適です。

次、オーストラリアの動物行動学者クライブ・ウィン博士の著書です。
犬の行動や学習の基本は彼らの「愛する能力」から来ているというテーマで書かれています。
サイエンス・フォーカス誌のイチオシの本でもあり、私も注文しました。
ウィン博士は アメリカのアリゾナ州立大学ケーナイン研究所の設立者でもあります。

次はまた日本語訳のない本なのですが、これすごく面白そうです。
動物行動学者ジョン・ブラッドショー博士の著書です。
 この本は犬のことではなく動物人類学に基づいて、動物との関係を通じて人間のことを考えたものです。
「人間はなぜペットを飼うのか?」「なぜ一部の動物だけがペットとして受け入れられるのか?」「害虫は?家畜は?」などが語られているそうです。
ブラッドショー博士はイギリスのブリストル大学の動物人類学研究所の設立者でもあります。

ブラッドショー博士の他の著書は日本語訳が出版されています。
これも犬のことを読み解く本の定番になっています。
 

次は犬の認知研究の第一人者の一人アレクサンドラ・ホロウィッツ博士の著書。
犬がどのように物事を学習し理解するのかを知るのに必読の書だと私が思っている一冊です。
これはトレーニング本ではありませんが、この本を読むとトレーニングへの理解が深まります。
 
ホロウィッツ博士の著書は日本語訳も複数あり、どれもお勧め。
 
 長くなったので次回に分けますね。

「サボってないで続きも早くアップしなさいね」

はいニヤ様、その通りでございますね。
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ペットロスから得るもの

2022-02-10 00:33:48 | ごあいさつ/お知らせ
前回弱音を吐いたばっかりの私がこんなことを書いてもあんまり説得力がないかもしれないですが😅 

2017年にアメリカのパロ・アルト大学とサンフランシスコ大学の心理学者が発表した「ペットロスの後の心的外傷後成長についての調査」を紹介した記事です。

心的外傷後ストレス障害=PTSDはかなり知名度が高くなってご存じの方も多いと思います。
心的外傷後成長というのは心に傷を負った後にその経験を通じて精神的な成長をすることです。

ペットロスの後に得た精神的な成長や自分にとっての有益なことがありましたか?それはどんなことですか?というアンケート調査です。

2017年の文献で少し古いのですが、これ以降よく似た類の調査は行われていないので紹介しました。

他の調べ物をしていた時に偶然この文献を見つけて「これはちゃんと読んで書かなくちゃ」と思ったものです。
書いている途中で泣けてきて、また頭が痛くなったんですけれどね(笑


「おかーさん、ニコの顔を見て笑って〜」

ニコやニヤがいなくなって、色々立ち止まって考えることが増えて、確かに前よりはちょっとだけ思慮深くなったような気はする。
でも考え無しのバカの自分のままでいいからニコとニヤがいる方がいいよ。

今日のニコは2013年3月です。
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