教育カウンセラーの独り言

今起こっている日本の教育の諸問題と受験競争の低年齢化している実態を見据えます。

 東大教授 鈴木宣弘 『世界で最初に飢えるのは日本』" を YouTube で見る

2024年05月26日 14時55分59秒 | 社会・経済

 東大教授 鈴木宣弘 『世界で最初に飢えるのは日本』" を YouTube で見る
https://youtu.be/mVtoHhUdnfs?si=CvXH8vAq0tnFZ79S

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日本の若者が大損するのは「高齢者」のせいなのだろうかみ残しを放置する夫は経営が下手……。

2024年05月25日 11時15分14秒 | 社会・経済

日本の若者が大損するのは「高齢者」のせいなのだろうか

意外と知らない「対立の根本原因」
現代ビジネスhttps://gendai.media › articles


なぜ組織の上層部ほど無能だらけになるのか、張り紙が増えると事故も増える理由とは、飲み残しを放置する夫は経営が下手……。

12万部ベストセラーとなっている『世界は経営でできている』では、東京大学史上初の経営学博士が「人生がうまくいかない理由」を、日常・人生にころがる「経営の失敗」に見ていく。

※本記事は岩尾俊兵『世界は経営でできている』から抜粋・編集したものです。

人本論:人間の本質は価値創造にある

ここで、一例として日本社会の大きな問題として頻繁に取り上げられる超高齢社会について、価値創造を目指して再考してみよう。価値有限の発想に捉われると、現役引退後に高額な医療を消費する高齢者の存在は、若年者から金銭を奪っているだけだということになる。これが高齢者と若年者の極端な対立につながるわけだ。

私は綺麗ごとを言わない。現状はその通りだろう。

だが、価値創造によってそうでない状況を実現できる可能性があるのも確かだ。そのことを考えてみることすらしない社会状況こそが閉塞感を生む。超高齢社会においては、「幸いにも」高度な医療を大量消費する高齢者が無数に存在する。だとすれば、もしかしたら彼らの大量の医療データを宝の山に変えられるかもしれない。

 
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三菱電機がグループ12万人の業務に生成AI導入、「使い続ける」ために必要な意識と心構えとは?

2024年05月23日 18時18分17秒 | 社会・経済
 

三菱電機がグループ12万人の業務に生成AI導入、「使い続ける」ために必要な意識と心構えとは?

全社横断の「AI戦略プロジェクト」を立ち上げ、「事業・ものづくり・業務」の3領域で活用を推進

 


 
三菱電機 AI戦略プロジェクトグループマネージャー 兼 DXイノベーションセンター 副センター長の田中昭二氏(撮影:今祥雄)

「生成AI活用の取り組みでは他社との連携が不可欠です。だからこそ、パートナー企業を含めたAIガバナンスを構築することが大切になると考えています」。AI活用に必要な環境整備についてこう語るのは、三菱電機 AI戦略プロジェクトグループマネージャー 兼 DXイノベーションセンター 副センター長の田中昭二氏だ。2024年2月に「AI戦略プロジェクト」を立ち上げ、全社的なAI活用に取り組む三菱電機。同プロジェクトを立ち上げた目的と生成AI活用のポイント、今後の展望などについて田中氏に話を聞いた。

グループ横断のAI組織、「戦略チーム」と「実働チーム」に分かれてAI活用を推進

――2024年2月に全社横断の「AI戦略プロジェクト」を立ち上げました。AI戦略プロジェクトとは、どのようなものでしょうか。

田中昭二/三菱電機 AI戦略プロジェクトグループマネージャー 兼 DXイノベーションセンター 副センター長

1991年に三菱電機 情報電子研究所(当時)に入社。1996年から2000年まで国際電気通信基礎研究所に出向。コンピュータビジョン、コンピュータグラフィックスの研究に従事。三菱電機帰任後、携帯電話の画像処理技術、カーナビゲーションの描画処理技術の開発に従事。2013年から三田製作所にてカーマルチメディア製品の量産開発を牽引。その後、自動車機器事業部副事業部長、自動車機器開発センター長を経て、2024年2月にAI戦略プロジェクトグループマネージャー、現在に至る。

 田中昭二氏(以下敬称略) 生成AIをはじめとした「AI利活用の戦略」をコーポレート全体で考えるプロジェクトです。具体的には、事業・ものづくり・社内業務の3つの領域にて、AIによる改革を進めていこうと考えています。例として、事業領域なら生成AIを活用した付加価値の提供、ものづくり領域なら開発や設計、製造のリードタイムの短縮、社内業務領域なら生成AI活用による業務効率化などが挙げられます。

 当社は元々、機械学習のAIを継続的に活用してきました。三菱電機のAI技術ブランド「Maisart(マイサート)」はその象徴です。こうした土台もあり、特に生成AIの登場以降は、この技術を活用するアイデアがグループ内の各所から出てきました。

 それらのアイデアを並べると、同じ課題に対してそれぞれの部門で個別に解決策を検討している事象が見受けられ、知識や情報のサイロ化が少なからず発生していました。そこで、当プロジェクトが旗振り役となって、社内のAI利活用に関する事柄を一度集約し、統率をとった上で取り組みを進めていくことになりました。すでに2桁に及ぶAI利活用の企画が動いています。 

 これ以外にも、グループ内で生まれたAI活用事例やベストプラクティスの共有、AIに使うデータの整備、人材育成の環境構築なども手掛ける予定です。加えて、AI利活用のガイドラインやガバナンスもトータルで見る役割も担っています。

――組織のメンバー構成はどのようになっているのでしょうか。

田中 グループ横断の横串組織になっており、AI戦略プロジェクトではAI活用の全社戦略を取りまとめています。会社全体で見ると、AI戦略プロジェクトの戦略チームと、各事業部門の実働チームに分かれており、戦略チームがアイデアの発案や計画を立てて、実働チームがそれを実装していきます。

 実働チームはプロジェクトごとに異なり、事業領域にAIのアイデアを実装する場合は、DXイノベーションセンターが担当するケースが考えられます。同様に、ものづくり領域は生産システム本部、社内業務領域はITソリューションビジネス&業務改革推進本部を中心に取り組みを進めています。

 

 

 

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ローカル鉄道の輸送密度「1万人以下切り捨て」で見えてきた“明治初期への回帰” JRは結局、誰のために列車を走らせているのか?

2024年05月05日 14時08分57秒 | 社会・経済

ローカル鉄道の輸送密度「1万人以下切り捨て」で見えてきた“明治初期への回帰” JRは結局、誰のために列車を走らせているのか?

Merkmal5/4(土)6:11

ローカル鉄道の輸送密度「1万人以下切り捨て」で見えてきた“明治初期への回帰” JRは結局、誰のために列車を走らせているのか?

JR四国・松山駅(画像:上岡直見)

実は大都市にも関係がある「ローカル線」

 この記事は「ローカル線」がテーマである。しかし実は大都市圏の利用者にも無関係ではない。2024年3月のJR東日本のダイヤ改正で京葉線の通勤時の快速列車が廃止され、沿線の利用者から強い抗議が寄せられたことは記憶に新しい。

 大都市圏でも「みどりの窓口(有人窓口)」が次々と減らされている。代わって

・電子チケット
・指定席(多機能)券売機
・オペレーターと話せる対話型券売機

などが増えているが、利便性をアピールしているものの鉄道好きの筆者(上岡直見、交通専門家)でさえ使いにくくて困惑する。利用者のニーズを無視して、JR側の都合だけで機能を限定したシステムになっているからである。

 筆者は東京から在来線で約2時間ほどの町に時折行く用件がある。ここは特急も走っているのだが、2023年末に行ったところ、無造作に板を打ち付けただけの改装で窓口が閉鎖されていてあきれた。JR東日本の本社からみれば隣接県はもう

「ローカル線扱い」

という現実に気づいてほしい。国鉄時代には利用者の視点を欠いた

「親方日の丸」

と批判されたが、最近のJRは急速にその状態に回帰しているように思われる。

国交省・JR各社資料より著者作成(画像:上岡直見)

消える日本列島の「かたち」

 鉄道の経営状態を示す数値として「ある区間を、1日に何人の旅客が通過しているかを」を示す「輸送密度(人/日)」という数字がある。感覚でいうと、

・大都市圏のJRや大手民鉄:10万〜数十万人/日
・地方都市圏の幹線:数万人/日
・ローカル線や中小民鉄:数千〜1万人/日

程度である。JR三島会社(北海道・四国・九州)では約7000人/日である。

 ちなみに欧州連合(EU)圏では、最も高いオランダで約1万7000人/日、EU圏全体平均で約5800人/日である。つまりEU圏は全体として

「JR北海道・JR四国以下」

のローカル線であるが、近年は環境の観点から鉄道活用を政策として推進している。日本の鉄道の輸送密度が桁ちがいに高いのは

「詰め込み輸送」

の結果であり、JRはじめ鉄道会社にとっては「コスパ」がよいだろうが、利用者にとって望ましい状態なのかといえば首をかしげざるをえない。採算性の観点だけからみると

「数千〜1万人/日前後」

が企業的に成立する分岐点とされる。もし1万人/日以下の線区を切り捨てたら日本の鉄道ネットワークはどうなるだろうか。

 実は新幹線でも1万人/日を割る区間が存在するが、さすがに新幹線を細切れにはしないだろうから新幹線は全線残るとした。現在は鉄道路線で日本列島の形が描けているが、1万人/日以下を切り捨てると日本列島はやせ細った形になってしまう(図参照)。新幹線を除くと

「明治初期の姿」

に相当する。1980年代に旧国鉄の分割民営を推進した自民党は、「鉄道ネットワークが崩壊するのではないか」という国民の疑念に対して、極端に輸送量の少ないローカル線(特定地方交通線)以外は維持するとアピールする意見広告を全国の新聞に掲載した。それから三十数年間、いくつかの路線廃止はあったものの辛うじてネットワークは維持されてきた。

 しかし最近、日本で初めて鉄道が運行された1892(明治25)年から150年を過ぎた2023年2月には「地域公共交通活性化法改正法」(正式名称は「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案」)が閣議決定された。詳細はここで解説する余裕がないが、活性化をうたってはいるが、暗にJRを念頭に置いて

「不採算路線の切り捨て」

を容易にする道筋をつけ、鉄道を残したければ地方自治体で負担せよという趣旨の法律である。

ローカル線(画像:写真AC)

問われるJRの運行目的

 JR西日本の長谷川一明社長は鉄道の将来像について

「鉄道そのものを旅をいざなう乗り物にしていくことも重要です。メタバース(仮想空間に作られた世界)のようなバーチャルな空間を車内に組み込む発想があってもいいでしょう」

と経済誌のインタビューで語っている。

 しかし地域の利用者はそのような鉄道を求めているだろうか。現実のローカル線ではダイヤ改訂のたびに減便・減車が続き、積み残しが発生するほどになっても地元の苦情に耳を貸さない。無人駅が増えてトイレも待合室も撤去が急速に進んでいる。

 JR東日本の『TRAIN SUITE四季島』をはじめJR各社は最低ランクでも数十万円コースというクルーズトレインを運行している。近年は海外からの観光客も多い。それらの列車が走る景観にすぐれた路線のほとんどは「1万人/日以下」の赤字ローカル線だ。それでも大人気なのは単なる移動手段ではない価値を鉄道に見いだす人が多いからだろう。JR各社はローカル線を

「客寄せの材料」

として使ったあげく捨ててしまうのか。ローカル線の利用者は「お客さま」には含まれていないのかもしれない。

ローカル線(画像:写真AC)

ローカル線を残す「論理」

 ローカル線に関してはしばしば

「輸送量が少ない鉄道路線はバスに転換すればよい」

という議論がみられるが、当媒体の他の記事でも何度か取り上げられてきたように、バスも危機的状況にある。

 最近ではドライバー不足が焦点だが、鉄道で採算が取れないような地域では、バスに転換したところで短期的に赤字額が縮小するだけでいずれバスも廃止される。現に2000(平成12)年以降に累積で

「約62万km」

のバス路線が休廃止されてきた。

 ローカル線で「100円の営業収入に対して営業費用が何万円もかかる」などの極端な例が興味本位に取り上げられるが、総額として日本の鉄道全体に占める赤字の割合はごくわずかでしかない。

 都市部の鉄道利用者が負担した運賃収入がローカル線の維持に使われるのは不当だという意見も聞くが、これまでにも多くのローカル線が廃止されてきたにもかかわらず、大都市の鉄道利用者の利益、具体的には

・値下げ
・混雑解消
・利便性向上

などとして還元された実績があるだろうか。

 一方で携帯電話やスマートフォンを考えてみよう。これらが機能するには、ユーザーが所持するデバイスの背後で基地局・サーバーなど膨大なシステムの稼働が不可欠である。いま過疎地でも至る所に基地局が設置されている。仮に地域別に計算すれば過疎地では一通話に何万円かを課金してもコストは回収できないだろう。大都市のユーザーが過疎地のユーザーを補助することで全国どこでも通じるシステムとして成り立っている。

「自分は都市内での通話にしか使わないのに過疎地の費用を負担するのは不当だ」

という批判は聞いたことがない。

国交省・総務省資料より著者作成(画像:上岡直見)

単なる「移動手段」ではない鉄道価値

「鉄道(駅)を廃止すると町が寂れる」という話をよく聞く。ここで具体例として、北陸地域はかつて

「国鉄の駅ごとに私鉄が接続している」

といわれたほど多くの中小私鉄が存在する私鉄王国であったが、その多くが廃止された。ここを例にして

・現状で鉄道(駅)が存在する地域
・過去に鉄道(駅)が存在したが現在までに廃止された地域
・もともと鉄道(駅)が存在しなかった地域

の三分類で、それぞれこの間30年間の人口推移を調べてみた(図参照)。

 すると、現在も駅が存在する区域では、駅が廃止された区域・もともと駅が存在しなかった区域に比べると、人口の減少が抑制されている。

 実はその関係については研究者の間でも諸説があり、因果関係が逆(利用者が減少したから廃止せざるをえなかった)という見解もあるが、結果として鉄道駅が“町の核”となっていることが推定できる。

 ローカル線の存続は採算性だけでなく多様な側面から議論すべきではないだろうか。

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「あの大学出身者はNG」…採用の現場で「学歴フィルター」復活の予兆【キャリアのプロが解説】

2024年03月25日 14時47分47秒 | 社会・経済

「あの大学出身者はNG」…採用の現場で「学歴フィルター」復活の予兆【キャリアのプロが解説】

THE GOLD ONLINE3/25(月)7:15

「あの大学出身者はNG」…採用の現場で「学歴フィルター」復活の予兆【キャリアのプロが解説】

「あの大学出身者はNG」…採用の現場で「学歴フィルター」復活の予兆【キャリアのプロが解説】

 

かつて採用の現場では学歴が重視されていましたが、2000年頃にソニーが始めた革新的な採用方法を皮切りに、学歴ではなく「人物」を重視する採用にシフトしていました。ところが今になって、大企業を中心に「学歴重視」の採用が増加しているというのです。深刻な人手不足のなか、なぜ学歴重視へ回帰しているのか。東京エグゼクティブ・サーチの代表取締役社長・福留拓人氏が、その理由と懸念点を解説します。

大企業を中心に急速に「学歴重視」に回帰している

最近の採用市場を見ていると、新卒(定期)・中途にかかわらず、学歴偏重の傾向を感じるようになりました。学歴に応じて差別に近い対応をするのは、おおむね大企業です。雇う側が採用にあたって学歴を重視するのは自由ですが、行き過ぎた学歴偏重はいかがなものかと首をかしげたくなります。

そうした危惧の声は、筆者のような人材コンサルタントだけでなく、採用事情に詳しいジャーナリストからも聞こえてきます。どうやら大企業が最近になって急速に学歴重視に回帰しているというのは間違いなさそうです。

ご存じとは思いますが、かつて採用にあたって学歴が重視された時代がありました。まさに学歴偏重社会の入口でした。そこに風穴を開けたのは2000年ごろに展開されたソニーの革新的な採用手法でした。

たとえば、エントリーシートに大学名を書かせないことが注目されました。白紙1枚のエントリーシートには「この紙面にあなた自身を自由に表現してください」と書かれていました。ウォークマンなどの画期的な新製品を生み出し、“ジャパン・アズ・ナンバーワン”の勢いがあったソニーならではの革新的な採用手法であったと思います。

当時のソニーはスティーブ・ジョブズのアップル社が「会社を買ってくれ」と申し出るような存在でした。学歴で優秀な人材をはじいてしまうのはよくないというソニーのアーティスティックな立ち位置が生まれ、ここから「学歴で区別や差別をするのはやめよう、それは無意味なことだ」というトレンドが当然のように広がっていきました。

さて、それなのになぜ、21世紀の今になって採用の様相が学歴偏重に回帰しつつあるのでしょうか。これは、いろいろな局面で明らかになっている日本の凋落に原因があるように思います。とくに企業における採用では、日本経済の縮図ともいうべきマイナス環境が複合的に影響しています。では、その一端を具体的に拾い上げてみましょう。

将来的には「学士」という資格も無価値になる

まず日本に少子高齢社会が到来したこと。2023年のデータで、日本人の出生数は前年より約4万人減少して約72万人(マイナス約5.5%)となりました。これは過去最大の減少数とされています。高度経済成長期のベビーブームと比べると絶望的に思えるほど出生数の減少が続いています。

その結果どうなったかというと、大学が余りはじめました。つまり、学校をえり好みさえしなければ、「大学全入時代」になっているのです。少々厳しい言い方かもしれませんが、これからは「学士」という資格自体に価値がなくなってしまうでしょう。

その昔、大学進学率30%台という時代がありましたが、現状は60%台後半の数字になっています。50%台後半から60%台なかばくらいの数字を考えると、経済的な理由で進学を断念している学生は一定数いるものの、入試のマインドとしては、ほぼ全入状態といってよいと思います。

そして最も大きな問題だと思うのは、企業の動向と鋭く結びついている事象かもしれませんが、日本が格差社会になりはじめていることです。

残念ながら「生まれながらの家庭の経済力」が一生を左右してしまうような、教育格差を生み出す社会になりつつあります。裕福な家庭に生まれて潤沢な教育予算のもとでレベルの高い教育を受けられる子どもと、そうした恩恵に預かることができない子どもの間に大きな差ができてしまいます。

いろいろな社会情勢の変化で学校の教育現場も疲弊していますし、常識ではコミュニケーションが取れないような親御さんも増えてきているようです。そして、現在はいつの間にか中学受験が進学の前提になっています。地元の小学校からそのまま公立中学校へ進学させるのは、心もとないということでしょうか。

こうした時代背景が、以前とは違った受験戦争を誘発させています。かつては終身雇用の慣習が残る時代でしたから、よい会社に入って大過なく人生を送ることが目的となる受験戦争でした。生涯で最善の結果を得るために逆算して「よい会社に入るためには、よい学校に入らねばならない」ということになったわけです。

それが今では、よくない環境の教育現場に入ると子どもの成長に悪影響が及ぶので、そこから避難するかのように私学を受験するという風潮になっています。このように以前の受験戦争といまの受験戦争では、様相が違うことに注目しなければならないでしょう。

企業が求人票に「大学名」を記入し始めているという現実

結論としては、「一流大学に入っている学生は高い学力を保持している」という評価ではなく、家庭環境から推察して「人間性が偏っているリスクが低いであろう」という評価をされることになります。そのため、企業が大学を固有名詞で指定してフィルターを掛けてくる傾向が急速に強くなっているのです。

大学の名称などは、一般的には就職差別を誘発する要素ですから、求人票などには絶対に書いてはならない事項なのですが、残念ながら筆者の経営するエージェントには、「東大早慶一橋まで」とか「旧帝大以上に限る」とか「日東駒専はNG」といった、公言できない言葉がそのまま通達されることが多くなってきました。

残念なことですが現実はそこまで来ています。

学力について、昔こういう笑い話がありました。学歴差別はよくないのでエントリーシートに大学名を書かせずに入社試験を実施したところ、フタを開けてみると合格したのは一流大学の学生だけだったということです。基礎学力の測定を重視した試験を課せばもちろんそうなるわけですが、最近はそういう点をあまり重視しません。

入社試験で基礎学力を測るようなことはあまり行われなくなりましたが、先に述べたように人間性のリスクを回避する動きを学歴に頼っているところが増えているようです。

たとえば新卒で入社して半日で電撃退職してしまうとか、ある日突然出社しなくなるとか、退職手続きに親が現れるとか、家族や友人が会社に乗り込んでくるとか、ひと昔前の常識では考えられないようなことが起きているからです。

やや性急で浅はかな見解かもしれませんが、企業は「学力を以て一流大学に入った」というよりは「本人を介して親を見よう」としている面があります。

この大学なら精神疾患やモンスターペアレンツ的な動きをするような確率が低いであろうということで、そこを学歴に関連づけているわけです。非常によろしくない傾向だと思うのですが、我が国のいろいろな部分での凋落を表している現象だといえるのではないでしょうか。

人手不足を叫びながら「学歴フィルター」は緩和しない矛盾

もちろん一部の業界、特定の上級公務員などに一定の学歴フィルターが掛かっていることは衆目に一致しているところです。しかし、一般企業の大半まで学歴フィルターが浸透してきているのは問題であると思います。

かつ慢性的な人不足が叫ばれているにもかかわらず、この学歴の部分は緩和する傾向があまり見られません。すなわち、極めて少ない人を多くの企業が奪い合うというのは、こういうところからもいびつなかたちで発生しているのです。

今後とも状況の変化を注視しなければなりません。人不足が解決できないことで学歴フィルターが維持できなくなり、そのロジックが崩壊に向かうのか、それとも企業のさらに激しい人材争奪戦になるのか。それはやがて一般の社会にも浸透し、一層極端な受験戦争の復活に発展する可能性もあると思います。

学歴フィルターの復活については採用市場だけでなく、広く社会的な視点でよく観察していくことが必要なのではないでしょうか。

福留 拓人 東京エグゼクティブ・サーチ株式会社

代表取締役社長

著者:福留 拓人企業

 

 

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「新幹線を東京〜大阪以外に作れば大変なことになる」と新幹線の父は言った - JBpress

2024年03月19日 15時03分44秒 | 社会・経済
1 日前 — そんな西九州新幹線も、ここに至る道は決して平坦なものではなく、国、鉄道事業者、沿線自治体の間で、あるべき姿について協議が繰り返されてきた。そして ...
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「新幹線を東京〜大阪以外に作れば大変なことになる」と新幹線の父は言った
政治家の人気取りに使われ、地元の鉄道離れを引き起こす新幹線の「光と影」【JBpressセレクション】2024.3.18(月)池口 英司フォロー地域経済 地域振興 経済 物流・運輸 生活・趣味シェア39共有する

武雄温泉~長崎間で2022年9月に開業した西九州新幹線の「かもめ」は6両編成の「N700S」で運行する(写真:アフロ)
ギャラリーページへ
JBpressで掲載した人気記事から、もう一度読みたい記事を選びました。(初出:2022年11月21日)※内容は掲載当時のものです。
2022(令和4)年9月23日、西九州新幹線・武雄温泉~長崎間が開業した。九州新幹線長崎ルートの未開通分のほか、北海道新幹線の札幌延伸工事も進められている。さらなる新幹線の建設が、国政の場などで検討される日が来ることもあるだろう。だが、想定した需要がなく仮に赤字が生まれた時に誰が負担するのか。新幹線開通後に並行する在来線をどう維持するのか。日本が好景気にあった昭和40年代の発想から変わらないままでいいのか。(文中敬称略)
(池口 英司:鉄道ライター・カメラマン)
東海道本線の救済を目的に建設された新幹線
 開業した西九州新幹線・武雄温泉~長崎間69.6営業キロの間に設置された駅は5駅。6両編成の「N700S」で運転される「かもめ」は全線を最短23分で走破する。在来線特急との乗り継ぎによって博多~長崎間は最短1時間20分で結ばれ、従来からおよそ30分の短縮となる。
 新幹線の開業は相応の時間短縮効果をもたらしているが、今回開業した区間は整備新幹線として建設が進められてきた九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)の部分開業に過ぎず、残されている新鳥栖~武雄温泉間の建設工事が引き続き進められてゆくことになる。ただし、この区間の開業予定時期はまだアナウンスされていない。
 そんな西九州新幹線も、ここに至る道は決して平坦なものではなく、国、鉄道事業者、沿線自治体の間で、あるべき姿について協議が繰り返されてきた。そして、方針が二転三転してきた経緯がある。
 在来の鉄道とは別の次元の高い規格を備える一方、建設費も維持費も相応のものとなる新幹線という交通機関。その運営について十分なコンセンサスが得られないままに進められたプロジェクトが、満足のいく結論を得られないままに、開業の日を迎えてしまった。そんな印象が拭いきれない、今回の開業であった。
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衝撃!2025年、中小企業127万社が後継者不在…大廃業時代へ

2024年02月15日 15時51分09秒 | 社会・経済
2021/03/17 — 2025年には、日本企業全体の1/3にあたる127万社が「後継者不在」になると予想されています。会社を継承する人が見つからない場合、選択肢の一つとして ...
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ジム・ロジャーズ氏「日経平均は近く史上最高値を更新するが、日本の未来を救うことにはならない」

2024年02月10日 06時29分20秒 | 社会・経済
23 時間前 — 日経平均株価はバブル期以来34年ぶりに高値を更新するなど、「失われた30年」と呼ばれ深く沈んでいた日本経済にようやく復調の兆しが見えてきました。
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音羽印刷、破産手続き開始

2023年12月14日 14時37分03秒 | 社会・経済
出版業界唯一の専門紙MENU
https://www.shinbunka.co.jp › archi...

音羽印刷、破産手続き開始

  • 投稿日2023年12月14日
  • カテゴリー ニュースフラッシュ
音羽印刷㈱(資本金6000万円、東京都新宿区東榎町10-3、登記面=同千代田区内神田2-14-12、梅村直希代表)は12月5日、東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。
破産管財人は、三好高文弁護士(同千代田区神田須田町1-21-3、桜の風法律事務所、電話03-3525-8725)。債権届出期間は来年1月4日まで、財産状況報告集会は同3月22日午後2時から。
同社は1964年創業、81年に法人改組された印刷業者。帝国データバンクによると、2020年1月期には年売上高約15億8200万円を計上していた。
しかし、23年1月期は約11億6900万円に減少。消耗資材の価格高騰が収益を圧迫した。消費税・社会保険料の滞納や決済難が生じ、今年11月6日に債務整理を弁護士に一任していた。負債は、債権者約179人に対し約20億5934万円
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「貧しい若者」から「豊かな高齢者」へおカネを仕送り…日本を滅ぼす「社会保険料」のヤバすぎる負担

2023年11月27日 15時47分06秒 | 社会・経済

「貧しい若者」から「豊かな高齢者」へおカネを仕送り…日本を滅ぼす「社会保険料」のヤバすぎる負担

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「貧しい若者」から「豊かな高齢者」へおカネを仕送り…日本を滅ぼす「社会保険料」のヤバすぎる負担
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 生活が苦しい。国の経済が危ない。そんな議論のたびに税金が悪者と言われる。だが実は、こっちこそが本丸なのだ。誰も異論を挟めず、膨らみ続ける社会保障という重荷―もはや、手遅れなのか。

【写真】「マクドナルドは贅沢」日本の若者が『結婚・出産』を諦めざるを得ないワケ

まるで戦時経済

「貧しい若者」から「豊かな高齢者」へおカネを仕送り…日本を滅ぼす「社会保険料」のヤバすぎる負担
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 埼玉県に住む中山浩之さん(37歳・仮名)は先日、74歳の父親と電話で口論になったという。

 「妻と相談して戸建てに住み替えようと考えたのですが、最近はとにかく不動産が高い。父に頭金をいくらか援助してくれないかと頼んだら、『うちだって懐が厳しいんだ。なんでお前はちゃんと貯金していないんだ』と怒り出してしまって……」

 大手メーカーに勤める中山さんは年収700万円と、決して薄給というわけではない。ただ、同じ年収700万円でも、手取り額が平成中期までは約600万円だったところ、令和のいまは約550万円と、50万円も減っている。これではなかなか貯金もはかどらないが、中山さんの父が、そのような現状を知るはずもない。

 なぜサラリーマンの手取りはこれほど減っているのか。「主犯」が、給料から天引きされる社会保険料だ。

 中山さんの父が40代でバリバリ働いていた'90年代には、社会保険料率は20%足らずで、ボーナスもほぼまるまる懐に入っていた。ところが'00年に介護保険法が施行され、'04年には厚生年金保険の料率引き上げが始まった。いまや給与所得の約30%、つまり3分の1近くが強制的に召し上げられている。

 言うまでもなく、その使い道の大部分は医療、年金、そして介護―大半が高齢者向けの社会保障である。国の財政に詳しい、関東学院大学教授の島澤諭氏が言う。

 「いまの日本の財政は、まさに『戦時中』というべき状態です。太平洋戦争の開戦前夜、1940年には国の予算の50・3%が軍事費に使われていました。それが、いまでは歳出の3割+国債費の約6割+地方交付税交付金の3割、あわせて国家予算の50%以上が社会保障費に充てられている。私たちは国の存亡をかけて『社会保障と戦争している』と言っても過言ではありません」

財務省が「Xデー」を警告

「貧しい若者」から「豊かな高齢者」へおカネを仕送り…日本を滅ぼす「社会保険料」のヤバすぎる負担
Photo by gettyimages

 折からの物価高騰と円安で、国民の不満は最高潮だ。各社の世論調査では、岸田政権に「物価対策」「経済対策」を求める人の割合がこれまでで最多となっている。

 そうした中、この11月7日に財務省が公表した一編の文書が、永田町、霞が関、そして医療界に激震をもたらした。

 【資料 社会保障】

 そんな素っ気ないタイトルに似ず、その中身は強烈だ。

 〈医療介護の保険料率上昇を抑制する取組みを強化しないと(中略)保険制度が持続できない〉

 政府がこれまで口が裂けても言わなかった「このままでは、本当に社会保障制度そのものがつぶれてしまう」という危惧を、国家予算を取り仕切る「最強官庁」財務省が堂々と書いたのである。

 加えて彼らは、政治家たちが失脚をおそれて決して口にしない「高齢者の負担増」についても、このような「改革案」をストレートに提言する。

 〈年齢ではなく能力に応じた負担〉〈金融資産を勘案した公平な負担〉〈後期高齢者の窓口負担の原則2割負担〉〈薬剤の自己負担の引上げ〉

 これまで長らく、日本人は「いつか、この手厚い医療や年金の制度も維持できなくなるかもしれない。でも、自分が死ぬまではなんとかもつだろう」と思ってきた。

 しかし、コロナ禍、戦争、それらがもたらした世界経済の混乱は、時計の針を進めてしまった。このままでは、まもなく「Xデー」が訪れる―財務省がそう考えていることを、この資料の存在は示しているのだ。

 お上はしばしば嘘をつく。財務省の文書は、失策から国民の目をそらすための目くらましではないかと指摘する向きもあるし、それは一面で事実かもしれない。ただ、日本の財政を虚心坦懐に見ると、社会保障費の負担が重すぎることは残念ながら否定しがたい。

社会保険の負担は40年で4倍に

「貧しい若者」から「豊かな高齢者」へおカネを仕送り…日本を滅ぼす「社会保険料」のヤバすぎる負担
写真:現代ビジネス

 周知のとおり、いま日本では年金に加えて、医療費・介護費の大半を、国民が薄く広く負担する「社会保険」でまかなっている。そして下図のように、その額は40年前の4倍を超え、なお膨らみ続けている。

 国民健康保険制度が制定されたのは岸信介内閣の'58年。それから25年後の'83年時点では、社会保障費は総額およそ32兆円、GDPの10分の1にすぎなかった。

 それが'91年に50兆円を超え、'10年に100兆円を突破。いまでは年間134兆円、実にGDPの4分の1が社会保障に費やされるほどになった。

 問題は、その担い手が「現役世代」(15~64歳)にあまりに集中していることだ。なぜそのようなしくみになっているのか。前出の島澤氏が言う。

 「戦後日本の社会保障制度の根っこには『お年寄りの負担を軽くしよう』という発想があります。

 いまのような年金・医療の制度が整備されたのは'61年の池田勇人内閣で、さらに'73年、70歳以上の医療費をタダにする法改正を田中角栄内閣が行いました。高度成長期には『若者が豊かになっているのに、戦争で苦労したお年寄りは経済発展から取り残されて貧しいままだ。若者がお年寄りの医療費や年金を負担すべきだ』という考えかたが常識だったわけです。

 しかし、このような社会保障のしくみは、支えられる側の高齢者の数が少なく、かつ『豊かな若者がどんどん加入する』ことで初めて成立します。令和のいまでは、高度成長期に『豊かな若者』だった世代が高齢者となり、逆に若者は貧しくなって、人数も減っている。時代の変化に制度の改正が追いつかず、『貧しい若者から豊かな高齢者へ仕送りする』しくみになってしまっているのです」

 『週刊現代』〈この国を滅ぼす「社会保険料」の不都合な現実ーー病院に行きすぎの高齢者、「一律3割負担」ではダメなのか〉では、喫緊の課題となった社会保険料の負担増について、「一律3割負担」「終末期医療の見直し」など、さまざまな角度からの解決策の是非を検証している。

 「週刊現代」2023年11月25日号より

週刊現代(講談社)

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職務給・ジョブ型人事 指針策定へ(新しい資本主義実現会議分科会)

2023年11月19日 16時13分21秒 | 社会・経済

職務給・ジョブ型人事 指針策定へ(新しい資本主義実現会議分科会)

 
新しい資本主義実現会議(議長:岸田首相)の第2回「三位一体労働市場改革分科会」が昨日(2023年11月16日)に開催された。

三位一体労働市場改革分科会(新しい資本主義実現会議)
新しい資本主義実現会議では、リ・スキリングによる能力向上支援、個々の企業の実態に応じた職務給の導入および成長分野への労働移動の円滑化という「三位一体の労働市場改革の指針」(2023年5月16日、新しい資本主義実現会議決定)および「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」(2023年6月16日、閣議決定)を取りまとめている。

これらの指針などを踏まえて新しい資本主義実現会議の下に三位一体労働市場改革分科会が設置されたもので、三位一体労働市場改革分科会は職務給・ジョブ型人事の導入の参考とするため、導入企業の事例を整理し、指針を策定することとされている。

三位一体労働市場改革分科会の構成員名簿
<分科会長>
内閣官房副長官(衆)
<有識者構成員>
井口 譲二 ニッセイアセットマネジメント株式会社執行役員、運用本部副本部長、チーフ・コーポレートガバナンス・オフィサー
伊藤 邦雄  一橋大学 CFO 教育研究センター長
大浦 征也 パーソルイノベーション株式会社代表取締役社長
三瓶 裕喜 アストナリング・アドバイザー合同会社代表
柴田  彰 コーン・フェリー・ジャパン株式会社コンサルティング部門責任者
神保 政史 日本労働組合総連合会副会長、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会中央執行委員長
田中 順太郎 株式会社資生堂人財本部人財企画室室長
谷口 岩昭 中外製薬株式会社上席執行役員
中畑 英信 株式会社日立製作所 代表執行役 執行役専務 CHRO
平松 浩樹 富士通株式会社執行役員 EVP CHRO
水町 勇一郎 東京大学社会科学研究所教授
山内 博雄 マーサージャパン株式会社組織・人事変革コンサルティング 部門代表

第1回 三位一体労働市場改革分科会議事要旨
2023年4月26日に開催された第1回「三位一体労働市場改革分科会」議事要旨が内閣官房公式サイトに公開されている。

その議事要旨によると、水町勇一郎教授(労働法学者)は「リスキリングによる能力向上支援。企業経営の支援から、個人の直接支援
にシフトさせていこうという政策の方向性は妥当と考える」と発言したが、「今、雇用保険は、要は、雇用労働者が対象になっているが、今後、業務委託等でフリーランスの方々が増えていって、フリーランスの方々も、どうやって生産性を上げていくか、技能を高めていくかということが同じように重要になっていくので、その場合、雇用保険の教育訓練給付だけではなくて、求職者支援法に基づく職業訓練は、一般のフリーランスの方にも開かれた制度ではあるので、この接合を図りつつ、いろいろなタイプの方々に柔軟で多様な訓練のメニューを提供していくことを政策的に考えることが重要」と付け加えた。

また、水町教授は個々の企業の実態に応じた職務給の導入について「今後、専門的なスキルの相対的な重要性が日本では大きくなるとは思うが、併せて職務があまり狭くなり過ぎないようにして、変化に対応できるようにすることと、さらには、日本が本来強みとして持っていた組織力とかマネジメントも部分的にどう組み入れていくのか」「企業や労使がニーズやパーパスに合ったモデルを選択していくという選択肢を提示することが制度設計として重要」と発言。

そして、水町教授は成長分野への労働移動の円滑化について「現行制度では、雇用保険の失業給付について、自己都合離職、自分で辞めた人については、いわゆる2か月ないし3か月の給付制限がついている。会社都合離職にはない給付制限がついているが、制度創設時に、どのような認識があったかというと、自己都合で離職する人は、労働意思がないのではないかと推定される。働く意欲がないから辞めたのではないか。2か月間求職活動をして、それでも休職しているのであれば、働く意欲があったのではないかと認定して、2か月後からあげようという制度設計だったが、今はその当時と比較して、自己都合で離職したことで、労働意欲がないと皆さん認識しているかというところは、相対化してきていると思う。ただし、これを廃止してしまうと、モラルハザード、もらいたいから就職して、辞めて、就職してというリスクが生じる可能性があるので、その制度設計に当たっては、濫用的な給付を受けようとするケースをどうやって制度的に排除するかということに注意を払いながら、会社都合で辞めた人と自分の都合・意思で辞めた人が不利益に取り扱われない、相対的に、中立的に取り扱われるような制度設計をして、転職したからサンクション、不利益を受けることにならないように制度設計をする視点も重要」と述べている。

さらに、水町教授は同一労働同一賃金の徹底について「これは、職務給の具体的な制度設計にもつながっていくところだが、そこの中では、労働基準監督署による調査など、執行強化が言われている。執行強化ももちろん大切だが、中身をどうするか、さらに中身を明確化し、その周知を図っていくことが必要ではないか」と発言。

また「現在の同一労働同一賃金のガイドラインは、正社員といわゆる非正社員の間の比較で、非正規労働者の待遇改善のための法律であり、ガイドラインだと位置づけられているが、その考え方をさらに広く、要は正社員の給与制度、例えば職務限定であったり、勤務地限定で転勤がない人とか、残業なしで時間限定という働き方が無期フルタイムの働き方でも出てくるので、そういう働き方を例えば基本給とか手当でどのように考えることがリーズナブルかということも視野に入れながら検討していくことによって、職務給制度の具体的な中身について、制度的にサポートできるのではないか」と述べている。

資料「三位⼀体労働市場改⾰の論点案へのコメント」東京⼤学社会科学研究所 ⽔町 勇⼀郎(PDF)

第1回「三位一体労働市場改革分科会」議事要旨(PDF)

新しい資本主義実現会議 分科会等開催状況(内閣官房公式サイト)
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結婚できるのは高学歴・大都市在住・大企業勤務だけ…『大独身時代』到来で日本に待ち受ける「ヤバすぎる未来」〈地方都市崩壊〉〈孤独死急増〉

2023年11月14日 11時41分24秒 | 社会・経済
6 時間前 — かつてあたり前だった結婚も、いまや若者には「重荷」でしかない。2040年、人口の半分が独身者になり、そのほとんどを高齢者が占める―「大独身時代
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深刻すぎるトラック運転手不足!もし稲盛和夫が物流企業の経営者だったら…どう解決する?

2023年11月12日 13時22分39秒 | 社会・経済
深刻すぎるトラック運転手不足!もし稲盛和夫が物流企業の経営者だったら…どう解決する?Photo:PIXTA

「経営の神様」と称された稲盛和夫氏の経営哲学を、自らの経営に生かしていた物流企業の経営者がいた。その人物の経営手腕を振り返ると、「稲盛氏だったら『物流の2024年問題』をどう解決するか?」という問いの答えも見えてくる。(イトモス研究所所長 小倉健一)

「経営の神様」稲盛和夫氏にほれ込んだ
物流業界の名経営者がいた

 全国区の知名度があるというわけではないが、かつて衆議院議長だった綿貫民輔氏の息子で、綿貫勝介氏という人物がいた。トラック輸送の会社であるトナミホールディングスを率いる名経営者だったのだが、2022年12月23日に63歳で若くして亡くなってしまった。

 綿貫氏は、「和の経営」と労使協調路線を重んじ、持続的成長を求め、利益が出せる筋肉質な経営にこだわり続けた経営者だった《時代のニーズを企業の先見力で読み取ることを大切にし、1980年代前半に独自開発した「システム物流」や国際物流にも尽力。特積みをはじめとする実運送と倉庫運営、情報システムを強みにした3PLを主力事業に押し上げた。安定的な事業基盤の構築へ、業界内の協調も鍵とし、第一貨物、久留米運送をはじめ他社との協業を推進。攻めの姿勢でM&Aにも取り組んだ》(「輸送経済」23年1月17日)という。

 22年3月期には燃料高で運輸各社の業績が伸び悩む中、過去最高の営業利益をたたき出している。

 そんな綿貫氏は、「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫氏にほれ込み、経営哲学を徹底的に自分の経営に生かしている。経営者の後進への推薦図書では稲盛和夫著『生き方』を挙げ、「人間としての本質が書かれており、経営をしていく上で、参考とさせていただいております」(「富山経済同友会会報」15年3月)と推薦の言葉を残している。

 そんな綿貫氏の経営を振り返ると、「稲盛経営」が至る所で実践されていることがうかがえた。そして、「日本全体の課題となっている『物流の2024年問題』を稲盛氏だったらどう解決するだろうか?」という問いの答えも見えてくるのだ。

 

リスクマネジメントから、考えて2024年問題は予測出来たことです。

身近な所から最近感じた事は、生協の個別配達をして貰っていますが、今年の10月で7年目でドライバーが3人変わりました今の人は、ベテランですが迫って来た2024年問題は、4月迄持たないと言いました。

本田技研創業者故本田宗一郎の実践された会社経営の基本、現場で怪我された手と機械油で汚れた手で働らかれてていたことを考えれば答は既に出ている思います。

日本の流通と産業の大切な動脈を支え、時間に追われる厳しい労働状況と環境下で、働くトラックドライバーの事を思います。

 

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「ビジネスと人権」の視点(厚生労働省有識者会議報告書

2023年10月12日 12時48分44秒 | 社会・経済

「ビジネスと人権」の視点(厚生労働省有識者会議報告書)

 
厚生労働省の有識者会議「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)には「ビジネスと人権」についても記載されている。

新しい時代の働き方に関する研究会 報告書
厚生労働省有識者会議「新しい時代の働き方に関する研究会」の第14回会合が先月(2023年9月29日)開催されたが、議題は「報告書に向けた議論」。

また、第15回会合が明日(2023年10月13日)に開催されるが、議題は「とりまとめ」となっており、「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書が取りまとめられることになる。

新しい時代の働き方に関する研究会(厚生労働省)

報告書(案)に記載された「ビジネスと人権」
第14回「新しい時代の働き方に関する研究会」の資料1は「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)だが、そこには「ビジネスと人権」という言葉がで見受けられる(「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)23頁<第4 未来を担う全ての方へ、1 企業に期待すること、(1)ビジネスと人権の視点>)。

ビジネスと人権の視点
〇経営活動のネットワーク化や国際化が進む中で、企業は自社内はもちろん のこと、企業グループ全体やサプライチェーン全体で働く人の人権尊重や健康確保を図っていくという視点(いわゆる「ビジネスと人権」の視点)を持 って、企業活動を行っていくことが重要になっている。

〇そのため、最近では、自社・グループ会社及びサプライヤー等における人 権侵害等を特定した上で、それらを防止・軽減し、その取組の実効性を評価 し、どのように対処したのかを説明、情報開示していく人権デュー・ディリジェンスに取り組む企業も見られる。(厚生労働省「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)より)

「ビジネスと人権」とは
今回の厚生労働省有識者会議「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)には、「ビジネスと人権」の視点を「企業は自社内はもちろん のこと、企業グループ全体やサプライチェーン全体で働く人の人権尊重や健康確保を図っていくという視点」と記載されているが、外務省が2020年3月に発効した小冊子『ビジネスと人権とは?ービジネスと人権の指導原則』には、2011年に国連人権理事会で全会一致で支持された文書『ビジネスと人権に関する指導原則』について説明されている。

つまり、『ビジネスと人権に関する指導原則』の3つの柱が「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」となっているが、今回の厚生労働省「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(案)は「人権を尊重する企業の責任」に関連するものとなる。

そして、国連の『ビジネスと人権に関する指導原則』では、企業は人権を尊重する責任を果たすため、 「人権方針の策定」「人権デュー・ディリジェンスの実施」「救済メカニズムの構築」といった企業方針と手続を持つべきとされている。

なお、人権デュー・ディリジェンスとは、外務省の冊子には「企業は、人権への影響を特定し、予防し、軽減し、そしてどのように対処するかについて 説明するために、人権への悪影響の評価、調査結果への対処、対応の追跡調査、対処方 法に関する情報発信を実施することを求められています。この一連の流れのことを『人 権デュー・ディリジェンス』と呼んでいます」と書かれている。

ビジネスと人権
企業活動のグローバル化が進む中、企業活動における人権の尊重が注目されてくるようになりました。

国際社会では、1999年、当時の国連事務総長であったコフィー・ アナンが「国連グローバル・コンパクト」を提唱しました。グローバ ル・コンパクトは、企業に対し、「人権」、「労働」、「環境」、「腐敗防止」 に関する10原則を実践するよう要請しています。

国際社会の様々な動向を受け、2011年には、国連で「ビジネスと人権に関する指導原則」が作られ、企業活動における人権尊重の指針として用いられています。

また、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成と人権の保護・促進 は表裏一体の関係にあるとされており、企業がSDGsに取り組む上でも、人権の尊重は重要になってきます。

一部の欧米諸国では、各企業に対し、人権配慮を求める法律を導入する動きもあります。また、投資家、市民社会、消費者において企業に人権尊重を求める意識が高まってきており、企業は、人権を 尊重した行動をとることが求められています。

国連の「ビジネスと人権の指導原則」
「ビジネスと人権に関する指導原則:国連『保護、尊重及び救済』 枠組み」は、2011年に国連の人権理事会で全会一致で支持された文書。「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」の3つの柱から構成されています。<以下略>(外務省『ビジネスと人権とは?ービジネスと人権の指導原則』より)

ビジネスと人権とは?ービジネスと人権の指導原則(PDF)

また、2022年(令和4年)に「ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議」が取りまとめた『責任あるサプライチェーン等における 人権尊重のためのガイドライン』が、日本政府のガイドラインとして決定されている。

責任あるサプライチェーン等における 人権尊重のためのガイドライン(PDF)
 

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