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音声だけで事故の真相を追い、まさかの真実にたどり着く極上のサスペンス体験『ブラックボックス:音声分析捜査』

2022年01月27日 21時37分52秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:4/15
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
サスペンス
スリラー

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
ヨーロピアン航空の最新型機がアルプスで墜落。
乗客・乗務員316人全員の死亡が確認された。

司法警察の立会いの下、
航空事故調査局の音声分析官が、
ボイスレコーダー、通称“ブラックボックス”を聴く。
いつもなら責任者のポロック(オリヴィエ・ラブルダン)に同行するのは、
最も優秀なマチュー(ピエール・ニネ)だったが、
天才的なあまり孤立していた彼は外されてしまう。
だが、まもなくポロックが謎の失踪を遂げ、
引き継いだマチューは
「コックピットに男が侵入した」と記者会見で発表する。

やがて、乗客にイスラム過激派と思われる男がいたことが判明。
マチューの分析は高く評価され、
責任者として調査をまとめるよう任命される。
本格的な捜査に乗り出したマチューは、
被害者の一人が夫に残した事故直前の留守電を聞いて、
ブラックボックスの音と違うことに愕然とする。

今、マチューのキャリアと命をかけた危険な探求が始まる──。

【感想】
ブラックボックス内に残された"音声のみ"で
飛行機墜落事故の真相を追う話。
設定としては、
2018年に公開されたデンマークのスリラー映画
『THE GUILTY/ギルティ』に近しいものがある。
あれも、緊急通報指令室のオペレーターにかかってきた電話だけで、
事件解決を図る話だったから。
ただ、今回の映画は、
よりスケールが大きく、
より驚くような展開で、
メチャクチャ面白い作品に仕上がってる。

◆音声しか使わない限定された設定が秀逸

昔、脚本の学校で習ったことがある。
面白い物語の条件のひとつは、"枷(かせ)"だと。
つまり、キャラクターや状況に制約を設けることで、
視聴者の興味を引くんだと。
例えば、『ドント・ブリーズ』(2016)では、
盲目の老人宅に入った若者が返り討ちに遭う話。
『見えない目撃者』(2019)では目が見えない主人公が、
『殺人鬼から逃げる夜』(2021)では耳が聞こえない主人公が、
殺人鬼に狙われる話。
いずれも、普段使えるものが使えない中で、
どういう展開になっていくのかっていう好奇心が動く。

それが今回は、
"音声しか使えない"ということになる。
飛行機は大破、乗客・乗務員は全員死亡。
事故当時の状況を知るには、
ブラックボックスに残された音声データしかない。
この音声からどうやって手掛かりをつかんでいくのかが、
この映画の一番面白いところ。

◆孤立しても職務を全うする主人公がかっこいい

マチューは天才的な分析官として描かれているけれど、
異常聴覚を持っているなどのファンタジーな設定はない。
人よりも観察力が鋭く、
細かいことまで気になり、
徹底的に調べ上げる性格というのが、
彼が優秀とされている所以。

ただ、あまりにもマイペースというか、
こだわりがすぎるあまり、
周囲の理解が乏しい。
優秀なのはみんな認めてはいるんだけど、
「めんどくさいやつ」と思われている。
だから、思うように事が進まず、
観ている方としてもやるせない気持ちになる。

でも、マチューはあきらめない。
何度も音声データを聴き、
怪しい箇所を特定。
ノイズを除去し、
ピッチを変え、
隠された音を浮き彫りにする。
そして、バレたらクビになるかもしれないことを承知で、
独自に捜査を開始する。
物静かで、
淡々としているように見えて、
実は熱い魂を持っている彼の姿はかっこよかった。

◆二転三転するストーリー展開に驚きの連続

原因はこれか!いや違う!
じゃあこれか?いや違う!
まさかの、、、これ、、、?!

注意深く音声データに聴き入り、
時には愛する妻をも窮地に立たせ、
とある偶然によってたどり着く驚愕の真実。
その驚きの連続ゆえに、
ずっとスクリーンに見入っちゃう。
でも、一番びっくりするのは、
「音声データってそんなにいろいろわかるの?!」
ということ。
それを聴き分けるマチューもすごいけどね。

◆そんなわけで

音声という限られたソースだけで真実を暴こうとする設定と、
二転三転しながら真実を解き明かすストーリー展開が、
もう最高のエンターテインメントでした。
音声に重点を置いているだけに、
これはぜひ映画館で観たい作品。

 


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