水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

足らないユーモア短編集 (97)完璧(かんぺき)

2022年09月29日 00時00分00秒 | #小説

 完璧(かんぺき)は、いつやらの短編集にも登場したが、これはまた別のお話である。
 完璧ではなく曖昧(あいまい)で物事が上手(うま)くいくということが最近、多い。Aという考え方の人もいれば、Bという考え方の人もいるのだ。双方が闘牛のように角を突き合わせれば、争いとなる。そこはそれ、大同小異はお互いに認め合い、曖昧(あいまい)に纏(まと)まることで物事が円滑(えんかつ)に進むのである。完璧を個々に主張すれば、社会は混迷の一途を辿(たど)るだろう。
 二人の論客がテレビ討論をしている。
「だって、この前、割れたばかりじゃないですかっ!」
「仕方がないでしょ! 党内の考えが完璧に違うんですから…」
「そこへいくと、長期政権の党は割れませんねっ!?」
「こじんまり割れても、いいことは何もないっしょ!!」
「疲れるだけですか…」
「ええ! そうですよ。政権が取れっこないんですからっ!」
「テレビに登場する場面は増えるようですが?」
「それそれっ! 目立ちたいんですよ、きっと! 世間の認知度が足らないと…」
「困るのは国民ですかっ!?」
「そうそうっ! 政権政党に対する託せる力のある党がないっ!」
「受け皿がなければ、ムダですから投票しない…」
「そうそうっ! 棄権しますなっ!」
「完璧な一致を求めず、纏まってこそ政権政党にとって代われる…」
「そうそうっ! 国民を真に思う党は割れないっ!」
 完璧より曖昧がいいという一例である。^^

 ※ 考え方には個人差があります。^^

                   完


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