水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

足らないユーモア短編集 (87)隠しごと

2022年09月19日 00時00分00秒 | #小説

 私達の生きる現代の社会では、少なからず隠しごとが生まれる。好む好まざるに関わらず生まれるのである。上手(うま)く隠し通せたならそれはそれでいいが、考えが足らないと露見してしまうから、そこは腕の見せどころとなる。隠しごとをするのがいいと言うつもりはないが、いい隠しごとならバレずにいて欲しいものだ。クリスマスまでサンタクロースがどこに隠れているのか? という秘密は、隠しごとのままにしておいた方がいいでしょう。結構、忙(いそが)しいようですよ。^^
 とある夫婦の会話である。
「あなた、昨日(きのう)の帰り…遅かったわねぇ~」
「んっ!? ああ、まあな…」
 旦那さんは会社の若い女性社員と食事していたなどとはとても言えず、隠しごととして暈(ぼか)した。奥さんは奥さんで、毎月、五千円づつ貯めているヘソクリの場所を旦那さんに隠しごとにしていた。どちらもどちらである。^^
「会社の平田さん、奇麗な方ねぇ~」
 奥さんは平田さんから電話で旦那さんとお食事しますからお借り致します・・という情報を得ていたのである。
「んっ!? ああ、まあな…。そろそろこの絵は変えた方がいいな…」
「えっ!? ええ…」
 旦那さんは額の絵にヘソクリが隠されている・・という情報を知っていたのである。どちらも、どちらである。
 隠しごとは、緻密(ちみつ)さが足らないと、まあ、こういった結果となる。^^

                   完


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