川塵録

『インテグリティ ーコンプライアンスを超える組織論』重版出来!

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仕組みとルールの違い

2025年01月02日 | 経営・インテグリティ・エンゲージメント
【執筆原稿から抜粋】

仕組みとルールの違い

■ 負担を増やすか減らすか

 仕組みは良い意味で使われ、ルールは悪い意味で使われます。

 ただ、ルールと仕組みの違いは何でしょうか。

 仕組みが称揚されて関連本も多いですが、だれもルールとの違いを論じていません。

 端的に言うと、それは「(最終的に)負担を減らすか増やすか」です。仕組みは負担を減らし、ルールは負担を増やします。

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 具体例で考えましょう。仕組みの典型例は、工場でプレスに手を挟む事故を失くす仕組みとして、両手でボタンを押す(両手で押さなければプレスが締まらない)があります。

 これは「両手を使わなければいけない」という点では負担を増やしていますが、これにより構造的に事故を減らしています。

 他の例として、「車のエンジンをかける際、ブレーキを踏まねばならない」があります。

 ブレーキを踏まねばならない点では負担は増えていますが、これにより構造的に事故を失くしています。
 
 上記2例は、ルールでもありますが、構造的・最終的・究極的に負担を減らすため、良い「仕組み」として理解されています。ルールは仕組みを内包します。

■ ルールとの違いは相対的

 ただ、負担が増えるか減るかは、運用してみないと分からないため、事案によりけりです。

 例えば、「稟議を通すのに5人の上司の決済を経る(判子を並べる)」ルールは、「構造的にミスを失くす仕組み」と高評価できますでしょうか。3人なら? 2人ならどうでしょう。意見が分かれるところでしょう。

 このように、ルールと呼ぶか仕組みと呼ぶかは、個々人の価値判断に基づきます。

 上司が「これが良い仕組みだ!」と言っていても、部下には単なる「ウザいルール」かもしれません。

  仕組みの濫用・押し付けに気をつけましょう。

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