本日3月8日は、イタリアのシチリア島にあるエトナ火山が噴火して主に溶岩流により約1万人が死亡した日で、アン・スチュアートがイングランド・スコットランド・アイルランド女王に即位した日で、堺事件が起こった日で、ハチ公が渋谷駅前で衰弱死した日で、インパール作戦が始まった日で、日米相互防衛援助協定が調印された日で、第二次中東戦争で閉鎖されていたスエズ運河の通行が再開された日で、アイルランドの首都ダブリンのネルソン記念柱がIRA暫定派によって爆破された日です。
本日の倉敷は晴れでありましたよ。
最高気温は十一度。最低気温は一度でありました。
明日も予報では倉敷は晴れとなっております。
狐は或る日の夕、神社の境内の大きな木の下で友人が坐つてゐるのを見た。
此の友人は姫君のやうに美しいかんばせを持つてゐる。
こまねいた両手と云ひ、項垂れた頭と云ひ、恰も何事かに深く思ひ悩んでゐるらしい。
狐は友人の身を気づかつた。
友人が悪魔に魅入られてゐるやうな瞳をして美しいかんばせを曇らせ思案をしている姿に唯事ではないと思つたのである。
狐は友人に近づき、何を悩んでいるのか仔細を問ひ質した。
「私は堕落しようと思ひました。
しかしそれと同時に堕落したくないとも思ひました。
あの清らかな魂の〇〇(←或る漫画の主人公の名と思ってくだされい)のエロいparody漫画を描くことは〇〇を地獄の火に穢す気がするでせう。
私は〇〇をいやが上にも清らかに曇りなくしたいと念じたのです。
しかし、さうと思へば思ふ程、愈、エロいparody本を描いて〇〇を穢したいと云ふ心持ちもして来ます。
その二つの心持ちの間に迷ひながら私はしみじみ私達の業を考へて居りました。
私達は何時でもさうなのです。
堕落させたくないもの程、益、堕落させたいのです。
これ程不思議な悲しさが又と外にありませうか。
私はこの悲しさを味ふ度に、昔見た天国の朗かな光と今見てゐる地獄のくら暗とが私の小さな胸の中で一つになつてゐるやうな気がします。
どうかさう云ふ私を憐んで下さい。
私は寂しくつて仕方がありません」
美しいかんばせをした友人はそう云つて涙を流した。
狐は友人に「描け」と云つた。
「描くが良い。描いて私に讀ませろ」と邪悪な笑みを浮かべて狐は云つた。
「友人よ。案ずるな。それも愛だ。常識など気にするな。それが我等に何の関りがあらう。思う存分描くが良い」
友人は瞳を潤ませ悪魔に魅入られたやうな表情でその美しいかんばせを上げて狐を見詰めてこくりと頷いた。
神々よ。我等を憐れむがよい。
我等は業が深いのだ。