昨日の夜は、映画『欲動』のDVDを観ていました。
勢津ユリの夫・千紘は心臓に重い病を抱えている。
千紘は、自分の余命はほとんど無いと思っている。
二人は、臨月を迎えた千紘の妹の出産に立ち会う為、バリを訪れた。
心臓に重い病を抱える千紘にとってこの旅は危険を伴うものだった。
二人は妹夫婦と一緒にバリ観光をしていたのだが、カフェで口論をしてしまい……。
監督は、杉野希妃。
出演者は、三津谷葉子、斎藤工、杉野希妃、コーネリオ・サニー、トム・メス、高嶋宏行、松崎颯、など。
今、私はやさぐれモードに突入して近年にないくらいやさぐれているのでこのような映画を観るのは適していないのです。多分。
やさぐれモードならばコメディ映画を観てろ、私。
なので以下の文はやさぐれモードの私が抱いた感想なので間違っている可能性が高いです。
この映画を観て「良かったなぁ」と思った方は不快になるかもしれないのでここからは読まないでください。
そしてこの映画を観ていない人もできればここからは読まないでください。
そしてやさぐれモード全開なので言葉が乱暴になっています。なので乱暴な言葉に「あ、やば」と思ったお方は読むのをやめてください。
では書いてみることにいたします。
つまんない。
何だこれ? 不幸で可哀想な私自慢?
露悪趣味で曝け出しているふりをして心の奥底を何も曝け出していない。格好をつけている。可哀想な私? だから何?
薄いし浅い。ステレオタイプ。
バリは欲望に忠実で生命力に溢れていて自然? 都会では日本では欲望を隠して生きていて濁っている? 馬鹿馬鹿しいほどステレオタイプ。
人を見詰める勇気が無い者が物語を作っている。
観光地の人達が演出して見せているものにすぎない表面的な野生や生命力を素直に信じて格好つけて語るなんて阿呆じゃん。
生活するってことを馬鹿にしているし生きるってことを馬鹿にしている。
抑圧や理性は濁っている? そこまで語るのならば抑圧や理性からの解放をきちんと描いてみせなよ。
抑圧や理性からの解放があれですか?
欲望があれですか?
人の欲を本当に理解してます? もっと業が深くて浅ましいものではないのですか?
綺麗事にして表層をなぞっているだけ。
しっかりしているふりをしている隙だらけな阿呆な女。
自分のことしか考えない馬鹿な男。
いい大人なのに単なるガキでしかない夫婦が悩んでいるふりをしているだけ。
そんなお話が面白いか?
この映画はバリ島を舞台にして格好だけ成立させているけれども、物語の骨格を抜き出してみると物語として成立していない。
主人公の二人は物語を通して何も決断していないしほとんど心境の変化もない。
不幸に酔う夫婦。お互いを思いやっているふりをして自分しか見ていない。
では突き動かされるかのような欲望に狂うのかというとそうでもない。ありきたり。本当にありきたり。何あれ?
しかも隙だらけ。状況に流されているだけ。決断はしない。覚悟もない。覚悟もないのに快楽に酔いそして嘆くみっともない大人のガキ。よろめくだけ。マッチョ崇拝。気色悪い。
で、そんな人をきちんと描き切っているかというと描けていない。きちんと描いているなら面白いのに。表層的。ステレオタイプ。人を馬鹿にしている。
開き直ることも出来ないしきちんとすることもできない。ガキのまま。ものすごく幼稚。でも幼稚であることを本人達は理解していない。
そんな人を悩む人として情感深く描こうとしているのだけれどもそんなの無理無理。
だって悩んでいるふりをしているだけだもの。ステレオタイプだもの。ありきたりだもの。
幼稚なものを見せつけられたなら、「それがどうした?」としか感想が持てないもの。
製作者側がその事を分かっていないガキとしか思えない。そんなお話。
不幸は周囲を見渡すといくらでも見つけることができるのです。
人はきついことは他人に話さないものですが、多くの人が同じような経験をしているのです。
それを「自分達が見つけてそれを見詰めて映画にしてみました」って感じの映画を見て、ステレオタイプで物語になっていないならば面白いとは思えないのです。
単なる大人のガキがガキなふるまいをするだけ。ただそれだけ。
それを格好をつけて物語にしようとしているだけ。そんなお話が面白いわけない。
試しに舞台をバリ島ではなく日本のとある都市にして物語を再構成してみるとよいです。
とてつもなくつまらないよろめきドラマになります。何だこれ? それがどうした? 程度のお話となってしまいます。
よろめきドラマって本来は面白んだよ。でもこの映画はとてつもなくつまらないよろめきドラマ。何これ?
それともバリ島のプロモーション映画?
否、バリ島のプロモーション映画としても失敗でバリ島に失礼なことを語っています。
旅の恥は掻き捨て? 掻き捨てられたほうはどうなるんすか?
それとも不幸に酔う人を描いたお話?
そうも見えないのです。むしろ作っている側が酔っているように見える。
欲望を描くのならばきちんと描きなよ。
死を見つめるお話を描きたいならばきちんと描きなよ。
生を性を描きたいならばきちんと描きなよ。
夫婦を描きたいならばきちんと描きなよ。
馬鹿を描きたいならばきちんと描きなよ。
みっともないってことを描きたいならばきちんと描きなよ。
それっぽい雰囲気の映像とシーンを繋げているだけ。観る人を馬鹿にしている。
つまんないつまんないつまんない。
観ていてむかむかした映画でありました。
何も語るものがないのならば映画を撮っても無駄ですよ。
格好つけんな。