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5/27(水)、ユナイテッド・シネマ新潟で「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」を観てきました。
新潟市内では、ユナイテッド・シネマ新潟のみでの上映だったようです。
予告編はこんな感じです。
世界的ベストセラーの最終巻の発売前、情報流出を恐れた出版社は世界から9人の翻訳家を地下施設に集めて外部との連絡を遮断して隔離し、翻訳させます。
そんな中、何者かが原稿の一部をネットに流出させ、さらにこれ以上の流出を防ぎたかったらと言って多額の金額を脅迫してくる…というミステリーです。
まず設定からして面白いんだけど、どうして外部との連絡を絶ってる原稿が外部に流出したのか?って謎から始まり、次から次に新たな謎が生まれては、その都度色々などんでん返し的な展開が次々起こり、最後まで飽きさせない物語になっていました。
それだけで面白いのですが、この映画の脚本が、時系列を、現在、未来、過去と行ったり来たりしながら進むので、映画を観ながら脚本に翻弄されながら、最後まで観て初めて「ああ、そういう事件だったのか!」と分かるという、脚本が練りに練られた面白いミステリーでした。
ミステリーだからネタバレ厳禁で感想が語りづらいんだけど、文学を愛する人間vs文学を冒涜する人間の、本気の頭脳戦という熱い戦いが見られたのが良かったです。
例えば、翻訳家達が様々な言語を駆使して敵にバレないように情報をやり取りする場面などは、まさにこの物語ならではの設定を活かした手に汗握る展開でした。
思い返せば冒頭から、大量の本が燃やされるシーンから始まり、個人的にそういうのって映画だと分かっていても悲しくなってしまうんですけど、その場面がどういう意味だったのかの説明が最後までまったくされないのですよね。
あれ、何だったんだろう?っていう疑問を持ちつつも、その疑問を忘れるほど情報量の多い物語に翻弄され、最後の最後にその冒頭の謎が解けるという構成が、まさによくできたミステリーだと思いました。
そして、ネタバレギリギリで話しますが、要はその本を燃やした奴は、物語内における悪役、宿敵、ラスボスであり、そいつは文学を愛しているわけでもなければ、本は金儲けの道具としか見ていないわけです。
だからこそ、ある出来事が起こって自分の身が不利になったら、証拠隠滅を図るためなら大量の書物を燃やすことも厭わない。
一方、主人公は利益とか度外視で本気で文学を愛している人間で、欲望にまみれ利益だけを基準に生きているような悪役のラスボスには理解できないような崇高な価値観を常に持っているのです。
そんな主人公が、最後の最後にラスボスに仕返しをするラストは、欲望に文学が勝利する瞬間であり、色んな意味での伏線がすべて鮮やかに回収された感動とカタルシスの物語になっていました。