12/29(火)、「ワンダーウーマン1984」、観てきました。
予告編はこちら。
DCコミックの最強女性ヒーロー、ワンダーウーマンの第2段。
ワンダーウーマンという正体を隠して博物館で働くダイアナの元に、謎の古代の石が届きます。
それはあらゆる人間の欲望を叶えるが、同時にその文明を滅亡にも向かわせるという、恐ろしい力を持つ石だった。
その石が世界征服を企む実業家の手に渡って大ピンチ!世界を救えるか!…という物語です。
個人的に、前作「ワンダーウーマン」が、アクションはカッコ良かったけど、第二次世界大戦を舞台にナチスを敵として勧善懲悪を描くというストーリーにいまいち乗れない部分があったんですよね。
いや、当たり前ですがナチスは僕も良くないと思っていますし、ナチスが敵の映画は山ほどあるんですが、ただ、例えばヒーロー映画「キャプテンアメリカ」や今年の「ジョジョラビット」など、ナチスを描きながらも正義と悪、敵と味方の描き方がすごく多面的で深みのある、世界の複雑さを描いた映画が増えていて、特にマーベル映画なんてそこらへんに非常に力を入れて社会派な一面まで描いているわけで、そういう映画がハリウッドで数多くつくられる時代に、普通にナチスを倒す映画か…と、ちょっとそこに乗れなかったんです。
とは言え、ワンダーウーマンというキャラクターが非常に魅力的なことは否定できないし、彼女の登場した「ジャスティス・リーグ」も本当に面白かったので、新作が作られるのは非常に楽しみでした。
で、実際に観た感想ですが、はっきり言って脚本の完成度や物語の深み、そして何よりアクションの面白さと、前作を遥かに上回る映画になっていたと思いました。
まずは冒頭、主人公ダイアナが幼少期に出場した、謎のトライアスロンみたいなスポーツが描かれます。
最初はただの最初の「つかみ」的な派手な見せ場だと思ったんですけど、そこで彼女が学んだ「ズルはいけない」という教訓が、実はちゃんと後半の物語で生かされていて、もうこの時点で脚本の丁寧な作りが前作と全然違うと思いました。
そのあと、舞台は1984年に移り、ワンダーウーマンが強盗を捕まえる場面に移ります。
ここでの1984年という時代の描かれ方が、経済的に豊かになってはいるものの、東西冷戦や人々の貧富の差や欲望と言った負の側面が町の至る所に見え隠れする、という部分がしっかり描かれていて、しっかり社会派なんですよね(そして、後半の物語のテーマとも繋がる)。
そして何より、ここでワンダーウーマンが強盗を捕まえる場面のアクションからして、いい意味で暴力的になりすぎない、適度な痛快さとポップさに溢れた、素晴らしい場面なんです。
冒頭の回想シーンのスポーツの場面と、そのあとの1984年に強盗を捕まえる場面、この二つだけでもう、前作よりも遥かにいい映画になっていたと思います。
そのあとメインストーリーとなる、欲望を叶える石や、その石を利用して世界征服を企む実業者(ラスボス)との闘いが描かれます。
ここでも、ラスボス一人が悪いのではなく、彼に影響された人々の欲望が世界を滅亡に向かわせる、という物語はすごい社会風刺だになっていると思いました。
そして主人公ダイアナもまた、ネタバレになるから書かないけれど、ある欲望を叶えてしまうことで、彼女の中にある弱さという一面も描きます。
そこで彼女が叶えた欲望というか願望は、彼女の気持ちを考えると本当に彼女の一番大切なものを取り戻したかったんだなという気持ちが伝わってくるのですが、それでも、「石の力を利用するのはよくない」と自分自身に言い聞かせ、最後にその欲望を捨てることで、本当に彼女の肉体的にだけではなく精神的にも本当の意味で強くなるというラストは、本当に泣ける展開でした。
また、ダイアナの強さに憧れた友人が欲望によって強くなるがその力を悪用して敵として立ちはだかるという展開も、二人を対照的な存在として描いていたので、すごく深みのあるシーンでした。
また、ラスボスでさえも最後の最後に彼の中に一つだけ残った良心を思い出させて救おうとするラストもぐっとくるものがありました。
何より誰一人殺さずに戦うワンダーウーマンの生き方に、本当の強さとは何か?というものを描いた意欲作だと思いました。
人間の多面性、正義の多面性という意味で、あらゆる意味で前作より確実に進化して名作となったヒーロー映画だなと思いました。
気になった点は、冒頭のアクションから中盤以降のアクションにかけての約一時間に見せ場があまりなくてちょっと退屈したことでしたね…
でも、その分中盤でワンダーウーマンが活躍する場面はキター!と思ったし、そこから後半にかけての怒涛の超展開の連続は最高だったので、これはこれでアリです。
あと、敵の力のチート感や、ラストのご都合主義がちょっと気にはなったけど…それでも、いい映画でした!
あと最後に、コロナの影響で上映が伸びに伸びた映画でしたが、無事に公開されることができて本当に良かったです!