4/9(日)、シネ・ウインドで「いのちのかたち」を観て来ました!
4/9(日)には伊勢真一監督の舞台挨拶がありました。
ひとまず予告編はこんな感じです。
映画の感想を書く前に、ここ一、二年で、シネ・ウインドによく映画を観に行くようになって気付いたことなのですが、ここ最近の日本映画には、東日本大震災や、震災後の日本をどう生きていくか、などを扱った映画がとても多いと思います。
と言うか、2011年に発生した東日本大震災やそれに伴う原発事故、そして震災後の日本で表出してきた様々な社会問題について、誰しもが多かれ少なかれ不安を感じているのが現代の日本だと思うのですが、そんな時代をどう生きていくべきかを世の中に問うているような作品は、映画だけに限らず、様々な分野のアーティストが発表しているのだと思います。
そして、シネ・ウインドがそういう映画を意識して多く上映しているからなのか、それともシネコンよりもシネ・ウインドのようなミニシアターでかかるような映画にはそういう作り手の思いを反映しているものが多いからなのか、とにかくシネ・ウインドに通っていると、震災後の日本を意識して作られた映画が本当に多いなあと思います。
僕自身、震災後の日本の在り方には不安が多いのですが、このような震災を意識して作られた映画に出会うことで発見したこと、見識が深まったことがとても多いので、今後もそういう映画は意識して観に行きたいと思っています。
それにしても、劇映画、ドキュメンタリー映画を問わず、震災との向き合い方は映画によって本当に様々だなあということに驚かされます。
特にドキュメンタリー映画に多いなと思うのですが、例えば昨年は震災を体験した福島の農家の方のお話しをひたすら映し続ける井上淳一監督「大地を受け継ぐ」があったかと思えば、ミュージシャンの遠藤ミチロウさんがツアー中に震災を体験した様子を自ら監督としてドキュメンタリー映画化した「お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました」があったりと、一言で震災を扱った映画と言っても、震災との向き合い方は映画によって本当に様々なのです。
今回、僕が観て来た「いのちのかたち」も、まさに震災を扱った映画の一つです。
どんな映画かと言うと、画家のいせひでこさんが被災地で出会ったクロマツを描いていく姿などを追ったドキュメンタリー映画で、また新しい震災との向き合い方をしている映画だなあと思いました。
画家のいせひでこさんは絵本の絵などを主に描かれていて、映画にいせさんの描いた絵もいくつか登場するのですが、本当に優しくて素敵な絵で、それだけで感動してしまいました。
また、絵を描きながら、自然に思いを馳せたり、音楽を奏でるような一面があったりと、正直、いせひでこさんの仕事を追っただけで、それなりに面白いドキュメンタリーが作れるんじゃないかというくらいの魅力的な方でした。
そんないせさんが、震災直後の被災地を歩くと言う、非常にショッキングな映像がわりと映画の最初の方に登場するんですが、そんないせさんが被災地の野原で倒れていたクロマツを発見し、そこに生命力を見出したいせさんは、どうしてもこのクロマツを描こうとするのです。
震災を扱った映画でも震災との向き合い方が様々なように、震災という問題をどうとらえ、どう向き合うかは、当たり前ですが人によって本当に様々で、中にはいせひでこさんのような絵によって向き合う方もいるんだという発見がありました。
また、いせひでこさんの活動とは直接関係ないかも知れませんが、映画の中で、震災によって人の暮らす地域でなくなってしまって、地名そのものが無くなってしまった地域のことを、元の地名で敢えて呼ぶような下りがあり、あらためて震災というものが日本人の生活そのものを変えてしまったという事実を生々しく実感させられたなあと思いました。
そのように、いせひでこさんの活動を追うだけでなく、いせさんが震災や自然、世の中に対する気持ちを語るシーンも多かったですね。
ただ、こういう感想をわざわざ言うような類の映画ではないと思いつつ、敢えて言いますが、正直、上映時間のわりにちょっと長いなと感じてしまう映画でもあり、扱っている題材や着眼点が良いだけに、ちょっと勿体なかったというか、もうちょっと普通に映画としてじっくり引き込まれたかったな…という気持ちがなくもないですが…
とは言え、こういう映画は作られること自体に価値があると思っているので、これからもこういう映画は積極的に観に行こうと思います。
上映後には、伊勢真一監督の舞台挨拶もあったのですが、伊勢監督といせひでこさんはご家族ですか?ってよく聞かれるけれど違います!っていう話には笑いました。
最後に記念にパンフレットも買ってきましたし、何だかんだ観に行けて良かったです!