7/1(木)、シネ・ウインドで「春江水暖」を観てきました。
予告編はこちら。
富春江が流れる街・富陽の季節の移り変わりや、変わりゆく街の風景を背景に、ある大家族の年老いた母が認知症となり、その4人の息子それぞれの家族の変化を描いたドラマ。
長回しも多く、基本的に風景や人間模様を淡々と描くだけで2時間半もある映画なのに、不思議と最後までまったく飽きずに引き込まれる映画でした。
劇中、富陽の壮大な自然とその中に点在する人々の生活も描いた絵巻物が投稿するんだけど、この映画がまさにその絵巻物みたいな感じなんですよね。
大河沿いの大自然と人々の暮らし、季節の変化、古い町並みが破壊され近代化が進む街の変化、そういう丁寧な風景描写をじっくりと描く中に(風景の長回しの場面はまさに絵巻物みたいだった)、様々な人間模様が展開していきます。
しかも映画だから、風景描写以外に、時間の経過による風景や人間模様の変化も描いていて(当たり前だけど)、だから映画って4次元の巻物みたいなものなんだなあと思いました。
そう考えると、親の老化、親子のすれ違い、貧困と欲望、子供が障害児…等々色々起こるけど、結局そういう人間模様も大自然の変化の一部なのかもなあ…なんてことまで考えてしまいましたね。
登場人物が多いし説明は少ないし会話も淡々としているから集中して観ないと内容が頭に入ってこない映画ではあるけど、壮大な映像美の魅力もあって2時間半もちゃんと人を引き付ける力のある映画だと思いました。
(こういう静かな映画を見るとよく寝てしまう俺が今回は寝なかったし!午前中の上映だったのに)
この、ただただ人間模様を見ているだけなのに引き込まれる感じは、濱口竜介監督の「ハッピーアワー」を初めて見た時の言葉にできない感動を思い出しましたね。(あれは5時間もあったけど!)
人が生きていることをリアルに描くだけで、ここまで引き込まれる、つまり映画って「人」を知るために作られているものなのかもしれないな…なんてことまで考えてしまいました。