お笑い芸人の鳥居みゆきさんの初の小説「夜にはずっと深い夜を」。
10年くらい前に買った本なんだけど、ずっと友達に貸していたのが数年ぶりに返ってきたので、数年振りに読んでみました。
短編集なんだけど、どの話もまるで鳥居みゆきさんのネタを文字で読んでいるように内容がスラスラ頭に入ってきます。
しかし、その物語には必ず、人間の死などの残酷な要素や、この世を生きる者の絶望、現実か妄想か分からない不気味さがあるのですが、どれも人間の暗部にある本質に向き合ってるようで読み応えがあります。
また、伊坂幸太郎的なというか、それぞれの話が実は少しずつ登場人物や要素が繋がっていたり、呼応し合ったりしていて、この本の中で一つの鳥居ワールドを作ってると思いました。
分かりやすい同じ人名が登場する話もあれば、ちょっと頭を使わないと繋がりが分からない話もあるのですが、最初から最後まで読むと、特に最初と最後の話の時間的な繋がりに気付いた時、希望と絶望を繰り返す人間の性を描いたような壮大な鳥居ワールドにぶちのめされ震える本です。
ちなみに、2冊目の「余った傘はありません」は6年前に読んだのですが、ブログにちょっと長めの感想を書いていたので載せておきます。(この記事、ちょいちょいアクセス数の上位に出てきます)
「鳥居みゆきさんの小説「余った傘はありません」読みました。」