舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

映画「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」観てきました。

2021-10-28 22:42:22 | Weblog


10/27(水)、シネ・ウインドで「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」を観てきました。







ゴミ処理トラック運転手のクラスキーとパドバンは男性同士の同性愛者。
しかしクラスキーは、トラックの運転中に立ち寄ったカフェで出会ったボーイッシュな女性ジョニーと恋に落ちてしまう。

この映画は1975年に作られたものの、刺激の強い場面が多いということで当時は一部修正が加えられていたものを、4K完全無修正版として現代に再上映したものです。
当時は今よりずっと偏見が強かったであろう同性愛を、ここまで見事に描いた映画が1975年に作られていたとは!と驚きました。

男性同士の恋人がいても女性を好きになることもある、でもキスはできるけどセックスはできない、みたいな、この丁寧で絶妙な人物描写。
よくあるステレオタイプなホモキャラとかではなく、ここまでリアルな一人の生きた人間として描いた映画が、LGBTという概念が普及した現代ならまだしも1975年に作られていたとは。

というか現代でもここまで描けた映画はなかなかないよ、と思うんですよね。
現代だって同性愛を描いた優れた作品は増えてはいるけれど、それでもまだまだ、BL、百合みたいなジャンルとして語られがちなことが多い。

けれど、そうじゃなくて、一人一人にその人だけの気持ちや恋愛の形があるように、映画にも一本一本にその映画だけの恋愛の形、生きたドラマ、物語があるべきだと思う。
この映画はそれを体現していると思います。

冒頭からトラックに乗り込んできた男達がホモを馬鹿にしたからキレる2人。
と思いきや、同性の恋人がいながら異性の彼女に惹かれてしまうクラスキーと、相手が同性愛者と知りつつ恋をしてしまうジョニー。

そして恋人が知らない女に取られて嫉妬して自暴自棄になり挙句の果てに不良にボコボコにされるパドバン(可哀想!)。
とにかく全員を「ホモキャラ」とかじゃなくて、ちゃんと生きた人間として描いてるところに本当にこの映画の奥深さを感じます。

映画の前にジョニー役のジェーン・バーキンの「当時からこの映画は時代を先取りしていて衝撃だった」ってメッセージが流れていましたが、本当その通り。
というか、今見てもそう思うくらいです。

あと、映画の音楽がすごく印象的だなあと思ったのですが、音楽を担当した歌手のセルジュ・ゲンズブールが自ら脚本監督を手掛けた映画だと知ってびっくりしました。
ここまで人間を深く描いた映画はなかなかないと思いますが、まさか歌手の人がそんな映画を撮るとは…いやー、凄い才能の持ち主っているもんですね。
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