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2/21(金)、古町演芸場で凰翔座(おうがざ)を観劇してきました。
毎月異なる劇団が連日お芝居を上演する古町演芸場、毎月足を運んでいるのですが、1月2月は珍しく2ヵ月連続で同じ凰翔座でした。
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1月に観劇した演目は「お玉の縁談」という喜劇でしたが、今回はこれぞ時代劇!という「座頭市 人情街道」。
座頭市という有名な時代劇をお芝居で観られるのはすごく楽しみでした。
舞台は江戸、丁半の壺振りの男が、2人の男をカモにしているコミカルな場面から物語は始まる。
そこに、信州の農家を飛び出して江戸で金を稼ぐつもりが一文無しになってしまった若者がやってくる。
壺振りは若者に博打を持ち掛け、最初は勝たせて、次第に口車に乗せて有り金全部を巻き上げていく。
嘆き悲しむ若者を壺振りが冷たく振り払うと、そこに座頭市が現れる。
大衆演劇によくある展開ですが、まずは冒頭の壺振りと若者の場面はコントのようなやり取りで笑いを起こしていく。
しかし、壺振りの威圧感、若者の悲しみ、そして座頭市の登場しただけで気迫が伝わる存在感、本当に一気にその場の空気を引き締めていました。
座頭市は盲目にもかかわらず、研ぎ澄まされた聴覚だけで壺振りのいかさまを暴き、逆に壺振りの金を奪い返して去っていく。
彼の正体が居合の達人でヤクザから懸賞金を掛けられている座頭市だと気付いた壺振りは、金目当てに座頭市の殺害を企てる。
しかも若者を、自分の計画に巻き込んでいく。
金のない若者が弱みを握られて犯罪の片棒を担がされる、まさに今の闇バイトにも通じる残酷な展開。
一方その頃、座頭市が江戸の外れの街道を歩いていると、一人の老人が倒れ込み、座頭市は老人を助けて自分の金で旅籠に泊める。
話を聞くと、なんと信州の農家を飛び出した若者の父親で、妻も亡くなり、息子が心配なあまり田畑も売り払って江戸まで探しに来たのだという。
しかし、そんな父の気持ちも知らないまま、壺振りの悪事に加担させられた若者は座頭市を探し出して江戸まで連れていく。
ここで父と息子が絶妙なタイミングですれ違うあたり、まさに運命の残酷さ。
若者は、座頭市をお祭りが行われている神社の裏に連れ出し、仕込み杖も奪ってしまう。
これなら手出しはできまいと、待ち構えていた壺振りとその手下が斬りかかるが、座頭市は瞬く間に仕込み杖を奪い返し、見事な殺陣で壺振り達を斬り捨てる。
これでハッピーエンドか…と思ったら、なんと斬り合いの最中に若者が斬られてしまうという悲劇が。
座頭市が助けも間に合わず、親不孝な自分を嘆きながら死んでいく若者の悲しみが、遠くで聞こえる祭囃子の切ない余韻とともに胸に刺さる。
最後、座頭市は父の元を訪ね、「息子は大店で働いていたが、仕事で遠くへ旅立ったので、金を受け取ってきた」と伝え、自分の大金を父へと手渡す。
父を悲しませまいとあえて真実は隠しつつ、最後には「離れていても親子は繋がっている」と伝えて去っていく座頭市。
笑いで始まり、最後は殺陣と人情ドラマ、これぞ大衆演劇!
やっぱりこういう王道のお芝居が好きだよなー!めちゃくちゃ感動しました。
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凰翔座は三ツ矢洋二郎さん、風美涼太郎さんが2人で座長をしていて、その2人が座頭市と壺振りを演じた今回のお芝居は代表作の一つとのこと。
終演後の舞台挨拶でも、洋二郎さんはまだ微妙に座頭市の雰囲気が残っていました。
それにしても座頭市のお芝居はめちゃくちゃ感動的だったのですが、その直後にこの日は特別企画としてメイク対決が始まるという急展開!
メイク対決は、役者が舞台上に一列に並んで、2チームに分かれてすっぴんから白塗りまでどちらが早くメイクできるか対決するというバラエティ番組みたいな企画!
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後半は舞踊ショーでしたが、最後のステージだけはメイク対決で負けたチームはすっぴんで踊るというまさかの罰ゲーム!
さらに、涼太郎さんのチームは勝っていたのに、メイクが薄いというダメ出しが入り、顔の半分すっぴん、半分白塗りという謎メイクで踊るというオチまでついていた!
というわけで、お芝居で感動して、最後は舞踊ショーで笑うという、ものすごい充実感でした。
お疲れ様でした!