12/2(木)、シネ・ウインドで「スザンヌ、16歳」を観てきました。
学校の人間関係に馴染めず物足りない毎日を送っていた16歳のスザンヌは、町で出会った年上の舞台俳優ラファエルに恋をする。
16歳の少女の生々しい日常描写の中から浮かび上がる思春期のやさぐれた複雑な心境が、恋をしてからはミュージカルのように音楽に合わせて踊り出すような弾む心境に変わって行く様子が、自分にもリアルに伝わって来ました。
前半、パーティに行く場面でみんなお洒落なドレスとかを着る中、自分だけは白いシャツというスタイルを崩さないあたり、スザンヌの自分は周りと違うという意志の強さ(それ故の性格のややこしさ)を表現していたと思いました。
また、恋をしてからはちょっとお洒落をするなど、ファッションによる心境の変化を表現していたあたり、さりげないけれど繊細な演出だなと思いました。
そんなスザンヌが恋をする舞台俳優のラファエルも、エキストラばかりの毎日に辟易しているからこそ、学校に退屈しているスザンヌとどこかで共鳴してしまう。
二人が恋に落ちる場面を、突然始まる、不思議なダンスのシンクロで表現していたのも面白かったです。
でも正直、16歳の少女に恋する大人って結構信用してはいけないと思うし、そんな恋愛が上手くいくとは思えないぞ…などとひねくれたことを思って見ていたら、案の定最後は別れていくわけです。
でもここで、切ない失恋みたいに過剰に煽るのではなく、あっさり終わっていくという、ドライで突き放したような描き方が、僕には寧ろ心地よかったです。
全体的に、主人公にとっては素晴らしい恋愛に思えても、決してそういうわけではない、という恋愛の現実を、主人公に心境に合わせて描いていく作風(例えば恋に落ちる場面は踊り出すほど盛り上げるなど)が、「(500)日のサマー」っぽいなと思いました。
そしてこの映画は、まだ20歳のフランス人の女性監督によって撮られたということで、若い才能が開花していましたね。