舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

トークイベント「月刊おはなし図鑑」の今までとこれからに対する自分の考えについて。

2021-08-24 22:02:09 | Weblog


トークイベント「月刊おはなし図鑑」を企画しています、ちひろBLUESです。
相方のよしこと2人で、毎月色々なゲストの方をお招きし、会場をお借りしてトークイベントを開催しています。



さて、今年になって新型コロナウイルス感染者が急増している中、「月刊おはなし図鑑」も今後の活動についてあらためて考え直す必要が出て来ました。
そこで、現時点での「月刊おはなし図鑑」の現状と、今後に対する考えを、言葉にしておくことにします。



まず、8/29(日)に開催予定の、小澤いずみさんがゲストの第32回は、予定通り開催します。
この時代、100%安全ということはないのかも知れませんが、少人数で注意し合うことでリスクを減らす、という考えで開催するので、ご来場される方はどうかお気をつけてください。

マスク着用、消毒などはもちろん、(あってほしくないですが)万が一感染者が出てしまった場合は速やかにご連絡いただき、全員に連絡をすることにします。
ご予約いただいた方でもやっぱり不安…となった方からキャンセル料もいただきませんし、小澤さんのミニライブ以外はネットで無料配信もしますし、アーカイブも残りますので、そちらもご活用ください(ただ今回、アーカイブの期間は一週間にしました。お気を付けください)。

詳しくはこちらをご覧ください。
【お知らせ】トークイベント「月刊おはなし図鑑」第32回 ゲストはシンガーソングライターの小澤いずみさん(8/29(日) 16:30、Live Bar Mushにて、10人以内、完全予約制)



そして、9月の開催も現在計画中なのですが、企画から現在までに感染者が急増し、状況が変わっていく中で、開催方法を何度も考え直し、変更するという現状です。
9月は無観客でネットの無料配信のみでの開催となると思います。詳細はまとまり次第、告知する予定です。しばらくお待ちください。





さて、以下は自分の気持ちを書いていくことにします。
というのも、コロナ禍という時代に、中止や延期や配信のみへと変更されるイベントも多く、また開催しても賛否両論が起こることも多い現状において、どうして自分はこの「月刊おはなし図鑑という」イベントを開催したいのか、それをあらためて考え直す時だと思ったからです。



大前提として僕は、音楽や映画、演劇やアートなどの文化・芸術活動を、一年前によく言われた「不要不急」という言葉で片付けることには反対です。
どんな業界でも、そこには様々な人々の考えや生活があり、等しく守られるべきだと考えています(なので国はもっと保障を充実させるべきだと僕は考えていますが、この話は長くなるので今はしません)。

例えば最近、賛否両論となっていたフジロックに対しても、新潟県内の感染者の急増や医療の逼迫を心配し、疑問視する人の気持ちは分かります。
その一方で、開催する企業、アーティスト、そして開催地の経済など、非常に大勢の人達の仕事と生活がかかった問題でもあり、中止したとしても十分な保障もされるとは思えず赤字になる可能性が高い現状の中、開催した気持ちも否定できないという複雑な気持ちです。

しかし、僕が企画している「月刊おはなし図鑑」は、そもそも営利目的のイベントではなく、中止したところで赤字になることもありません。
そこで、こんな時代に自分はどうしてこのイベントを開催したいのか、それはコロナ禍とは直接関係ないことだし回りくどいかもしれませんが、ここで一度、2年7か月(もうすぐ8か月)続けてきたタイミングで今、あらためて言葉にしたいと思いました。少し長くなりますが、最後まで読んでいただけるとありがたいです。



結論から言うと、僕が毎月様々なゲストの方とトークイベントを開催している理由は、様々な人の生き方を肯定したいという人間賛歌の気持ちがあるからです。
毎月開催してもまったく流行ったりバズったりすることのない小規模なアマチュアのイベントで、周りからは遊びでやっているだけに見えるかも知れないし、実際そう言われても仕方ないのかも知れませんが、根底にはそういう気持ちがあります。

そもそも自分は障害があることもあって、人間の生きづらさや社会問題には昔から関心があり、障害者や生きづらさの問題を扱う「こわれ者の祭典」のスタッフをしたり、その縁で出会った成宮アイコさんなどと2016年、2017年には「生きづらさを抱えた人間賛歌」というイベントを企画したりしていました。
その後、自分が2018年末に開催した「ちひろdeアート」という自分の作品展の中でトークイベントを開催したこと、そこにもともと僕と同じく「こわれ者の祭典」のスタッフで同じく障害のあるよしこが出てくれたことが、2019年から「月刊おはなし図鑑」を2人で開催することに繋がりました。

ここまでの時点で自分の中には、やはり「生きづらさ」の問題を前面に出していきたい気持ちがあり、2018年の「ちひろdeアート」も生きづらい人にも来やすいイベントにしたいということを強調していました。
しかし、いざ自分が企画したイベントで実際に「生きづらい」方々と出会う中で(そういう言い方で人をくくるのは抵抗がありますが、分かりやすさのためにあえてこう書きます)、イベント初心者である自分の経験のなさ、考えの浅さから、ちょっと失敗してしまったと感じることがありました(その方のプライバシーにかかわることなので、詳細は書かないでおきます)。

そこで感じたことは、「生きづらさ」を強調してイベントを開催することの難しさでした。
「生きづらい」方にとっては貴重なイベントだとしても、それは一歩間違うと主催者とお客さんの共依存的な関係に陥る危険があり、それを防ぎながら開催するのはかなり経験と実績のない人間ではないと難しい、素人である自分が簡単に手を出していいものではなかったのかもしれません。

それでも、「生きづらい」方々は世の中に大勢いるし、その一人である自分はこのまま何も行動を起こさずにはいたくない、という気持ちがありました。
そこで考えたのは、そもそも「生きづらさ」なんて誰にでもあるのだから、まずはそこにこだわるのをやめること。

一番大切なのは、どんな人でも生きやすい世の中を目指すことで、そのためにどんな人の生き方も肯定すること、つまり「人間賛歌」の気持ちだということ。
そこで、「人間賛歌」という言葉は前面には出さずにあくまで心の中で大切にしながら、色々なゲストの方と出会い、一人一人の生き方を大切に掘り下げて肯定し、そこに魅力を見出していく「月刊おはなし図鑑」というイベントを始めることにしました。



それとちょっと話は変わりますが、僕は音楽でも演劇でもどんなジャンルにも「界隈」というものがあると思うのですが、「月刊おはなし図鑑」はできるだけこの「界隈」を作らないように意識しています。
というのも、お馴染みのメンバーの「界隈」は確かにその中にいれば楽しくはあるのですが、どうしてもそこに入れる人と入れない人に分かれてしまうことに疑問があるし、「界隈」の外側にいる人にとってはかえって排他的に感じられてしまうこともあると思うし、それにいつも同じ「界隈」のメンバーが集まることで成立しているイベントは果たして健全なのか、そこに可能性はあるのか、と考えてしまうからです。

今の時代はエンターテインメント全体が「好きな人」をターゲットにする傾向があると思っていて、確かに固定ファンを確保することは安定した運営に繋がるのでそれを間違いとは思いませんが、一歩間違うと閉鎖的で内輪ノリの「界隈」になってしまうと思うので、それは避けたいと思っています。
例えばアイドルさんを呼ぶと桁違いにお客さんが増えるから、毎回アイドルさんなら確実に黒字だし、経営的には正解なんだろうけど、それだとお客さんが偏るしアイドル界隈のイベントになってしまうので、そういうことがしたいわけじゃないんです。

また、ちょっと先程の話題に戻りますが、「生きづらさ」を前面に押し出したイベントも結局「生きづらさ界隈」みたいなものを作ってしまう可能性があり、そうなると「生きづらさ」があるのに「生きづらさ界隈」に入れない人達が出てきたり、界隈のノリを敬遠して結果的に「生きづらさ」の問題が世の中に届きにくくなったり、かえって良くないことの方が多いとも考えました。
そもそも僕は「界隈」の人付き合いみたいなものが苦手だから、何かの界隈に偏りたくないし自分の界隈も作りたくないんです。

そこで、「月刊おはなし図鑑」は、毎回全然違うジャンルの人を呼ぶことで、毎月ゲストもお客さんもできるだけ同じ「界隈」の人にならないように意識しています。
特定の「界隈」にターゲットを絞って需要に応えるゲストを呼ぶとか、マーケティングとかは考えない、「月刊おはなし図鑑」の界隈は作らない、固定ファンもつかないし経営的は永遠に安定しないけれど営利目的じゃないからこれでいい、自分が楽しいと思う方を選ぶことにしました。

なので「月刊おはなし図鑑」は、ゲストの方やお客さん達と「おはなし図鑑界隈」を作らないように、できるだけ適度な距離で付き合っていけるように気を付けています。
もちろん、こんなよく分からないイベントに集まってくださるゲストやお客さん達にはいつも本当に感謝していますが、だからこそ健全な関係でいたいので、毎回毎回が初めてのつもりで、ゲストの方とは一期一会のつもりで出会いを大切にして、トークでも一人一人の生き方としっかり向き合って、いいイベントを続けていきたいと考えています。



どんな人の生き方も肯定できる「人間賛歌」を世の中に伝えたい、その気持ちを表現する方法を色々と模索した結果、今のトークイベント「月刊おはなし図鑑」が生まれました。
そう考えると、今までもこれからも出演していただけるゲストの皆さんには、自分の表現活動にご協力いただいているという気持ちが強く(などと言うと重いかもしれませんが、普通に楽しく出ていただきたいのですが)、本当に感謝しています。



長くなりましたが、一人一人を大切にしたい気持ちでやっているイベントが、一番大切にすることは何かと考えたら、それはゲストやお客さんの健康だと思いました。
そのためには、ゲストやお客さんを危険な目に遭わせることは絶対に避けたいので、コロナ感染者が急増している現状での開催にはできる限り細心の注意を払う必要があるし、今後は安全のためにリモートでの開催も考えています、というのが、今の自分の考えです。



「月刊おはなし図鑑」にご出演いただいているゲストの皆さん、ご協力いただいている会場の皆さん、そしてご来場いただいている皆さん、配信でご覧いただいている皆さん、本当にありがとうございます。
今後も「月刊おはなし図鑑」をよろしくお願いします。
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