舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

劇団日本バンカラロック『青春堕落録』を観て来た思い出!

2017-02-06 18:41:01 | Weblog
ブログに書き残してきたことを時間が経ったけど書いていこうのコーナー!
1月の思い出はもう全部書き終わったと思っていたんですが、まだあったので書いていきます!





日本バンカラロックは、新潟大学映画倶楽部の千葉くんが突如立ち上げた謎の劇団です。
そして今回の「青春堕落録」は、そんな千葉くんが演出し、新潟大学映画倶楽部と落語研究会の仲間たち、そしてNIE'Sのいっしーさんというなんとも怪しげな人々の出演する演劇でした。



千葉くんは去年、シネ・ウインド31周年祭のスタッフやら自主映画の上映会の企画やらをしていたこともあり、もともと僕と千葉くんは主にシネ・ウインドでよく会っていた仲でした。
それから、帰りの電車も何かと一緒になることもあったりして、よく話すようになり、何だかテンションが高くて色々おかしいけど面白い若者だなあと思っておりました。

で、そんな千葉くんの立ち上げ公演、よく分からないけど面白そうだなあ・・・と思って見に行って来ました。
そんな訳で、感想を書いていきます。



で、感想の前に、僕が一体どういう演劇が好きなのかっていう話をしておきたいんですけど、基本的に僕は、人間臭い演劇が好きです。
演劇のジャンルがどうあれ、ああ、こういうのやりたくてやってるんだなあ!という演劇の作り手たちの気持ちが物凄く透けて見えてしまうような、これがやりたいんだ!という初期衝動を大切にしているような演劇ほど、人間臭くていいなあという愛おしさを覚えます。

もう一つ大切にしたいのが、友達になりたさというやつで、演劇を見ながら、演劇の作り手たち、もっと言えば演劇そのものと、思わず友達になりたいと思ってしまうほどの愛着を持てる演劇に出会えると、すごく幸せな気持ちになります。
この友達になりたさというものはあくまで個人的な気持ちなので、説明しにくいのですが、先程言ったような人間臭さが強い作品ほど、友達になりたさも強くなると思います。

そして、本当に友達になりたさの強い演劇だと、演劇を見ながらもうすでに友達になったような気持ちにもなれることもあります。
そういう演劇は、初めて見た劇団であっても、まるで自分の大好きな友達が演劇を楽しんでいるのを見ているような、本当に幸せな気持ちで見ることが出来ます。

このような、人間臭さや友達になりたさって何なのかって考えると、一言で言えば、「好きになる」というものすごく主観的な気持ちだと思います。
そして、演劇ならではの特徴は何かと考えたら、それは、今まさにそこに存在している人と対面する、というライブ感なのではないかと思いますので、演劇に出会って、好きになれること、これが演劇を見る時の一番純粋で根底にある喜びなのではないかと思います。

ここで大事なのが、僕の中でこの演劇を好きになるという気持ちは、演劇の上手さや完成度よりも優先されるということなのです。
これはあくまで主観的なものなのですが、演出や役者などの完成度が物凄く高くても必ずしも好きになれるとは限らないし、逆に完成度は低くて大して技術もない演劇なのに物凄く好きになってしまう演劇があったりします。

でですね、さらに個人的な気持ちになっていくのですが、僕は完成度は大して高い訳ではないのに、何だかとても人間臭くて友達になりたくなってしまう、物凄く好きになってしまうような演劇が、もしかしたら一番好きなのかも知れないです。
いわゆるヘタウマっていうもので、僕はこのヘタウマっていうものが大好きなのです。

いや、もちろん、とても完成度が高いし、本当に面白くて大好きになれる演劇という素晴らしいものも、世の中にはたくさんありますよ!それこそプロの演劇とかね!
また、プロ・アマ問わず、演劇をやる人間が技術を磨いたり高い完成度を目指したりすることは、決して間違っていないし、寧ろすごく立派なことだと思いますよ!

ただ、僕が思うのは、完成度ばかりを追い求めるあまり、心から演劇を楽しむという初期衝動を見失ってしまったり、もともと持っていたはずの人間臭い魅力を忘れてしまっては、はっきり言って面白さの減退だし、勿体無いということなのです。
何でそんなことを思うかと言うと、このように技術的な完成度を求めすぎて演劇の一番大切なものを見失ってしまうことは、特にアマチュア演劇では陥りがちな罠なのではないかと思うからで、実際自分もそうなってしまっていた時期があると思っています。

で、そうなるくらいだったら、ヘタウマなままでもやりたい放題やった方が絶対いい!そっちの方が絶対心に残るし色んな人と友達になれる魅力的な演劇になる!と、僕は心から思っています。
特に自分のようなアマチュア演劇なんて、やりたいから演劇をやってるだけなのだから、下手だろうが何だろうがやりたい放題やった方が絶対いいと思うし、アマチュアだからこそ作り出せるようなヘタウマの魅力というものも絶対あると思うのです。

これは、自分が所属する「BLUES」が、演技の上手さとかなんて知るか!俺たちはやりたい放題ふざけまくるだけだ!と一貫してバカな演劇ばっかりやっているところが本当に大好きだから、思うようになったことでもあります。
また、僕が大好きな「レティクル東京座」だって、実際完成度は高いと思いますが、それ以上に、俺たちはやりたいことをやりたい放題やるだけだ!という凄まじいバカな情熱があるからこそ、心から友達になりたい劇団だなあと思えていたりするのです。



・・・以上、ちょっと長くなってしまいましたが、僕が個人的にどういう演劇が好きなのか、を熱く語ってしまいました。



で、ですね、それを踏まえて、劇団日本バンカラロック『青春堕落録』がどうだったかと言うと・・・最高だよ!お前ら!っていう気持ちです!



まず、この演劇の特徴として、出演者さんたちは全員、新潟大学の映画倶楽部と落語研究会とNIE'Sのアイドルという、見事に演劇初心者ばかりが集まっています。
だから、そりゃあ技術的な部分だけ見たら稚拙な部分は実際たくさんあったんだと思います・・・ということは、一応最初に言っておきますが・・・しかし、そんなことでバカにしていい演劇では決してなかった!と僕は思うのです。

何が素晴らしいって、何が素晴らしいって、出演者さんたちが、全員、本当に堂々としていて一生懸命この演劇を作っていること、この演劇を全力で楽しんでいることが、本当にガンガン伝わってきたことです。
これ、本当に、演劇というか何かを表現する人間にとって、技術や経験、完成度なんかよりも、本当に一番大切なことだと思うのです。

そもそも、演劇初心者ばかりが集まった旗揚げ公演なんだから、技術的な未熟さなんてあって当たり前だと思いますし、そういうものをバカにしたら永遠に面白い演劇なんて生まれないのではないでしょうか。
そして、この演劇の素晴らしいところは、そういう未熟さに対して、それがどうした!と言わんばかりに、いい意味で開き直っているところ、そりゃ俺たちは演劇のことなんてよく分からないよ!でも、今の俺たちが俺たちなりに出来ることは全部やってやるよ!という情熱に満ち溢れていたのは本当に演劇に対して誠実な態度だったと思うし、心から好感を持ちました。

と言うか寧ろ、全員が演劇初心者とは思えないくらい堂々と舞台に立っていたことは、本当にびっくりしたし、本当にすごいことだと思います。
何度も言いますが、技術も経験もなくたって、堂々と一生懸命やればそれだけで人間は感動的だ!ということがはっきり伝わってきて、僕はとても清々しくて幸せな気持ちになりました。

また、ストーリーは、ざっくり言うと、とある新潟の学生アマチュア劇団が、とにかく一生懸命頑張る!という内容で、ちょっとメタ的と言うか、この「劇団日本バンカラロック」という劇団を立ち上げた想いを、主催者の千葉くんが自ら演劇にしたような内容だったなあと思いました。
また、劇中で仲間割れをしてしまったり、自分の才能のなさに挫折してしまったり、卒業後の将来に不安を持ってしまったり・・・という展開も登場し、これは千葉くんの実際の悩みなのかも知れないな・・・なんてことを思ったりしました。

敢えて指摘するなら、そういう色んな展開を次から次へとちょっと詰め込み過ぎかも知れないな・・・とか、もうちょっと、一つ一つの問題を掘り下げてもいいのかも知れないな・・・なんて思った部分もなくはないのですが・・・
ただ、これが千葉くんの初めて書いた戯曲と考えれば、ここまで自分の気持ちを堂々と込められるのは寧ろ素晴らしいことだと思いますし、先ほど言ったように僕は、演劇の作り手の気持ちが透けて見えるような人間臭い演劇が大好きなので、全体的にはとても良かったと思います。

主な登場人物は、劇中に登場する劇団の劇団員4人組なのですが、先ほど書いたように出演者さんたちは全員が全シーンでとにかく情熱的に、ほとんど叫んでるような演劇なので、この4人が本当に愛すべきバカたち!って感じがしたところも良かったです。
個人的に、僕の大好きな映画で、園子温監督の「地獄でなぜ悪い」に、「ファックボンバーズ」という全然売れないけど超ハイテンションな映画バカ集団が出てくるのですが、まさしく彼らのような魅力に溢れていたと思います。

一番好きなシーンは、そんな彼らが勢いにまかせて「俺たちが日本一の劇団になるぜ!」とひたすら情熱を滾らせて叫びまくるシーンで、嗚呼・・・愛すべきバカっていいなあ・・・って思いました。
しかも、そこでかかる音楽がX JAPANの「紅」という、どう考えても盛り上がるに決まってるみたいな音楽を恥ずかしげもなく大音量でガンガンかけるという、ダサ格好さ全開の演出も最高でしたし、しかもこのシーンが冒頭でいきなりくるので、一気にこの演劇が好きになりました。

一言で言えば、先ほど僕が言ったような、友達になりたさをとても感じる演劇だったなあと思います。
しかも、演劇の内容が、そんな愛すべきバカたちが情熱を滾らせたり、みんなで遊んだり悩んだりふざけたり喧嘩したり仲直りしたり挫折したり立ち直ったりする内容なので、まるで彼らと一緒に青春をしているような気持ちにさせられる演劇だったなあと思います。

ただ、思ったのは、せっかくここまで青春一直線な役者と脚本と演出が揃っているのだから、もっと青春しても良かったんじゃないか?という気持ちがなくもないです。
先ほども指摘しましたが、ストーリーの中で登場する様々なエピソードの一つ一つを、もっと具体的に掘り下げて描いた方が、実際に彼らが何をしているのか?何をやりたいのか?何を悩んでいるのか?がはっきりして、より、彼らと一緒に青春しているかのような魅力が際立ったのではないだろうか?と思うのですが・・・

まあでも、何度も言うように、旗揚げ公演でそこまで求めるのも贅沢な気もしますし、それ以上に青春の情熱やバカな面白さ、人間臭さ、友達になりたさと言った魅力の方が上回っていたので、僕はこの演劇すごく好きです。
バカな奴らが精一杯頑張るというストーリーも、この劇団自体も、まさに僕の大好きな演劇だったなあと思います。



お疲れ様でした。
これからも演劇とか映画とか落語とかアイドルとか頑張ってください!
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