舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

見る者の価値観を狂わせるほどの不幸のジェットコースター映画「哀愁しんでれら」観てきました。

2021-02-26 16:59:20 | Weblog


2/23(火)、イオンシネマ新潟西でワンダーフリーパスポートで5本連続の5本目、「哀愁しんでれら」を観てきました。





予告編はこちら。



平凡な毎日を生きていた小春は、ある日実家の祖父が倒れ、病院までの運転中に父が事故を起こし、さらに家が火事になるという不幸の連続に見舞われる。
そんな中、妻を亡くし娘を一人で育てる医者の大悟と出会い恋に落ち、結婚するのだが、幸せに見えた生活だったが、どんどん狂っていく…という、ある意味サイコホラーだけどコメディでもあるという狂った家族ドラマです。

平凡な主人公を不幸の連続が襲い、一度幸せの頂点に上り詰めたかと思いきやそこからじわじわと不幸が忍び寄り最後は不幸のどん底へと急降下していくという不幸のジェットコースター映画です。
本作の特徴として不幸の描き方が鬱じゃなくて躁なんですよね、ハイテンションでドラッグムービー的に不幸を描くという。

だから、前半は悲劇すぎてもはや笑っちゃうし、後半の不幸がじわじわ忍び寄ってきて家庭が崩壊していく下りもまるでホラー映画みたいに不気味なんだけど、そこで胸糞悪くなりながらも見ている自分も寧ろ「やっべー!」って思いながら怖いもの見たさで楽しんでしまうような、狂った精神状態になる映画でした。
テイストは違うけど、鬱な展開を躁で描くのは、中島哲也監督の「来る」とかに近い感じかもしれません。

小春と結婚する夫・大悟の、一見すると王子様みたいな人なのに会話の端々に「あれ?こいつめちゃくちゃヤバい奴では…?寧ろサイコパスでは…?」という不穏さを漂わせて、それがじわじわ加速していって最後には爆発する感じはリアルすぎて素晴らしかったですね。
田中圭さんの嫌な演技は初めて見ましたが新鮮でした。

そしてそんな田中圭さん演じる大悟と結婚する小春役の主演の土屋太鳳さん、気持ちの上下動を時にハイテンションに時に抑えた演技で表現していて、こんなにいい役者さんだったっけ?と正直びっくりしたほど素晴らしかったです。
一番素晴らしいと思ったのが終盤で、「もうこの人と一緒にいるのは無理だ」と逃げ出すんだけど、やっぱり彼を求めてしまってからの、最悪の選択をしてしまうまでの一連の流れでした。

ちなみに、ここでの最悪の選択というのは、もう最悪も最悪、胸糞悪すぎて、逆に笑うしかないレベルなんですよね。
物凄い残酷な場面を、この映画の中で一番美しく、一番幸せそうに撮るという、監督の悪趣味さがすごくいい後味の悪さを残していたと思います。

そして何より、そんな崩壊していく家庭の物語で重要なのが、娘役の女の子、COCOさんでですよ。
純粋な可愛い女の子と思わせて想像以上の邪悪さを見せ、家庭も主人公の精神も崩壊させていくという、本当にあの子役は怪演でしたね。

子供は可愛くあれ、家庭は幸せであれという価値観が人間を狂わせていく物凄い皮肉めいた映画でした。
そしてやっぱり、物凄く胸糞悪いのに、物凄く面白いという、観ている自分も狂った精神状態になっていく映画でしたね。
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