http://the-liberty.com/article.php?item_id=13513
《本記事のポイント》
・衆院解散総選挙の最大の争点を「全世代型社会保障」とする方針。
・イギリスは福祉国家化で"英国病"を患い、衰退した。
・いたずらに社会保障費を増大させるのは選挙のための「合法的買収」か。
北朝鮮情勢が緊迫する中であっても、自民党は最大の争点を「憲法改正」とはしないらしい。
衆議院解散の意向を示した安倍晋三首相は、「全世代型社会保障の実現」、「北朝鮮への圧力強化を継続」、「憲法に自衛隊根拠規定を明記」の3点を柱にする方針と各紙が報じている。
その中での最大の争点は、「全世代型社会保障」なのだという。その中身は、2019年10月に消費税を10%に増税した際の、増収分の使い道の変更だ。当初は高齢者の社会保障制度を維持するための増税のはずだったが、幼児教育の無償化や高等教育の負担軽減など、子育て支援にあてるという。実質的には、「新たなバラマキ」だ。
この「全世代型社会保障」だが、かつてイギリスが苦しんだ「英国病」の大きな原因でもある、「ゆりかごから墓場まで」をスローガンとした社会保障政策と基本的な考え方が共通している。
◎福祉に偏りすぎた英国経済
イギリスでは1942年、経済学者ビバリッジを委員長とした委員会が、社会保障計画の大枠を示した。国民全員に最低限の生活水準を保障することと、その財源を労働者と使用者の負担する保険料によってまかなうことが提示された。
これを受けて、イギリスは「基本政策の枠組み」として、保守党・労働党を問わず、ケインズ主義に基づく経済政策と、完全雇用追及・社会保障充実を掲げ、各種社会保険、健康保険に加え、児童手当等への十分な給付を実施する社会を目指すようになった。
その結果、1970年代には、経常収支・財政収支は悪化、インフレ率が2桁台に達し、景気は停滞するという、スタグフレーションに陥ったのである。
この福祉に偏りすぎたイギリスの危機を救ったのが、サッチャー政権である。サッチャーは、「経済面での自助努力」を掲げ、社会保障費を大幅に削減し、国有企業を次々に民営化するなど、大胆な改革を実行した。
その結果、イギリスの経済成長率は79年〜82年の平均が0.1%だったのに対し、87年には4.4%まで上昇、財政収支は90年度までに黒字化し、政府のGDPに対する債務比率は30%未満に縮小するなど、一定の成果を上げたのだ。
◎学力低下も招いた"手厚い"教育政策
「ゆりかごから墓場まで」は、教育面においても失敗した。
当時は、5歳から15歳(後16歳)までの義務教育の無償化と、地方教育当局(LEA)による教育計画の管理が進んでいた。1944年に成立した教育法では、公的な教育の概念を拡大し、LEAの下で幼児学校から地域センターによる教育サービス、18歳までの青年に対する多様な形態の義務教育の継続と、手厚い就職保障のための多様な教育の実現を掲げていた。
しかし、そうした教育の結果は、学力の低下となって表れてしまった。
サッチャー政権は1988年、教育法の大胆な改革を行った。例えば、親の学校選択権は拡大し、学校が集めた生徒数に合わせて補助金が出る仕組みや、LEAが学校を強力に統治するスタイルから、学校が独自の財政、人事、方針決定権を持つスタイルへの転換など、教育に競争や成果主義が取り入れられるようになった。
その結果、ナショナルテスト(全国学力テスト)で平均を超える生徒の割合が増え続けるなど、かなりの成果が上がったという。
いたずらに社会保障費を増やし、不要不急の層にまで適用範囲を拡大していけば、国力は衰退し、国民の所得や納税額は減り、財政赤字はさらにひどくなる。選挙のたびに行われるバラマキは合法的買収であり、国を停滞させていく。
サッチャー時代のイギリスに学びつつ、今日本に必要な施策を再考する必要がある。(HS政経塾 須藤有紀)
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2017年6月30日付本欄 「国民皆保険に医師の半数が『持続不能』と回答 改革が求められる日本医療界」
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2017年7月7日付本欄 「2016年度の税収ついに減る 消費税の破壊力と、財務省の不思議な言い訳」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13226
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13634
《本記事のポイント》
・「消費減税」を訴える幸福実現党が報じられず、国民に選択肢が示されていない
・ 税金で選挙をする党はメディアに出て、自腹で選挙をする党は出られないおかしさ
・ 情報が伝わらなければ、民主主義は正しく機能しない
衆院選が10日、公示され、11日付各紙は一斉に、各政党の主要政策や党首の演説内容などを伝えた。
「自民・公明」「希望・日本維新の会」「共産・立憲民主・社民」の三つ巴の戦いだと報じているところがほとんどだ。ここで、各紙一面を見比べてみたい。
・読売新聞は、「衆院選 3勢力対決」という見出しで、自民、公明、希望、日本維新、共産、立憲民主の6党首の写真を掲載。北朝鮮問題や消費増税分の使い道など、各党首の街頭演説を紹介している。
・朝日新聞は、「安倍首相の信任 焦点」という見出しで、6党首と社民、日本のこころの8党首の写真とともに、憲法9条の改正など、各党首の主張も掲載した。
・毎日新聞は、「消費税・改憲 争点」という見出しで、8党首の写真と演説の時間配分を掲載。北朝鮮と消費増税を中心に、紹介した。
・日本経済新聞は、「安倍政権5年に審判」という見出しで、同じく6党首の写真を掲載し、安倍政権の続投などについて、各党首の街頭演説を紹介している。
・産経新聞は、「北有事・改憲 3極論戦」という見出しで、6党首と社民党党首の写真を掲載。自民党の勝敗ラインなどを中心に紹介した。
◎国民に政党の選択肢が示されていない
これら8つの党は、「消費増税」または「消費増税の凍結」、「消費増税の中止」という政策を示している。しかし、唯一、「消費減税」を訴え、全国に候補者を立てている政党がある。幸福実現党だ。
幸福実現党について多少なりとも触れたのは、産経新聞のみ。他紙では諸派扱いで、新聞を読んでいるだけでは、「減税」を訴えている政党があることすら分からない。これは、国民に「消費減税」という選択肢が示されていないことを意味する。
幸福実現党は、小選挙区で35人、比例で41人を擁立し、候補者数では立憲民主党に匹敵する。客観的に見ても、諸派と一括りにできない規模だ。
◎税金で選挙をしている政党がタダで宣伝できる
同党が報じられない理由の一つは、政党要件を満たしていないということがあるだろう。
しかし、希望の党や大阪維新の会は、政党要件を満たす前から報じられていた。
ところで考えてみれば、政党助成法上の政党要件が満たされると、政党交付金が与えられる。つまり、税金で選挙活動を行えるようになる。かつ、テレビや新聞でも連日報じられる。一方、政党要件を満たさず、政党交付金を受け取っていない政党は、自己資金で選挙を戦いながら、メディアにもほとんど取り上げられない。
税金で選挙をする政党はタダで宣伝でき、自腹で選挙をする政党はできない。これほど新規参入を阻む分野も珍しいだろう。選挙が本当に民意を反映するためのものなのか、分からなくなってくる。
◎民主主義が正しく機能していない
憲法に規定されている政教分離も、メディアが幸福実現党を報じない理由の一つだろう。だが、宗教法人である創価学会が支持団体となっている公明党は、連日報じられている。
民主主義のよい点は、さまざまな思想信条を持つ人が、意見を自由に言うことができ、少数意見であっても尊重する精神があることだ。しかし、現在の日本では、メディアによって選別された意見しか国民に知らされない。情報がフェアに伝わらなければ、民主主義も正しく機能しない。
国民には選挙の選択肢を知る権利があり、メディアの側にも、その情報を知らせる義務があるはずだ。(山本泉)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『危機のリーダーシップ』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1928
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2017年10月10日付本欄 【保守政党・公約比較】希望は候補が「民進党」、自民は政策が「民進党」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13627
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13646
——自民党の政策パンフレッドに、アベノミクスの実績として「名目GDPが50兆円増えて、過去最高」って書いてあったけど、やっぱりアベノミクスって成功しているんじゃないの?
A: 普通の先進国は、その2倍成長しています。
安部政権が始まってからの5年間で、日本のGDP(国内総生産)は10%増えました。ただ同じ間に、アメリカもイギリスもドイツも20%増えています。中国に至っては、50%も増えています。
(※)各国通貨による名目GDPの、2012年と比べた2017年のGDP増加率。IMFのWorld Economic Outlook Databasesのデータを基に編集部で計算。
そもそも経済は、何もしなくてもある程度成長していくんです。それぞれの企業が、大きくなろうと努力をするからです。
男子中学生が「サプリメントの効果で、身長が1年で5ミリも伸びました。過去最高です」と周りに自慢したって、「他のクラスメイトはみんな1センチ伸びてますよ」という話です。背が伸びたことは評価するけれど、「サプリメントが効いた」とは言えないわけです。
日本が経済成長しているのは、「アベノミクスのお陰」というより、日本人が頑張って働いたからです。むしろ、「消費増税」という"成長抑制剤"を飲んだせいで、周りよりも、成長スピードが遅かった。そのことは、素直に残念だし、もったいないと思います。
——自民党は、「就業者数も185万人増加」とアピールしているけど。
A: 就業者が増えたことも喜ばしいけれど……これ実は、リーマンショック前の水準に戻っただけなんです。
リーマンショック前の2007年に比べると、増えた就業者数は28万人だけです(IMF統計より)。ちなみに28万人というと、今年の夏に富士山に登った人数が28万人らしいですよ。
——富士山……(笑)。アベノミクス、ぜんぜん効いてないじゃん。
A: もちろん、リーマンショック後の回復に一役買った面もありますし、そうはいっても28万人増えているので、「ぜんぜん効いていない」というつもりはないです。
ただ、「185万人増加」という数字は、それを割り引いて見るべきだとは思います。
——自民党の政策パンフレッドに、「正社員有効求人倍率 初の1倍越え」とも書いてあったけど、これはどうなの?
A: 求人が増えている理由は、景気がいいからではなく、「仕事を辞める人が多いから」です。
高齢化による退職者の増加で、この5年間の間に、労働力人口が5%近く減っています。だから企業は焦って求人しているのです。
「正社員有効求人倍率 初の1倍越え」は、安倍首相が「国難」と言っている「少子高齢化」の反映に過ぎないんです。
——「若者の就職内定率も過去最高」だとも書いてあったけど?
A: これも、少子高齢化の影響が大きいです。高齢化で「団塊の世代」が大量に退職する一方、少子化で若者の人数も減っています。企業が、どんどん内定を出したくなるわけです。
それなので、「アベノミクスの業績か」と言われると、やや疑問です。
2013年と比べた内定率の伸びも、「リーマンショックから、回復しただけ」という面が大きいです。自民党がアピールする内定率は97.6%ですが、リーマンショック前は96.9%あったんです。それが経済危機で大きく落ち込んで、回復してきていた。底を打ったのは、アベノミクスが始まる前でした。
——「企業収益が、過去最高で26.5兆円も増えた」っていうのは?
A: 企業の利益(経常利益)が増えたのは、景気がいいからではありません。
というのも、売り上げの方は、ぜんぜん増えていないんです。10年前の2007年に比べると、企業の売上は8%近くも減っています。
利益が増えたのは、「コストが下がった」など、様々な理由が言われています。いずれにせよ、売上が増えたからではありません。
——「家計の可処分所得が2年連続で増加」という数字もアピールされてたけど!?
本当の豊かさを測るために、物価の変動を差し引いた「実質可処分所得」という数値で見ると、1年しか増えていません。それも、0.4%だけ……。
それより、消費増税の直後に4%近く減ってしまっているので、0.4%だけ持ち直しても、家計は苦しいままです。
そもそも、物価の変動を考慮した賃金である「実質賃金」という数字は、下がり続けています。
——怪しいダイエット食品広告の数字には注意が必要だけど、自民党のアピールにも注意が必要だなぁ……。
(西原瑛秀/馬場光太郎)
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2017年10月10日付本欄 【保守政党・公約比較】希望は候補が「民進党」、自民は政策が「民進党」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13627
世界は緊迫 日本は平時のドタバタ 残念過ぎる衆院選を追う
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13600
民進党が割れた。国民に絶望された民進党を、看板だけ掛け替えようとした「希望の党」。救いの手に漏れた絶望組、元閣僚たちの「立憲民主党」。政権交代を成し遂げてくださった暁には、あの見事な民主党政権の二の舞になることだろう。
東京都知事で、希望の党の小池百合子代表は「次の次」くらいの出馬だそうである。一体いつまでこの党が持つのか知らないが、出るなら「今でしょ!」と思っていた有権者からは、落胆の声が相次ぐ。どうやら政権交代を目指さない新党立ち上げだったようだ。
安倍晋三首相の顔色も悪い。惨敗した東京都議選の悪夢がよみがえる。数千票差で当選してきた小選挙区の約50議席と、比例の40議席程度、最大90議席くらいを失うだろうとの報道もある。最悪、自民単独では過半数を割るかもしれない。野党の混乱を狙ったつもりだったが、とんだ「自爆解散」になった。
どうして政治家は、いつも自分の生き残りのことしか考えられないのか。
北朝鮮の水爆保有やICBM開発成功がこの国にとって何を意味するのか、政治家は本当に理解できているのか。
世界史的、地球儀的にみて今どのようなことが起きていて、日本にはどのような政治が求められているのかということが、本当に分かっているのだろうか。
◎政治家の「誠(まこと)の心」はいかに
そもそも、今回の解散総選挙には、与党にも野党にも、誠(まこと)の心がなさそうだ。
栄誉ある野党第一党の代表に選ばれたのに、就任一か月で党を売りに出した前原誠司氏。あまりに情けなかったのではなかろうか。男としての意地を見せてほしかった。
東大法学部を出て検事まで務めたのに、税金を使って不倫していた山尾志桜里議員。「事実と違う」と訴えながら行脚しているが、それで有権者に通じると思っているのだろうか。
民進党のモラルのなさを利用したのは安倍政権。かつての自民党の首相なら、「モリ」「カケ」騒動で首を取られていてもおかしくなかった。2021年まで総理を続けて佐藤栄作を抜く歴代一位の長期政権を目指したいのは分かるが、消費増税によるアベノミクス失敗は明らかだ。
希望の党の小池氏も、勢いとイメージだけで大勝を手に入れようと、日本一の大天狗へ驀進中だ。「金なし、組織なし、政策なし、実績なし」。"しがらみのない政治"とは、要はそういうことだろう。
自分で作り上げた組織でもない民進党のカネと組織を利用して、カッコウの雛のように成長する。果たして永田町のタヌキ・キツネを非難する資格があるか。安保法制に必死に反対してきた民進党員に、党費を返してあげるべきだ。
見渡しても、自分の野心のために戦う政治家、自分の生き残りのために戦う政治家ばかり。
天下国家のために身を投げ出すような、私心のない政治家はどこにいるのか。
「多くの人の上に立つ者ならば、それだけの責任を背負わなければならない」と考える政治家は、どこにいるだろうか。
◎世界はすでに戦争秒読み、国内の報道はいつもの選挙騒ぎ
世界の他の指導者らは真剣だ。トランプのアメリカも、習近平の中国も、プーチンのロシアも、一瞬の気も抜かずに北朝鮮の動向を注視している。この9月以降でも、メキシコ、ペルー、クウェート、スペイン、イタリアと、北朝鮮大使を追放する国が相次いでいる。
イギリスの王立防衛安全保障研究所は9月28日、「アメリカと北朝鮮との軍事衝突が現実味を増している」として、各国にあらゆるシナリオに備えるよう警告した。朝鮮半島・日本近海での大規模戦争勃発は、世界ではすでに秒読みに入っている。
一方で、戦争の当事者でもあろう国が、首相の公私混同の疑惑隠しのために国会を解散し、都知事の野心によって国政を引っかき回されているのだ。哀れという他はない。
◎危機のリーダーシップ
去る10月1日、幸福の科学グループの大川隆法総裁は、現代の日本に求められている政治家について、講演会でこのように述べた。
「第二次大戦において、『ヒットラーという人にどこまでの野心があるかを見抜けたか、見抜けなかったか』ということは、ヨーロッパでは大きな問題ではないかと思います。
そのヒットラーについて、イギリスの首相を務めたチャーチルは、『ヒットラーは、ポーランドや、石炭や鉄鉱石が出る地域だけを占領すれば、それで満足するような人ではない』と、早々と見抜いていました。そのため、徹底的に交戦し、『絶対に降伏はしない』ということを貫いたのです。そうした信念の政治家がいらっしゃいました。
彼の信念がなかったら、イギリスも亡びていた可能性は極めて高いでしょう。
(中略)当時、チャーチルは、『国防を充実させて、ドイツに対抗できるものを持たないと、この国は亡びる恐れがある』と言い続けていたわけですが、実際に空爆が始まったら、チャーチルが選ばれたというようなこともありました。
そのように、本当に爆撃が始まるまでわからないというのが人間の愚かなところであり、危機のリーダーは、そういうことが"始まる前"に見抜いているわけです。チャーチルは、相手の人間の筋から、『どこまで欲があるか』ということを見抜いていました。
(中略)こうした危機の時代には、やはり、信念を持った人が政治家にならなければいけないし、『人物を見分ける技術』も必要だと思うのです。
その意味で、とにかく選挙に勝てばよいとばかりに、票集めばかりを考えるとか、『ポピュリズム』のようなものに走ったりするというのは、はたしてどうなのでしょうか。」
「したがって、この世の中で選ばれてエリートになりしものたちは、それだけの『自己犠牲を払う精神』が必要だと思います。
やはり、『自分を犠牲にしてでも多くの人を救いたい』という気持ちを持った人に国会議員等になってもらわなければ困るのです。
また、そういう心を持つためには、神仏への信仰心がきちっとしていなくてはなりません。『自分が偉ければいいんだ』、『自分がとにかく偉いんだ』、『官僚よりもっと偉くなれるから政治家を目指すんだ』というような考えだけの人であれば、たとえ、いくら票を入れて当選させ、大臣にしたところで、どうせ悪いことばかりするでしょう。神仏の前に謙虚で、人々に愛を押し広げる人たちをえらんでいかなくてはならないのです。」
「そのためには、『清潔で、勇断できる政治』が大切です。そうした危機のリーダーシップを発揮できる人たちを選んでいかなければなりません。
今回の国政選挙について、『政権選択選挙』などと言っていますが、あんなものはまやかしであって、もはや信じられない思いです。
やはり、民度を上げなくてはいけないし、啓発し、啓蒙しなければいけないでしょう。『本当に必要な人はどんな人なのか』を言わなくてはいけないのです。」(*1)
思えば8年前、2009年の夏。8月末の総選挙を控え、北朝鮮の核・ミサイル問題に対して警鐘を鳴らし続けてきたのは、幸福実現党だった。
「あの時に、有権者やマスコミがもう少し耳を傾けてくれていれば」
幸福実現党の支持者たちは、そう思い続けている。
北朝鮮がICBMや水爆を保有してしまう前に、いろいろな手段はとれたはずなのだ。海上封鎖、独自の経済制裁、軍事施設へのサイバー攻撃。あるいは、日本にミサイルを落とさせない防衛装備を備えることができていた。平壌を無血開城させるタイミングは何度もあった。
朝鮮半島で千万人単位の死者が出る時期が迫っている。日本にミサイルが落ちれば国内でも百万単位の死者が出よう。
狼に牙を生やし、ここまで増長させたのは、大国ながらあまりにも無防備すぎた日本の責任だ。
そして、日本がアジアの警察であることを放棄し続けた、日本の国のリーダーたちの責任なのだ。
もう走り始めてしまった選挙。有権者はどのようなリーダーを選ぶのだろうか。どのような政党を選ぶのだろうか。
日本の国の、存亡がかかっている。(川島一朗)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『危機のリーダーシップ いま問われる政治家の資質と信念』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1928
【関連記事】
2017年9月28日付本欄 【衆院選2017】幸福実現党が掲げる「大義」とは(その2)「自分の国は、自分で守れ。」
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2017年9月27日付本欄 【衆院選2017】幸福実現党が掲げる「大義」とは(その1)無視されてきた「警告」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13572
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13623
トランプ米大統領が、「嵐の前の静けさ」と軍事行動を示唆し、いつ有事が起きてもおかしくない。憲法改正がクローズアップされているが、北朝鮮の暴走を阻止できる政党が政権入りすべきだ——。
10日に公示を迎える衆院選の焦点は、憲法改正と消費税10%への引き上げの2点に絞られつつある。同日は、北朝鮮の朝鮮労働党創建記念日を迎えるにあたり、いつミサイルを発射し、アメリカが軍事行動に出るか分からない。そんな物々しい雰囲気の中、日本は選挙戦に突入した。
◎戦後体制が北朝鮮を増長させた
そうした中、大川隆法・幸福の科学総裁は9日、「日本の進む道」と題した講演で、選挙の議論は「もっと根本的な、国家としてのあり方(国体)を考え直す時が来ている」とし、各政党の主張が小手先レベルにとどまっていることを指摘した。
議論すべきとしたのは、国防政策の大転換だ。大川総裁は、吉田茂元首相以来、戦後の自民党政治が守ってきた「吉田ドクトリン(方針)」が、北朝鮮を増長させているとし、この体制の転換なくして、日本を守り切ることができないと指摘した。
吉田ドクトリンとは、防衛をアメリカ頼みにし、経済を最優先にする方針のこと。これが、北朝鮮の核大国化を助長させた。安倍自民党が、防衛費を微増にとどめ、安全保障をアメリカに丸投げしているのも、その体制を踏襲しているためだ。
北朝鮮についても、「(問題解決を)先延ばしにすると、日本が本当に主戦場になる可能性は高いし、ひいては、第三次世界大戦の引き金になる可能性が極めて高い」と述べ、北朝鮮を野放しにすれば、中国の覇権主義も押し止めることは困難であるとした。
憲法改正論が起き、国防政策が強化されている雰囲気があるが、その中身については吟味されるべきだ。幸福実現党は憲法9条の改正を明確に主張しているが、他の政党は、「議論する」にとどまっている。
◎教育無償化が少子化を招く!?
大川総裁はさらに、消費増税による「教育無償化」にも言及。「幼稚園や保育所のあたりのところは、市町村レベルで自由にやらしても構わない」とし、政府が介入を強めるのではなく、許認可の権限を緩和すればいいと指摘。国が地方の仕事まで丸抱えすれば、増税は際限なく行われ、教育の自由が奪われるとした。
安倍自民党や野党各党は、「ゆりかごから墓場まで面倒を見る政党はどちらか」で凌ぎを削っている。しかし大川総裁は、「学校の無償化も気をつけないと、子供はタダで全部行けるようになり、親に対する感謝がまったくなくなる」として、核家族はますます増え、家族の絆も失われ、親孝行をする子供も減る世の中になると警告した。
つまり、補助金頼みの少子化対策が、逆に、少子化を招き、日本の伝統文化をも破壊するというのだ。
確かに、政府に育てられた子供が、親に恩返しをする義理は感じづらい。ことわざにある「地獄への道は善意で舗装されている」から教訓を学びとり、社会保障政策の中に、人間の血が通っているかどうか議論されるべきだ。
今回の衆院選は、「自分の国は自分で守れるか」「増税による重税社会を認めるか」が問われる重要な選択となる。有権者は昨日、今日できたような新党ブームに流されず、日本の危機を乗り超え、豊かな社会をつくれる政党はどこであるか判断すべきだろう。
◎今の日本は危急存亡の秋にある
講演後、幸福実現党の釈量子党首が登壇。同党は2009年の立党以来、北朝鮮の核・ミサイル開発の危機を訴え、国防強化の必要性を唱えている。今回の選挙でも、憲法9条の改正や防衛費倍増、核装備などの政策を掲げている。
釈党首は、「(北朝鮮の危機などが迫る)大きな大転換期の中で、私たち幸福実現党は、大きな役割を果たそうとしています。まさに、今がその時であるということであります。今回の選挙は、これまでの通常の衆議院選挙とは違います。まさに、戦争が起きるかどうかという中での選挙です。この日本が、ナチス・ドイツと同じような国家社会主義に転落するかどうかの選挙です。この危急存亡の秋(とき)に立ち上がって戦うのは、私ども幸福実現党だけでございます」と力強く訴えた。
なお、講演で大川総裁は、以下のような論点にも言及した。
・北朝鮮の暴走を止めないといけない理由
・戦後体制はどこが問題か
・内部留保の考え方について
・日本とアメリカのヒーローへの見方の違い
・東京と大阪の知事が政策論争する問題点
この法話は、幸福の科学の全国の支部、精舎、拠点において、拝聴できます。
支部や精舎への問い合わせは、以下の連絡先まで。
・幸福の科学サービスセンター
Tel:03-5793-1727 :火〜金/10:00〜20:00 土日/10:00〜18:00
・同グループサイトの支部や精舎へのアクセス
http://map.happy-science.jp/まで。
【関連サイト】
幸福実現党 公式サイト
https://hr-party.jp/
台湾民主化の父・李登輝元総統が混迷する日本へのメッセージ 「日本人は自分の国を自分で守れ」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13616
北朝鮮のミサイルが周辺国を脅威に陥れる中、アジアの盟主であるべき日本は、解散・総選挙となり、事実上の選挙戦に突入している。
各国が日本の行く末を見守っているが、特に日本の未来を案じているのが、台湾の李登輝・元総統だ。
今年で94歳を迎えた李氏は、1988年から12年間にわたって総統を務め、台湾の民主化に大きく貢献。総統退任後も、中国の圧力に屈せず、長年にわたって日本と台湾の友好関係を築き上げてきた。
その李氏が9月26日、台北市内の私邸・翠山荘で、1時間半にわたって幸福の科学グループと会見。緊迫する北朝鮮情勢や日本の政治家に求められるリーダーシップなど多岐にわたるテーマについて語った。
◎自分の国は、自分で守る。それが憲法改正の目的
核開発とミサイル発射で近隣諸国への恫喝を続ける北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長について、「何とかしないといけない。アジアにとって危険だ」と早急な対処が必要であることを強調した。
金正恩氏がグアムに向けてのミサイル発射を予告していたことについても、「日本を脅迫する態度である」とした。日本国内の混乱を誘い、日米同盟を分断する心理作戦であることを示唆した。
こうした情勢における日本政府のあり方については、「北朝鮮への対応は、アメリカに影響されている。しかし、アメリカの姿勢がはっきりしない。韓国の文在寅大統領の態度も、はっきりしない」と述べ、東アジア情勢の混迷のなかで、他国に依存する日本外交への懸念を示した。同時に、日本政治の課題として、「だから、憲法9条を改正すべきだ」と指摘し、「自分の国は、自分で守る。それが、憲法改正の目的なんだ」と語った。
◎日本政治は目覚めるべき
日米関係についても、「日本がアメリカを頼るだけでなく、アメリカも日本を必要としている」として、日本の政治力が発揮されることへの期待を示した。世界最強の米軍を擁するアメリカの覇権は揺るがないように見えるが、2008年のリーマン・ショック以降の世界経済のなかで、アメリカ経済が退潮を見せ始めているのも現実だ。しかし、日本経済には、アメリカを支える潜在力がある。李氏は、日本の政治に自覚を促しているのだ。
経済政策についても、「日本のGDP成長率は1.5%ぐらいではダメだと、安倍総理にも以前から投げかけているんだ。日本は、少なくとも、年4%くらいのGDP成長を目指さないといけないんだ」と提言した。
近年、李氏は、アベノミクス3本の矢において、金融政策、財政政策のほかに、成長戦略が重要であることを指摘してきた。
◎中国人は、日本人が絶対に持たない考え方をする
李氏は、1996年の台湾総統選の最中、中国が台湾海峡に向けてミサイルを撃ち込んだ「台湾危機」について、こう振り返った。
「海軍の演習といってミサイルを撃ってきたが、怖気づいたらダメなんだ。日本人は、中国人というのを知らない。中国人は、日本人が絶対に持たない考え方をする。日本人は正直すぎる」
李氏は台湾を守るために、中国政府と堂々と渡り合ってきた政治家だ。この実感がこもった発言は、日本人にとって大いに示唆に富んでいる。現在の中国経済の状況についても、「中国が世界第2位のGDPというのは、信じられないね。中国の国民の生活状態から見ても、ちょっと考えられない」と率直に語った。
◎指導者の信念を支える原動力は信仰
リーダーの心得について問うと、近年の日本政治の迷走を指摘。2011年当時の民主党政権を、次のように振り返った。
「東日本大震災のときの菅直人総理には、『指導者として、これではいけない』と批判した。国民が苦しんでいるときには、その困難を解決してあげようという気持ちがなければいけないんだ」
また、現在の緊迫する東アジア情勢をふまえながら、政治家の責務の重大さについても指摘した。トルストイの『戦争と平和』にふれつつ、「指導者にとっては、戦争するかしないかということは、本当に大切な決断です」と述べた。
こうした政治家の使命を語るなかで、会見の最後に、李氏が強調したのは、指導者にとっての信仰の問題だ。
「これまでの日本には、リーダーシップをもつ指導者が存在しませんでした。おそらく、彼らには信仰がなかったのではないでしょうか。強い信仰を持たなければ、あらゆる問題に恐れを生じ、突破することを躊躇させるからです」「指導者の信念を支える原動力は、信仰にほかならないのです」
李氏の言葉は、日本の政治家のみならず、現代のすべての日本人に向けての貴重なメッセージといえるだろう。
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2017年10月6日付本欄 台湾民主化の父・李登輝元総統が幸福実現党にメッセージ 「指導者に必要な神への信仰」
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2017年10月2日付本欄 台湾の民主化を進めた元総統・李登輝氏に学ぶ なぜ政治家には「信仰」が必要か
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Web限定記事 「筋金入りの親日家、李登輝・台湾元総統が日本人のサムライ魂を呼び覚ます!」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7486
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13604 幸福の科学出版
頼みのアメリカが確実に日本を守ってくれるのだろうか。
今、アメリカ政界では、「北朝鮮の核保有を受け入れなくてはならない」(クラッパー元国家情報長官)という意見がじわじわと広がっている。北朝鮮が「核兵器を使わない」と約束するなら、核武装国として認めるというスタンスだ。
トランプ大統領がこの議論に同調する気配は今のところないが、最後の最後で金正恩・朝鮮労働党委員長との根比べに負けてしまう可能性は残されている。
大川隆法総裁は法話「自らを人財に育てるには」で、今後の見通しをこう語った。
「次に来るのは何かということですが、(日米などが)妥協的態度で、(北朝鮮が)雑草を食ってでも核の開発を続けたら、(金正恩氏が)次に言うことはどういうことかという考えを読めば、『日本から米軍基地を撤去しなければ、日本に核ミサイルを撃ち込むぞ』ということを次に言ってくることができるわけです」
「米軍基地を撤去した後、日本は丸裸状態になるということにほぼ近いと思います」「四つの島を沈める方針でやられたら、もう何も反抗はできない状態になっています」
金正恩が核・ミサイル開発を突き進む目的は、単に自国の体制維持だけではなく、在日米軍の動きを封じながら、韓国に南侵し、併合することにある。
トランプ氏が決断できなかった場合、その後は、アメリカが超大国としてアジアに責任を負わなくなり、中国がアジアの新しい覇権国として君臨する。
中国が南シナ海や東シナ海で何をやろうと、止める力はもうない。
日本は常時、金正恩の「核の脅し」にさらされる。さらに巨大な核戦力を持つ中国にも脅され続ける。
「他国の干渉を排除する主権」は限りなくゼロに近づく。
結局、安倍首相の憲法9条改正案では、日本の国家元首が米大統領から、金正恩氏や中国の習近平国家主席に代わり、日本国民が彼らの「奴隷」になる未来を呼び込むことになる。
中国と北朝鮮による恐怖支配は、アジア全体に広がるだろう。(次回へ続く)
(綾織次郎)
やっぱり「緑のたぬき」? 小池百合子という政治家の本質—編集長コラム
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13592
編集長コラム 衆院選直前・特別版
◎安倍首相の"計略"を上回る小池旋風
安倍晋三首相は「今が一番勝てるチャンスだ」とばかりに突然の衆院解散・総選挙に踏み切ったが、その"計略"を上回るスピードで、小池百合子都知事率いる「希望の党」の旋風が吹き荒れている。
民進党が解党し、希望の党へ合流することで、この政局の主導権を小池氏が完全に握った。
安倍首相の"計略"はよく練られたもので、今までの年金や医療中心のバラマキ政策を教育にも広げ、教育無償化などによる「合法的買収」をしようしている。1千兆円以上の政府の借金がありながら、選挙に合わせてさらにバラマキをすることに、マスコミから厳しい批判はない。
これぞポピュリズム(大衆迎合)の極致というべき策だったが、小池氏の大衆人気はそれを遥かに上回っている。
小池氏は世論が許せば、今回の衆院選に出馬するだろう。しなかった場合でも、今後、日本初の女性首相の有力候補であり続ける。
小池氏が政治家として何を目指し、何を実現しようとしているのかを、国民としては知っておかないといけない。
◎「勝負師」としての小池氏
小池氏のイメージはやはり、「勝負師」であり、「ケンカ上手」ということにある。
1992年7月の参院選に細川護熙・元熊本県知事(後に首相)率いる日本新党から出馬し当選。93年に衆院選に鞍替え出馬し、自民党政権を倒して細川政権をつくる道筋をつくった。
小池氏の約25年の政界遍歴は自民党との「ケンカ」から始まったというわけだ。
その後、細川政権に参加した政党を中心にできた新進党、そこから分かれた自由党に参加。
その間、党首の小沢一郎氏を支えたが決別し、保守党を経て自民党に移った。
「勝負師」の印象が定着したのは、2005年の小泉純一郎首相による「郵政解散」で、「刺客」として手を挙げて郵政民営化反対の議員に圧勝したためだ。
そして、2016年の都知事選出馬、今回の新党立ち上げと、「勝負」と「ケンカ」が続いている。
◎(1)「利権まみれのオヤジ」に挑む「正義のヒロイン」
小池氏の手法は、必ず敵をつくり出し、真っ向から批判し、自分は「正義のヒロイン」の立場に立つ、というものだ。
日本新党時代は「守旧派vs.改革派」、郵政選挙は「民営化反対派vs.賛成派」の図式で、昨年の都知事選では、都議会の自民党を"悪の巣窟"に仕立てて大勝した。
その「敵」は必ず「利権としがらみにまみれたオヤジ」たちで、それに健気に挑むヒロインという、分かりやすい対立軸にマスコミは飛びついた。
テレビ局側とすれば、小池氏は、カメラクルーさえ出せば、極めて安い製作費でそこそこの視聴率が取れるありがたい存在。
小池氏も自分の強みを理解しており、いわゆる「ワイドショー政治」とともに政界で生き残ってきた。
今回、希望の党を立ち上げた「正義のヒロイン」は、誰を「敵」とするだろうか。まだそれほどボルテージを上げていないが、安倍首相がやはりターゲットだろう。
◎バラマキのポピュリズムと、不満増幅のポピュリズム
イギリスの通信社ロイターは、「日本で新たな政党がポピュリスト・スローガンを掲げて安倍首相に挑戦する」と書いている。
有権者の歓心を買ったり、既得権益への有権者の不満を増幅したりして、票を集める政治家がポピュリスト。その政治家の言動は、ポピュリズム(大衆迎合)と呼ばれる。
安倍首相や自民党の政治は、選挙のたびに税金をバラまくポピュリズム。小池氏のほうは、有権者の不満をかき立てて人気を得るポピュリズムで、アプローチはやや違うが、同種のものだ。
◎(2)政党を"乗っ取る"スタイルに転換
小池氏は、日本新党、新進党、自由党、保守党、自民党と所属政党を変えてきたので、「政界渡り鳥」と揶揄されることがある。
現実には、所属政党というより、細川氏、小沢氏、小泉氏、そして安倍首相と、権力者の"庇護"を受けながら、勝負勘を働かせ、生き残ってきたと言っていい。
ただ、2012年の自民党総裁選で支持しなかったため、安倍首相から疎まれ、党内で居場所がなくなっていた。
そこで昨年の都知事選以降にとっているのが、他の政治勢力を取り込み、自分の"手勢"をつくる方法だ。小池氏率いる地域政党「都民ファーストの会」は今年7月の都議選で第一党となったが、多くがもともと元民進党の都議や落選者たちだった。
有力政治家の"庇護"を受けるスタイルから、他の政治勢力を"乗っ取る"スタイルへと転換している。
再び"乗っ取り"を仕掛けたのが、安倍首相の衆院解散の決断の直後だ。
民進党が持つ資金約150億円と地方組織を、憲法9条改正に反対の左翼系議員を切り捨てながら、丸ごと"乗っ取る"プランを描いた。
幸福の科学の大川隆法総裁は10月1日、名古屋での法話「危機のリーダーシップ」でこう述べている。
「金なし、組織なし、政策なし、何もなし。それがしがらみのない政治のことです」
「他人の金や組織を乗っ取りにかかってきているわけですから。タダで手に入れようとしている。カッコウが他の鳥の巣に卵を産んで、子育てをやらせる、あれです」
◎(3)左翼勢力を取り込み、「第二の小沢一郎」化
他党乗っ取りという権謀術数に長けた政治家と言えば、近年では小沢氏ぐらいだろうか。
小池氏は、小沢氏の政治手法について文藝春秋誌のインタビューにこう語っている。
「極論すれば、小沢氏の政治行動の基準は、わずか二枚のカードに集約される、と。それは『政局カード』と『理念カード』である」「ある時は『政局カード』を振りかざし、それが手詰まりになると見るや、今度は『理念カード』を切る。この繰り返しである」
どうも小池氏は、かつて付き従った小沢氏と同じやり方を踏襲しているようだ。
小池知事は卸売市場の築地から豊洲への移転問題で、豊洲市場の「欠陥」をめぐるデマ情報を共産党から提供され、知事自ら大騒ぎした。この"連携"もあって共産党は約40年ぶりに都の予算案に賛成した。
こうした経緯から、保守系の国会議員からは「最近の小池さんは右手に共産党、左手に隠れ民進党」と批判されている。
小池氏の「左シフト」は、希望の党が衆院選の公約に「2030年の原発ゼロ」を掲げたことで、より鮮明なものとなった。小池氏は原発容認の立場だったが、共産党に近い立場へと"転向"した。
憲法9条改正を踏み絵にして民進党の左翼系議員を切り捨てて保守的な国民の支持を期待し、一方では「原発ゼロ」で左翼勢力も引きつける。
小池氏の政治手法はポピュリズムを超えて、どんな政党とも組む小沢流のマキャベリズムに限りなく近づいている。小池氏は「第二の小沢一郎」への道を突き進んでいるかのようだ。
(1)から(3)をまとめて言えば、小池百合子という政治家の本質は、「緑のたぬき」だったということになる。
◎行政トップとして、経営資源の無駄遣い
問題は、そうやって権力を握って小池氏が何をやるか、だろう。行政のトップとしていい仕事をしてくれればいいが、都知事としての仕事を見る限り、資質に欠けると言わざるを得ない。
卸売市場の豊洲移転問題は、小池氏が移転延期を決めたために、豊洲の維持費や業者への補償金で年間約240億円が垂れ流されているという。1日当たり6500万円にもなる。
しかも小池氏が散々騒いだ豊洲市場の安全性の問題はまったく問題がなかったことが分かっている。「盛り土がない」という騒ぎもあったが、地下空間については何の問題もなかった。
豊洲市場の建設費6千億円は、築地跡地売却の4千億円を見込んでいたが、築地を売却しないことを決めたので、この手当もしなければならない。
数千億円の損害を出していることに加え、1年、2年と何も決めないまま時間が浪費されていることも大きい。
東京都の「経営者」として、人、モノ、お金、時間、空間といった資源の無駄遣いがひどすぎる。「政局カード」を振りかざし、マネジメントを無視しているからだ。
小池氏は希望の党の綱領に「税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)」を掲げているが、ブラック・ジョークでしかない。
◎都庁職員の評価は「47点」
小池知事の仕事ぶりについては、都職員がよく見ているようだ。自治体新聞の「都政新報」が今年8月、小池都政1期目の評価についての都庁職員アンケートを実施し公表した。
小池知事の評価は100点満点で平均46.6点。同じ形式のアンケートで舛添要一前知事の1期目前半が平均63.6点、石原慎太郎元知事1期目が平均71.1点だから、小池氏は「落第点」だ。
豊洲市場を活用しつつ、築地市場を再開発する小池知事の方針については、「評価しない」が87.4%にのぼった。
小池氏からすれば、「都庁職員も悪の巣窟」ということになるのかもしれないが、小池氏のマネジメント能力に対する一つの見方を示している。
◎五輪のテロ対策、対北の核防災……無限にある危機管理の仕事
都知事としての仕事は膨大にあるが、今の都知事として全力を挙げるべきは、東京オリンピックの成功だろう。世界各地でテロが頻発する時代に、テロリストが東京五輪をその舞台に選ぶ可能性は高い。
もちろん、警視庁が万全の態勢をとるだろうが、都知事の仕事としても最優先の課題だ。
加えて、北朝鮮が「日本を核で沈める」と脅している以上、東京都民の命をどう守るかも、「首都防衛」を担う都知事の責任だ。
東京の昼間人口1500万人を収容できる核シェルターなどの避難施設を確保できているか。避難ルートを明らかにし、そのための訓練をしているか。電磁パルス攻撃に対して、電気や水道、通信、鉄道などの都市インフラを守ることができるか。
首都東京として政府機能の喪失に十分対応できるか。核兵器だけでなく、化学兵器への対処ができているか。北朝鮮のテロ攻撃に対して、シミュレーションなどを行い、十分備えているか。
北朝鮮をめぐる危機は、金正恩党委員長がいつ暴発するか分からない、まったく新しい局面を迎えているので、これまでの都知事とは違う異次元の危機管理の仕事が発生している。
本来ならば、新党を立ち上げて国政をかき回す暇はないはずだが、小池知事には都民の安全は眼中にはないようだ。
◎小池氏の「焦り」がポピュリズムとマキャベリズムに走らせる
小池氏は衆院選への出馬を決断するだろうか。小池氏は「政権選択選挙」と発言しながら、自身の出馬を否定しているが、どうだろうか。希望の党の候補者からは、出馬を望む声が強まっている。
確かにこれまでの歴史を見れば、新党は1回だけブームを呼ぶ。日本新党は2年半、新進党は3年で解散した。民進党の前身の民主党は、今となっては幻の鳩山ブームで政権を獲得し、3年で野党に転落。
今回、解党しようとしている。日本維新の会は、橋下徹・前大阪市長が衆院選出馬を模索し、党勢を盛り返そうとしているが、その"神通力"は弱まっている。
小池氏はワン・チャンスにかけて、大勝負をかけてくるのではないだろうか。
小池氏は、小泉政権で環境相、第1次安倍政権で防衛相を経験。2008年の総裁選に立候補し、「日本初の女性首相」に一歩近づいた。
しかしその後、2012年末からの第2次安倍政権以降、安倍首相から後継者候補にカウントされず、冷遇されてきた。
都知事1期を務め終えるのは3年後。そこから国会議員に返り咲くのでは遅い、と本人は考えていることだろう。
その「焦り」が、小池氏を昨年の都知事選以降、国民の不満をかき立てるポピュリズムと、なりふり構わぬマキャベリズムに走らせているのかもしれない。
◎「国民を叱れるぐらいの政治家も必要」
日本の民主主義は、残念ながら、ポピュリズム(大衆迎合)から衆愚政へと転落しようとしている。
大川総裁は先の法話「危機のリーダーシップ」の中で、ポピュリズムに走りやすい今の政治について、こう指摘した。
「やはり少し国民を叱れるぐらいの政治家も必要だと私は思っています。選挙のために『お金をいくらくれるの?』みたいなことを言うような国民は、やはりよろしくないです。
国家が財政赤字だというのを分かっているのだったら、『余計なところへ金をまかないでください』というぐらい毅然とした国民も必要で、その程度の啓蒙はしないといけません」
今回の衆院選で、有権者にとって耳の痛いことを言っている候補者がいたら、それは大衆迎合せず、国民を啓蒙し、導こうとしている真の政治家だろう。
◎安倍氏、小池氏のポピュリズムか、幸福実現党のセルフヘルプか
今回で4回目の衆院選への挑戦となる幸福実現党にも、大衆迎合しない気概がある。
幸福実現党の母体である幸福の科学では、「あの世があり、神仏が存在する。人間の本質は魂であり、永遠の転生輪廻を繰り返している存在」と教えている。そのため、幸福実現党は、地上での魂修行がより充実し、幸福なものとなるよう、20年、30年、それ以上の長期的なビジョンをもとに政策を組み立てている。
今回特に訴えている「自分の国は自分で守る」や「減税こそ最大の福祉」は、人間の魂修行において、自助努力(セルフヘルプ)の精神が不可欠だからだ。
安倍、小池両氏によるポピュリズムか、幸福実現党のセルフヘルプの精神か——。選択するならば、この二つから選び取る選挙にしたい。(綾織次郎)
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2017年10月1日付本欄 大川隆法総裁が講演 危機の時代なのに日本の政治は平時のドタバタ
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2017年9月28日付本欄 小池新党、「原発ゼロ」で売るためHPから「核武装」を削除
https://the-liberty.com/article.php?item_id=13574
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北朝鮮の核・ミサイル開発が米本土に届くレベルに達するかという危機の中、日本では衆院の解散総選挙が決まった。このような時期に解散を決めた安倍晋三首相はこれを「国難突破解散」と呼び、野党第一党の「民進党」は、小池百合子東京都知事が代表を務める「希望の党」に"飲み込まれる"事態になるなど、混乱が続いている。
大川隆法・幸福の科学総裁は1日、幸福の科学・名古屋正心館で、「危機のリーダーシップ——『自分の国は自分で守れ』講義(2)」と題して講演し、日本の国内外の危機に警告を発した。
◎小池氏「何もなし=しがらみのない政治?」
安倍首相「個人的追及をかわす=国難突破?」
大川総裁はまず、今回の演題に関して、「まさしく今、危機の時代のリーダーシップを取れるような人を選ばなければいけない時代が来ているが、報道等を見るかぎりは、平時の、普通どおりのドタバタをやっているようにしか見えない」と憂慮した。
現在話題になっている、小池氏や安倍首相についても言及した。
小池氏については、「もうほとんど、金なし、組織なし、政策なし、何もなし。それが『しがらみのない政治』のことですよ。(中略)あれで永田町の狸・狐を批判する資格があるのかどうか、私にはわかりません」と述べた。
安倍首相については、「(森友・加計問題は)自分と奥さんだけの個人的な関わりのところを追及されているのを『国難突破選挙』と称してやっている。(中略)自分の問題は自分でけじめをつけてくださいよ」と指摘した。
◎北朝鮮問題は日本が自らつくり出した危機
さらに大川総裁は、北朝鮮問題について、これは日本が自らつくり出した危機でもあるとの考えを示した。
日本は戦後、国防をアメリカに頼ってきた。日本の防衛費の対GDP比は1%で、アメリカ3.3%、イギリス1.9%、フランス2.3%などと比べても少ない。また、アメリカは言うまでもなく核保有国だが、イギリスも1952年、フランスは1960年に核実験を成功させ、その後、水爆も完成させている。
大川総裁は、「外国に野心を抱かせて、悪いことを考えさせるような隙がある考え方を国是として持っていたのではないか。(中略)本来、国の発展規模から見れば考えなければいけないことを考えずに済ました」と、北朝鮮が日本の反発や反撃を心配することなく核開発を続けられた背景に、日本の国防意識の低さがあったとした。
◎神仏の前に謙虚で、人々に愛を広げる人物を選ばなければいけない
最後に大川総裁は、日本の問題点として、信仰心が薄れていることを挙げた。「人間は尊い神の使命を帯びた魂として生きているから、お互い強い者も弱い者もあるし、富める者も貧しい者もあるけれども、(中略)感謝する心とか、自分が恵まれていたらお返ししていく心が大事なんです」
だからこそ、神仏の前に謙虚で、人々に愛を押し広げられるような人物を選んでいかなければいけない。そうした人物であればこそ、危機を見抜き、断固としたリーダーシップを発揮していくことができる。「正義の根本にあるのは人々への愛です」として、講演を締めくくった。
◎幸福実現党・釈党首「清潔で勇断できる政治を。」
講演の後には、幸福実現党の釈量子党首が挨拶した。
釈党首は冒頭、台湾の李登輝元総統から同党に向けてのビデオメッセージを紹介。李氏は日本語で次のように語った。
「私は常々、人間には信仰は不可欠なものだと訴えてきました。この考えは、30代でキリスト教の洗礼を受けてからというもの、微塵も変わっておりません。これまで日本には、リーダーシップを持つ指導者は存在しませんでした。おそらく彼らには信仰はなかったのではないでしょうか。
私とみなさんをつなぐ精神的つながりは、強い信念と信仰心、これを持っていることだと強く感じています。今後とも、幸福実現党がますます発展され、人々の救済に寄与されることを、心よりお祈り申し上げて、私のご挨拶といたします」
これを受け、釈党首は、「本当にありがたいことだと思います。李登輝総統がおっしゃっている、信念、信仰心。(幸福実現党は)これを掲げることのできる、日本でたった一つの政党です。国民を苦しめる独裁国家に立ち向かうことのできる政党です」と述べた。
最後に、釈党首は今回の衆院選について次のように決意を述べ、会場は拍手で包まれた。
「自分の国は自分で守ろう。そして消費税5%を訴えていきます。減税こそ最大の福祉です。そして、『清潔で勇断できる政治を。』をスローガンに戦っていきます。全国のみなさま、日本の命運をかけて戦ってまいりましょう!」
◎大川総裁は安倍首相が掲げる争点のおかしさにも言及
なお、講演で大川総裁は、以下のような論点にも言及した。
・民進党・前原誠司代表について
・小池氏が掲げる反原発の危険性
・第二次大戦でヒトラーを増長させた教訓
・民主主義国家で財政赤字が続く問題について
・2年後の消費増税を争点にする安倍首相のおかしさ
・安倍首相が掲げる教育無償化の問題点
この法話は、幸福の科学の全国の支部、精舎、拠点において、拝聴できます。
支部や精舎への問い合わせは、以下の連絡先まで。
・幸福の科学サービスセンター
Tel:03-5793-1727 : 火〜金/10:00〜20:00 土日/10:00〜18:00
・同グループサイトの支部や精舎へのアクセス
http://map.happy-science.jp/まで。
【関連サイト】
幸福実現党 公式サイト
https://hr-party.jp/
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