写真・この年から添乗員のたたかいがスタートした。2007年上野駅アピール
9/14東京高裁
「日当に3時間分の時間外割増賃金が
含まれていると認めることはできない。」
添乗員「みなし労働時間」裁判
東京高等裁判所の判決文報告その5
9月14日東京高等裁判所判決(阪急トラベルサポート残業代請求事件)
判決文(要旨)報告その5
東京高等裁判所の判断
争点
会社の主張する「みなし時間は11時間。その中に3時間分の残業代が含まれている」について
「控訴人(*筆者注 会社)は、就業規則、阪急交通社の旅行業約款等及び就業条件明示書から、被控訴人(*筆者注 当該添乗員)のみなし労働時間が11時間であり、これが所定労働時間8時間と所定時間外労働時間3時間によって構成されるもので、それに対する対価として支払われていた日当に3時間分の時間外割増賃金が含まれている・・・と主張する」
「添乗員の賃金は日当として定額で支払われているところ、これに時間外割増賃金等が含まれているとするには、まず、通常の労働時間に対する賃金部分と割増賃金部分が明確に区別されているものでなければならない」
「しかも、就業条件明示書には『 時間外勤務なし 』とする記載がされており、」
「・・・『海外査定結果』と題する書面(甲34)では、・・・日当を、基礎金額、顧客評価、能力評価、HTS評価及び調整手当と分けてその合計額として算定しており、時間外割増賃金が含まれていることは全く説明されていない。このような証拠からすると、控訴人自身が日当の中に時間外割増賃金等が含まれているという認識を有していなかったことが推認される。」
「被控訴人は平成19年1月に結成された全国一般労働組合全国協議会東京東部労働組合HTS支部に加入して、添乗員の業務に事業場外みなし労働時間制の適用があることに異を唱えて時間外割増賃金の支払を求めていたのであるから、上記説明の後に雇用契約が締結された際、被控訴人が日当に時間外割増賃金が含まれていることを承認したと認めることはできない。」
「日当に3時間分の時間外割増賃金が含まれていると認めることはできない。」
(続く)
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会社は、「添乗員の日当の中には3時間分の残業代が含まれている」と主張していました。東京高裁は、会社のその主張を完全に否定しました。
一審判決でも今回の高裁判決でも、判決の根拠は、小里機材事件の最高裁判決(昭和62.1.30)です。ちなみに「小里機材事件」とは東部労組小里機材支部が闘った未払い残業代請求訴訟で、組合が全面勝利し、また悪徳企業主が残業代を支払わない手段としている固定=定額残業代の濫用に対して、企業主に厳しい要件とその行使を命じた有名な最高裁判決です。
最高裁(小里機材事件)は、
「一定の時間外労働に対する割増賃金を給与に含める旨の合意があったとしても、その給与のうち割増賃金に当たる部分が明確に区分され、さらに、労働基準法によるその額を上回るときは、その差額を当該賃金の支払い期に支払うことが合意されている場合のみその予定割増賃金を当該月の割増賃金の一部または全部とすることができる」とし、この要件を満たしていない「固定=定額残業代」制度を無効としました。
今回も、東京高裁は「日当に3時間分の時間外割増賃金が含まれていると認めることはできない。」とはっきりと断定しました。8時間を超えた残業時間について添乗員全員に残業代を支払わないと違法なのです。
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