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全国一般東京東部労働組合の記録

東部労組HTS支部塩田委員長の職場復帰が実現しました!

2013年05月13日 11時31分13秒 | 添乗員・旅行業界

写真・2009年3月アサイン停止問題時の記者会見の様子

不当な「アサイン停止」(事実上の解雇)撤回を求めて4年間闘ってきた全国一般東京東部労組HTS(阪急トラベルサポート)支部塩田委員長の職場復帰が実現しました!

阪急交通社の旅行に添乗員を派遣する株式会社阪急トラベルサポート所属の添乗員である塩田卓嗣さんは2007年1月、労働条件の改善を求めて仲間たちと全国一般東京東部労組HTS(阪急トラベルサポート)支部を立ち上げました。
実態としては常用雇用であるにもかかわらず、ツアーがある時にだけ雇用契約を締結する「登録型派遣」という雇用契約を理由に、塩田さんら添乗員は雇用保険・社会保険未加入、有給休暇の取得も認められないという劣悪な労働条件で働いてきました。また、1日12時間を超える長時間労働にもかかわらず「事業場外みなし労働」(偽装みなし労働)を理由に残業代・深夜手当も支払われていないという状況でした。このような劣悪な労働条件を、塩田さんらHTS支部は会社との団体交渉、さまざまな行動、マスコミへの働きかけを通じてひとつひとつ改善し、その結果、業務の簡略化、雇用保険・社会保険加入、有給休暇の取得を会社に認めさせるなどの成果をかちとってきました。

2008年7月、塩田さんは組合活動の一環として週刊誌「週刊金曜日」の取材に応じ、派遣添乗員の過酷な労働環境と労働組合結成の経緯が「週刊金曜日」翌年2月20日号に掲載されました。これに対し阪急トラベルサポートは同年3月18日、取材に応じただけの、文責もなく発行主体でもない塩田さんに対して、「記事の内容は虚偽の事実」とし、「今後、添乗業務のアサイン(仕事の割当)をしない」と通告してきたのです。

登録型派遣の添乗員である塩田さんにとって「アサイン停止」(今後の添乗業務を与えない)は解雇と同じ意味を持ちます。派遣添乗員の待遇改善を先頭でたたかってきた塩田さんを見せしめにした組合つぶしであり「不当解雇」であるのは明らかでした。組合は同年5月、東京都労働委員会(都労委)に不当労働行為の救済申し立てを行いました。

2011年2月、都労委は塩田さんへの「アサイン停止」(事実上の解雇)が不当労働行為であり、塩田さんを添乗業務に復帰させることを阪急トラベルサポートに命令しました。組合勝利の命令です。しかし、阪急トラベルサポートはこの都労委命令を不服として、都労委の上級審である中央労働委員会(中労委)に「再審査申し立て」を行いました。これに対し同年11月、中労委も「アサイン停止は不当労働行為」と会社を断罪しました。会社はこの中労委命令にも従わず、中労委を相手に命令の取消を求め行政訴訟を提起しました。しかし東京地裁は今年3月27日、会社の訴えを棄却しました。都労委・中労委に続き、三度にわたり会社の不当労働行為が断罪されたのです。
この判決と同日、中労委が申し立てていた「緊急命令」を認容する決定が東京地裁からありました。「緊急命令」とは、労働委員会が発した救済命令を不服として使用者が裁判所に行政訴訟を提起した場合、裁判所が使用者に対し、行政訴訟の判決が確定するまでの間救済命令を履行するよう命令する、つまり、「裁判(行政訴訟)で争いを続けたとしても、労働委員会の命令は守りなさい」という「争いの引き延ばし」に対する救済制度です。
これにより、たとえ控訴したとしても会社は塩田さんを職場に復帰させなければならないことになりました。また、緊急命令の決定に対する使用者側からの異議申立てはできず、「従うか」「従わないか」の二者択一を会社に迫ることとなりました。さらに、緊急命令を履行しない使用者には過料の制裁が科されます。組合はこの緊急命令を背景に塩田さんの職場復帰実現を会社に迫りました。そして5月10日、塩田さんは会社と面談を行い、その場で塩田さんへのアサイン停止が解除されました。ついに職場復帰が実現することになりました。

4年間にわたる闘いの中で、多くの仲間から物心両面にわたり、暖かい支援を受けることができました。また、労働委員会・法廷闘争にあたっては、鴨田哲郎弁護士・棗一郎弁護士・小川英郎弁護士・蟹江鬼太郎弁護士・松浪恵弁護士という強力な弁護団にご尽力をいただきました。
アサイン停止直後には雨宮処凛さん、宇都宮健児さん、佐高信さん、中島岳志さん、湯浅誠さんの5人が呼びかけ人となり、「言論の自由」および報道に対する挑戦として「塩田さんへの事実上の解雇を許さない!文化人・言論人アピール」運動を展開してきました。この運動には、本多勝一さん、落合恵子さんをはじめ、多くの文化人・言論人の方が激励のアピールを寄せてくださいました。
週刊金曜日では、この問題について折に触れ記事を掲載していただくとともに、塩田さんを支援するためのツアーも開催していただきました。また、週刊金曜日が阪急トラベルサポートを相手取った裁判の提起というかたちで支援をしていただきました。
多くの方々からカンパもいただきました。みなさまのご支援・激励を力に、職場復帰をかちとることができました。改めて御礼申し上げます。

派遣添乗員の待遇改善をめぐる闘いはまだ終わってはいません。「事業場外みなし労働」(偽装みなし労働)撤廃を求める不払い残業代請求訴訟については、高裁判決を不服として会社が上告中です。長時間・過重労働是正を求める闘いはこれからも続いていきます。 HTS支部は今回の塩田さんの職場復帰を大きな契機に、すべての闘いに勝利する決意を固めています。今後もみなさまのご支援・激励をお願いするとともに、改めまして塩田さん職場復帰の闘いへのご支援に感謝・御礼申し上げます。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
本当によかった。ありがとうございます。 (現役派遣添乗員)
2013-05-13 16:18:21
塩田さんが添乗に復帰できることになり、本当によかったです。組合組織を信じることができるようになりました。
ありがとうごさいます。

《革命には生け贄が必要》
と言わんばかりの司法・行政の対応に、日本社会の未熟さを痛感させられ、悔しくて恥ずかしくて歯軋りをする思いでした。

実際に塩田さんが添乗できるようになって、
ようやく組織も社会も信じられるようななりました。

本当によかったです。
おめでとうございます。
ありがとうございます。
返信する
HTS (light)
2013-05-15 18:14:19
おめでとうございます。 長期に渡り争議を続けて、職場復帰という「勝利・成果」を残された事は今後の更なる労働相談センター・東部労組ジャパンユニオン支部の一部になると思ってます。
返信する
継続は力なり! (元添乗員)
2013-05-16 05:01:31
おめでとうございます。

やはり、継続は力なり! ですね。

今後のご活躍を期待いたします。


自分は最近のアンケート評価の異常な程の
高さについていけず、転職しました。
返信する
権力の嫉妬 (現役添乗員)
2013-05-25 12:08:26
今回の一連の事件に関しては,ある種類の権力のつまらない、何ら意味合いの無い、悲しい意地が一人の人間に対して攻撃を執拗に繰り返していたとかんじます。同時にある種の権力の全身と本性を見たように感じました。そして自分はそのような世界で使われていることを今更ながら改めて実感しました。一社会人として願うは、一日も早く対等な健全な労使環境と民度が構築されることを願っております。塩田さんおめでとうございます。本当にご苦労様です。いつか現場で元気に活躍されている塩田さんにお会いしたいです。また、東部労組関係者一同様に深くご敬意を表します。
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