東京東部労働組合【公式】ブログ

全国一般東京東部労働組合の記録

全労協が連合・全労連に「偽装事業場外みなし労働」撤廃で要請書

2008年06月02日 10時36分12秒 | 添乗員・旅行業界
5月23日、全国一般東京東部労組が加入している全国組織の全労協(全国労働組合連絡協議会、藤崎良三議長、20万人、水道・清掃・東京都の職員、国労、全国一般全国協などで構成)は、派遣添乗員を苦しめる「偽装事業場外みなし労働」の撤廃のための協力を連合(日本労働組合総連合、高木剛会長)、全労連(全国労働組合総連合、坂内三夫議長)に要請しました。

阪急トラベルサポート・阪急交通社をはじめとする旅行業界が頑として撤廃をしようとしない「偽装事業場外みなし労働」。この間、社会問題化してきているこの問題に、日本の労働組合も総体として撤廃の運動を進めようと、連合・全労連という2つのナショナルセンターにも呼びかけました。

以下、要請書の内容です。

================================

時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、私たち全国労働組合連絡協議会(以下、全労協という)は、この間、海外・国内旅行の派遣添乗員の労働条件改善に取り組んできています。

全国に一万人以上いると言われている海外・国内の旅行添乗員のほとんど全てが、過酷な労働条件のもとで働いています。最低でも12時間、15時間・16時間は当たり前という超長時間労働に加え一円の残業代すら支払われておらず、また、雇用形態が昨今問題視されている登録型派遣、いわゆる「日雇い派遣」であることを理由に、雇用保険をはじめ社会保険もほとんどの会社で加入していません。

私たち全労協の加盟単産である全国一般労働組合全国協議会の単組、全国一般東京東部労組では、昨年の1月25日、阪急交通社で働く株式会社阪急トラベルサポートの派遣添乗員により全国一般労働組合全国協議会東京東部労働組合HTS支部を結成し、業務の簡略化、組合員の雇用保険への加入などをかちとってきました。
しかし、肝心な長時間の労働時間や残業代未払い問題に対しては、旅行業界や添乗員派遣会社の所属する協会は、いずれも、「添乗業務は全て事業場外労働であり、業務の実態を考慮すると、ツアー毎の使用者による時間管理は不可能」「添乗員の労働の特殊性」を理由とする「事業場外労働のみなし労働時間制」を主張して頑として労基法遵守を拒み続けています。
しかし、すでに、三田・中央・新宿をはじめとする労働基準監督署が、行った是正勧告が示す通り、旅行会社等のこれらの主張はすでに破綻しています。
三労働基準監督署は、添乗員の添乗労働時間の管理が可能な理由として、旅行の日程表による時刻記載と添乗日報による実時間報告の存在を挙げて「旅行添乗員に対しての事業場外みなし労働は認めない。8時間・週40時間を超える労働時間に対しては時間外労働手当を支払え。旅行会社は、労働時間の管理を行え」との是正勧告を出しています。

現在の国内、海外旅行ともに、派遣添乗員の労働は、会社から事細かに労働時間が指示され、またあらゆる詳細な業務の具体的指示のもと行われているのが実態です。
各旅行会社や派遣会社は、「添乗指示書」「行程表」「業務命令書」「添乗員の基本教本」「国内添乗教本」「メディア営業部海外添乗員マニュアル」「車内販売指示書」「ショッピング立ち寄り店指示書」「オプション指示書」「パンフレット」等で、打ち合わせ業務から出発時間から到着、精算にいたる間のあらゆる業務内容・時間を細かく指示・命令しています。

また、添乗員は、会社から配布された携帯電話を常に携行するよう指示され、また業務や時間変更については、ことある毎に旅行会社本社への報告と指示を受けて行動することを厳しく命令されています。まさに会社の指示・命令が添乗員の一挙手一投足に及び、自己裁量の余地などほとんどありません。
すなわち、
・ツアー中のバス内の車内販売への指示
・オプションツアーの時間指定
・「打ち合わせ」業務の指示
・携帯電話携行の指示
・席割りの指示
・機内にての業務指示
・バス乗車での業務指示
・食事レストランでの業務指示
・ホテルでの業務指示
・行程中の業務指示
・トラブル時の指示
・現地での本社への報告義務づけ
・保険の対応
 など、会社から業務と時間に関する指示があらゆる分野に及んでいます。

厚生労働省は、昭63・1・1基発1号で、「事業場外労働のみなし労働時間制の対象となるのは、事業場外で業務に従事し、かつ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難な業務」とし、「事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合」には、事業場外みなし労働の適用はできないとしています。
現在の添乗員の労働に、事業場外みなし労働の適用があり得ないことは、上記基発に照らしても明々白々です。

今、世界中で活躍する日本の派遣添乗員が、120年前に労働者が要求し、かちとってきた8時間労働制すら適用されていないという、世界の各国にも顔向けのできない実に恥ずかしい、全国の添乗員の過酷な労働実態を一刻も早く改善されるために、ぜひ、「偽装事業場外みなし労働」撤廃のため闘って頂きたく心から要望いたします。

以上

コメント (27)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« コナカ店長への「名ばかり残... | トップ | 松下プラズマ製品不買運動に... »
最新の画像もっと見る

27 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
海外にもいる、日本の旅行業界の労働慣行に縛られる現地係員! (o.m)
2008-06-02 18:59:40
私達は、仏労基署の指導に従わない、日本の旅行会社仏支店、日本の旅行会社の現地手配を行う欧州の旅行会社に対し、97年からいくつもの訴訟を起こしました。 正式雇用の契約書作成の判決はいとも簡単に下されました。過去の超過勤務、日曜労働の手当て等も支払われました。しかし会社の経済的理由による解雇等で契約書は作成されず、以降の諸手当ての支払いもなされていません。

○ 仏労働法では、雇用主は事業場外労働者の労働時間の管理が義務付けられていますが、日本の旅行会社は理由無しで管理を拒み続けました。
○ フランスでは仕事の為に係員単独で移動する時間も実労働時間に含まれる事になっていますが、そんなものは見向きもしません。事業場内で書類チェックを行う時間も労働時間に含めないのが日本の旅行会社のやり方ですから。

 95年当時、支店あるいは、欧州の旅行会社に直接所属していた200名前後のアシスタント達は、今はたったの13人(所属する1社の仕事のみでどうにか生活している人)です。
 日本式日雇い扱いに最後まで抵抗し、現地係員同士の激しい抵抗まで受けながら、昨年9月、「旅行会社の看板を掲げ、その実、フランスでは禁止の人材派遣で利益をあげる会社、人材を派遣する側、派遣を依頼する側も双方1件につき1000€の罰金」という判決を仏労組CFDT及びJAPAKパリアシスタント8名が勝ち取りました。
 まずはJALPAKパリ支店で働く現地係員の仕事を優先せねばならないのにもかかわらず、昨年11月から、JALPAK日本本社がフランス支店を通さず、フランスで禁止されている偽装下請け人材派遣を行う会社に直接日本語ガイド・アシスタントの手配を行い、JALPAK仏支店のアシスタント・ガイドを失業に追い込む計画が実行されています。
残っている直属アシスタント13人中8人が失業に追い込まれるのです。
 私達は、「親会社、偽装下受け会社が無くなっても仕事は存在する。」「海外旅行客がいる限り私達の仕事は存在する。」と主張しました。 それに対し、日本の旅行会社と偽装下受け会社の主張は、会社が潰れれば、仕事が無くなる。現地係員の過半数もこの会社側の主張にまんまと騙されました。仏労組CFDT弁護士が日本式人材派遣会社はフランスでは違法であると説いたにもかかわらず、多くの組合員は下請け会社が潰されては大変と労組を脱退。
下請け会社の存続は、老舗の旅行会社を経営不審に陥らせ、格安旅行会社の売り上げ増進させる役割をしています。現地係員削除あるいは偽装下請け会社を通して、労働力を安く買いたたき、それまで現地係員と業務分担して催行されたツアーを日本の添乗員が一人で行なう為に添乗員は1日15~16時間の過重労働となりました。
パイの配分がどうのこうのと力説し、パリで、できあがったパイのパリでの配分ばかりを問題にしていた人達! 製造するパイはより安い素材で製造する会社に依託されるので、下請け会社に同調する為には素材(自分自身)を安く提供する以外、協力の手段は無かったのです。自分以外に素材を安売りさせてできあがった一個のパイは安売りを強要された人間に配分されるのです。添乗員と現地係員で配分されるパイは、現在は、日本の添乗員に割合的にはかなりの大きさを占めるパイが配分される結果となりました。大きさだけは大きいけれど、皮ばかりで中身は空のパイが!
世界中一体となって、木を見ず森を見よう!
返信する
Unknown (Unknown)
2008-06-02 18:59:59
旅行の傷害保険を勧める行為は、「損害保険募集人資格」が必要なんですよ。
損保の保険の代理店の募集人でないと、やってはいけない行為のはず。
電話対応でオペレータが保険加入するように勧めたり、添乗員が、保険加入を勧める行為は違法行為になりますが、その辺ってどうなんだろう??
返信する
実態知りびっくり! (大久保s)
2008-06-03 10:59:18
以前はよくパック旅行に行ってましたが、今まで添乗員の方に不愉快な思いは一度もありませんでした。
しかし実態を知って本当にびっくりしました。
まるで会社の奴隷ですね-。
出来るだけ支援したいと思います。頑張って下さい。
返信する
保険会社のKBはおいくら? (現役添乗員)
2008-06-03 19:20:43
添乗員達に保険の加入や手続きを義務付けている旅行会社(特に読売はすごい!)が多いですが、保険会社から旅行会社にはいるKBは何%?
相当のはずですよ!
たたけば出る々格安ツアーの利益率。だもの旅行会社は上場するわけですよね。これだけ儲けていれば。
少しは添乗員やガイドの人件費に当てたら~!!!
返信する
異常なまでの組織のクレーム対策 (Unknown)
2008-06-03 21:55:02
最近どの組織・業界でも感じるのですが、客に対するクレームの異常なまでの対応策

下記参照
・コールセンターに於いては客の質問に明確に答えず に「はい」「いいえ」のみの返答。返事の「はい」 か質問の答えの「はい」か分からない。
 又、全ての内容を録音している。

・航空会社に於いては窓口をなくし連絡先は全て住所 記載で電話番号記載をしない。
 又、国の機関から指示をされているコンプレインシ ートを機内の棚に隠し持っている。
 又、面倒な燃料サーチャージや空港税、金銭トラブ ル等は全て他に振っている。

・事務所に於いてはクレームの元となる余計な業務を 省いている。

上記はほんの一例ですが旅行会社はバカがつくほどクレーム対応に正直過ぎるのでは?
正直と言うよりは「対応しすぎです。」だから事務所では手が回らずに添乗員に全て振る事になるのです。

他社・他業界のように少しは「異常なまでのクレーム対応策」をしたらいかがですか?

安いツアーでなぜあれだけのアンケート評価項目が必要ですか?あの金額であの内容、十二分すぎる程内容充実ですよ。それを不満だとかやや不満だとか、すこし贅沢をいわせすぎです。

廃業に追い込まれた吉○のように嘘の商売をしているわけではないはずです。
かつて昔していたからそれが怖いの?
でもそれは自業自得ですよ。あなた方の。

添乗員にこれ以上責任を振るのは辞めていただきたいし、依頼しすぎもこまります。日当以上の業務を添乗員にさせないで下さい。

この事は勿論、行政機関にも連絡したいと思います。
返信する
違法行為 (現役添乗員)
2008-06-03 22:46:43
グッドウィルの幹部が逮捕されたのに、何故旅行会社の幹部は逮捕されないの?もっとすごい違法行為ばかりしているのに??? なぜ???
返信する
セザンヌのアトリエ近辺、引ったくり要注意 (om13)
2008-06-04 05:22:06
最近、南フランスのエクサンプロヴァンスのセザンヌのアトリエの近辺で引ったくりの被害が続出しています。 

アトリエからバスの駐車場に移動する途中、待ち構えていた泥棒に現金・カメラ・パスポ-トの入ったバックを持っていかれる・・という被害です。

アトリエの見学を終えて、現地ガイドが先頭を歩き、添乗員が一番最後を歩いていて、バスに行く途中、その後ろから泥棒が、急に添乗員を抜いてやってきて、添乗員のすぐ近くの、お客様の、たすきがけにしていたバックの、ベルトを切ってひったくって逃げるというのが最近の手口です。

お客様が被害にあってしまうと盗難届けを作ってもらったり、パスポートの再発行など、仕事がさらに大変になってしまうので、くれぐれも気をつけましょう。

背後に絶えず注意と、アトリエの近くの住宅街の入り口の階段に要注意・・そこから泥棒はダッシュで逃げてしまうのです。
返信する
Unknown (Unknown)
2008-06-09 18:46:34
千里の道も一歩から。いつか、私達の心が一つとなり、より良い業界になりますように。
返信する
秋葉原無差別殺人 (元添乗員)
2008-06-09 22:24:06
派遣雇用の問題がこのような結果となって出始めた事は社会的問題だと思います。
今、組合がしている事は最も重要かつ重大な事だと思います。

一部の派遣雇用の開き直り言動
「勝手に自分が好きで安月給で過酷な仕事と分かってやっている!だから、辞めるときも好きなときに勝手にやめさせろ!」

みなさんこの開き直りの言動をどう思いますか?
確かにその通りです、理屈はね!
こんなに開き直らせて働く雇用形態の派遣。もう少し企業側も危機感を持って頂きたいですね。
みんながこんな理屈で添乗を始めたらどうしますか?
「もう眠いから日本に帰る!」「疲れたからもう寝る!」職場放棄もなんのその「派遣だから・・!」の一言で全てを済ますようになったらどうするのですか?勿論クビは覚悟でやりますよ。こういう人達は。
でも分かる気もします。奴隷職業ではね!

添乗員達が組合を作った事事態にもっと危機感を感じて下さい。旅行会社。ここまで添乗員達を追い詰めた事を・・。

本日NHKで「株の投資」のテーマを放映していた。
上場についても。将来性のある利益を上げている企業は今上場しなくなっていると。
旅行会社にもあてはまるはず。人件費も満足に払えず上場している今の旅行会社。もう少し組織の運営の仕方を考えて下さい。
返信する
本当に、 (Unknown)
2008-06-09 23:11:25
同感でございます。千里の道は長いですが、何事も一歩一歩ですものね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

添乗員・旅行業界」カテゴリの最新記事