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「奉祝演奏曲」 東京音樂學校 (1934.3.17)

2022年05月07日 | 音楽学校、音楽教育家

    昭和九年三月十七日
  兩陛下御結婚拾周年 皇太子殿下御誕生
    奉祝演奏曲
       東京音樂學校

          曲目 

       第一部  邦樂

一 能樂
   ツレ 觀世喜之  
    前シテ 梅若萬三郎
    後シテ 觀世左近       高安道喜 金春惣右衛門
   高砂  ワキ 寶生 新     幸悟朗  一噌又六郎
        ツレ 二人
  
一 箏曲
   新曲 皇太子殿下御誕生奉祝歌  講師  宮城道雄 
       歌 敎授 高野辰之謹作 講師  中能島欣一
       曲 講師 宮城道雄謹作

一 長唄
   鶴龜              講師  吉住小三郎
    嘉永四年           講師  杉本金太郎
      十代目杵屋六左衛門作曲       外職員生徒  
  
         第二部  洋樂

一 管絃樂附獨唱及合唱  
   皇太子殿下御誕生奉祝歌 ‥‥‥‥‥‥  東京音樂學校謹作  
         指揮        講師  橋本國彦  
         管絃樂           東京音樂學校管絃樂部  
         獨唱  
          ソプラノ     助敎授 淺野千鶴子
          アルト      聽講生 藤本惠美
          テノール     囑託  城多又兵衞
          バリトン      敎授  澤崎定之
          バス       聽講生 伊藤武雄
         合唱            東京音樂學校生徒  
二 ピアノ協奏曲
   D長調(戴冠協奏曲)  ‥‥‥‥‥‥  モーツァルト作曲     
    ケッヘル五三七番第一樂章  ピアノ 敎授 小倉末  
                               指揮 敎師 クラウス・プリングスハイム  
                               管絃樂   東京音樂學校管絃樂部  
三 ヴァイオリン齊奏
   E長調 前奏曲     ‥‥‥‥‥‥    バッハ作曲  
                   敎師       ローベルト・ポラック  
                   講師   安藤こう  
                        外職員生徒
             ピアノ伴奏 敎師  レオ・シロタ
四 管絃樂及齊唱  
   皇帝行進曲       ‥‥‥‥‥‥    ヴァーグネル作曲  
                指揮 敎師  クラウス・プリングスハイム  
                管絃樂    東京音樂學校管絃樂部
                齊唱     東京音樂學校生徒
  君が代(管絃樂伴奏)

 解説及歌詞   
 
  第一部  邦樂
   
   一 能樂  高砂  
  
 古名を相生とも相生松ともいった。作者は觀世世阿彌、古今和歌集の序に「高砂住の江の松も相生のやうに覺え」とあるものに本づいて想を構へたもの。すなはち九州阿蘇の神主友成が上洛の途次、播州高砂の浦で、尉(攝津の住吉の松の精)と、姥(高砂の松の精)に逢って、松の由來を尋ね聞く。又住吉に詣でて住吉明神の御來現を拝し、明神は御代を壽ぐ舞樂を奏して見せたまふに終る。江戸幕府が特に之をめでたい曲として扱ったので、爾來一般にさう考へて來た。役人は次の如くである。
  前シテ 尉。 前ツレ 姥。
  後シテ 住吉明神。 
  ワキ  阿蘇の神主友成。ワキツレ 二人。 
今日のは禮脇と呼ぶ行き方で、ワキがツレを二人伴うて出る。時間の都合上、謠曲は稍省略してある。
  〔以下省略〕
     
   二 箏曲

  〔省略〕
 右は新作、歌詞は敎授高野辰之の作、曲は講師宮城道雄の作、此曲に限り生田、山田の流派別を超越して、兩派のもの各一人づつで連彈連奏をする。 
 
   三 長唄  鶴龜  
 
 歌詞は謠曲の鶴龜を殆どそのまゝ用ひたもの、嘉永四年十代目杵屋六左衛門作曲、祝言用の連吟もので、本調子からニ上りになり、また本調子にかへるもので、最も品位あるものとして知られてゐる。
  〔以下省略〕  

  第二部  洋樂 
           
  二 ピアノ協奏曲
   D長調戴冠協奏曲)(ケッヘル番號第五三七)  モーツァルト作     
 
 本曲はモーツアルト(Mozart 1756-91)の晩年時代の作、即ち一七八八年二月二十四日ウヰーンで作曲、翌一七八九年四月十四日ドレースデン宮廷で作者自身によって初演された。  
 本曲は戴冠協奏曲と呼ばれてゐるが、之は作者自身が附した標題ではなく、一七九〇年十月九日にフランクフルトで行はれた皇帝レオポルド二世の戴冠式の奉祝演奏會が同月十五日に同地で催され、その際モーツアルトが本曲をF長調協奏曲(ケッヘル番號第四五九)と共に演奏したことに由來し、爾來之が戴冠協奏曲と通稱されるやうになったのである。  
 編成は作者通有の小さいもので、絃の他、フリュート一、オーボー二、ファゴット二、ホルン二、トラムペット二、ティンバーニ。 
 曲相はC長調協奏曲(ケッヘル番號第五〇三)に似て華麗なものであるが、本演奏はその第一樂章である。   
  〔以下省略〕 



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