■江戸の水戸藩邸慶篤も、水戸の重役たちも、ますます強く斉昭の御威光を頼りに、その決定に依存していく
だが、斉昭は謹慎中。藩政の責任の所在が宙に浮いている。その結果斉昭の意向を忖度して事を運ばざるをえない
■家老が懇願した斉昭論書
「水戸藩の方針は幕府へ速やかな勅書返納である」と、その問題の焦点・激派長岡勢を説得する内容の斉昭書。家老たちは藩士たちを弘道館に集め、斉昭論書を掲げて説得に及んだ
■だが、しかし
斉昭自身が勅書を江戸藩邸から水戸に抱え込んで以来、何を諭されようが斉昭の本心は【勅書返納反対】なのだという憶測が藩内から消えることはなかった。斉昭・藩主就任以来その言動に深く影響されてきた藩士から、この忖度は消えない
水戸藩権力は依然として斉昭のところにある。水戸藩にも江戸慶篤にもどこにもない