♦️方便品は、十方仏土(仏の教化を受けるあらゆる場所)の中では
唯【一仏乗のみ】であることを説く
方便には3つある
■法用方便
衆生強化の方法として、衆生の機根に応じて、衆生の好むところに合わせて説法をし、真実の門に誘引する用をなし、利益をなす
■能通方便
〈方便の性質〉
方便とは真実の反対、別に真実がある
方便は真実ではなく、真実に入らせる門
方便の門を開いて真実の相を示す
※以上2つは
【正直に方便を捨てて、ただ無上道を説く】と説かれている方便の教えで、釈尊が42年間説かれたもの
■秘妙方便
㊙️ 【秘妙】 1
★法華経以前の経文で、【三乗即一乗法】ということを、秘して明かさなかった
★三乗とは、悟りに至る3つの道
※声聞乗→聞いて悟る
※縁覚乗→1人悟り、人に教えない
※菩薩乗→一切の衆生のために仏道実践をする
★法華経では、その秘方を打ち明けて、【三乗法即一乗法と顕した=〈妙〉】
【妙を便】と名づけ、この経が方便品と名づけられた
㊙️ 【秘妙 】 2
秘とは、仏と仏のみが知っていること
妙とは、衆生の思議難い境涯。だが衆生のその身、そのままが悠久の過去から仏〈完全な、自由自在な、不滅な命〉などだと気づくことが、秘妙方便
♦️すなわち
★法華経以前の方便は体外方便
仏は外に存在する
三乗別々
★法華経の方便は体内方便
私の中には仏性が存在する
それは私の命
三乗は即一乗仏
↓
この秘密
を顕すことを
【開三顕一と云う】
♦️方便品の行きつくところを要約すると、【教行人理の四一開会】
(教行人理で一仏乗を明かす)である
↓
四一で三乗即一乗を説く
↓
開三顕一
★教→仏の説いた教え
三乗即一乗
★行→修行法
菩薩道
★人→教を受け、行を修する者
二乗作仏
声聞・縁覚の衆生
★理→証道すべき法理(真理実践の法則)
四仏知見
仏がこの世に出現する最も重大な目的(一大事因縁)は、一切衆生に仏の知見を開き、示し、悟らせ、流入させるため
仏の一大事因縁=私の真理実践
♦️開三顕一には、略開三顕一と広開三顕一がある
■略開三顕一
十如是【相・性・体・力・作・因・縁・果・法・本末究竟等】の文
釈尊はインドで成道して、42年にわたり方便権教を説いてきたが、方便品では十如是を説いて、一念三千を明かし、権を開いて実を示した
釈尊は五千の衆に「増上慢の人は退いてもよい」とし、増上慢の人が退いてから、広開三顕一を説かれた
■広開三顕一
広く三乗を開いて一乗を顕す
真実の仏の教えは唯一つとして一仏乗の法を説かれた
三周の説法を説かれた【法説周・譬説周・因縁周】。方便品は法説周の正説
人生に対する目的観を教えるもので、【一仏乗=最高の幸福】を獲得することが、人生の最大目的であると説く
♦️衆生を最高の幸福に導く方法は、五仏〈十方諸仏、過去仏、未來仏、現在仏、釈迦仏〉同道
必ず三乗をもって衆生の機根を調熟し、最後に一乗の究竟法を説いて、仏の出世の功徳の終わりを示している