今本時の娑婆世界は常住の浄土なり
仏すでに過去にも滅せず
未来にも生ぜず
所化をもって同体なり
此れ即ち己心の三千具足
三種の世間なり
此の本門の肝心
南無妙法蓮華経に於いては
仏、文殊・薬王等にも付属し給わず
但、地涌千界を召して付属し給う
其の本尊の為体(ていたらく様子)
本師(釈迦仏)の娑婆の上に
宝塔空に居し
宝塔中の妙法蓮華経の左右に
釈迦仏・多宝仏・四菩薩
文殊・弥勒等は四菩薩の眷属として末座に居し
迹化・他方の十方諸菩薩は万民の大地に処して雲閣月卿を見るが如く
(公卿や殿上人を見るように)
十方諸仏は大地の上に処し給うは
迹仏迹土を表する故なり
かくの如き本尊は
在世五十余年に之れ無し
八年の間にも但八品に限る
正像二千年の間は未だ
寿量の仏有さず
末法に来入して始めて此の仏像出現せしむ可きか