鉄は炎打てば剣となる
賢聖は罵られて成るべし
我、今度の御勘気は
世間の失(とが)一分も無し
一重に先業の重罪を今生に消して
後生の三悪を脱ずるなるべし
涅槃経に
仏光明を放ち
地の下百三十六地獄を照らし
罪人一人もなかるべし
法華経の寿量品にして
皆成仏する故なり
但し謗法の者地獄守に留められたり
彼等が生み広げて
今の世の一切衆生となれるなり
日蓮も過去の種子
すでに謗法の者なれば
今生に念仏者にて数年が間
法華経の行者を見ては
未有一人得者千中無一と笑しなり
今謗法の酔い覚めてみれば
酒に酔う者父母を打ち悦ぶが
酔覚めて後嘆きしが如し
嘆けども甲斐なし
此の罪消し難し
過去の謗法、心中に染みける
烏の黒きも
鷺の白きも
先業の強く染みけるなるべし
外道は知らずして自然と云う
人を、謗法を顕して、たすけんとすれば、我身に謗法なきと強く珍答して、法華経の門を閉じよと法然が書いていると、とかく争いす
今年正月十六日、十七日
佐渡の国の念仏者等数百人
印性房と申すは念仏者の棟梁なり
日蓮がもとに着ていわく
「法然上人は法華経をなげうてよと
書かせ給には非ず
一切衆生に念仏を申させ給いて候
此の大功徳に往生疑なしと書付けて候を
山僧等の流されたる並びに
寺法師等よきかな、よきかなと
誉め候を、いかがこれを破し給う」
と申しき
鎌倉の念仏者よりも、はるかにはかなく候ぞ。無惨とも申すはかりなし
♦️るる訳
法然は「法華経をなげうてよ」とは書いていない。山僧たちが勝手に書いた。しかしそれを寺法師等が「よきかな」と誉めているのに、今さらこれを破れない