■1792年2月13日
フェルゼンはパリに戻りジャルジェ将軍(オスカル父)に会う
「ジャルジェ将軍、あなたは亡命もなさらずフランスにとどまって、国王陛下への忠誠をお誓いになられました。力を貸してください。私は今夜テュイルリー宮へ忍び込み、新しい逃亡計画を国王陛下にお話しするつもりです。私が殺されたら、、、あなたが後を継いで下さい」
■フェルゼン、まずマリーアントワネットに会う
フェルゼン家の紋章が彫ってある指輪をアントワネットの指にはめ
「未来永劫わたくしの妻はあなた1人です」
フェルゼンが命を賭けてテュイルリー宮へ忍び込んだその夜、二人ははじめて結ばれた。若い魂をうち震わせた初めての出会いから19年
二人を裁く者はただ神のみ
■次にフェルゼンは、アントワネット同伴の国王に会い新しい逃亡計画を国王に告げる
国王
「せっかくだが、私は逃亡計画を実行することはできない。私はフランス国民と、国民議会に対しもうパリから逃げ出さないことを約束した。国民との約束を破るわけにはいかない。それが国王としての最後のつとめだと思う
私は知っている。亡命した貴族たちが、私のことを決断力のない腰ぬけだと責めていることを
安全な場所から人を非難することはたやすいことだ。今まで誰も私と同じ立場に立たされた者はいなかった
いまや私は世界中から見捨てられてしまった
さあ、フェルゼン、夜が明けないうちにパリを発たれよ。今は私たちのために1つの命でも、1滴の血でも失って欲しくないのだ」
■マリーアントワネットも言う
「もはや、私たちは助かろうとは思っていません。危険から逃れるよりも、危険の中にあってこそより美しく女王らしくありたいと願っています。本当にありがとうフェルゼン、あなたが来てくれたおかげで勇気を持つことができました。立派な女王として死を待ちます。さあフェルゼン、戸口までお送りします。」
これが王妃マリーアントワネットと、スウェーデンの貴族ハンス・アクセル・フォン・フェルゼンとのこの世での最後の出会いであった