■朝夕の宮仕えにつけても
人の心をのみ動かし
恨みを負ふつもりにやありけん
いとあつしくなりゆき
もの心細げに
里がちになるを
いよいよあかずあはれなる者に思ほして
人のそしりをもえ憚らせたまわず
世の例(ためし)にもなりぬべき
御もてなしなり
※あつしく→病弱
※あかず→あはれの装飾
■朝夕の宮仕えにつけても
人の心をもませてばかりで
恨みを負うことが積もったのか
病弱になっていき
淋しげに頼りなさげな様子で
里帰りが多くなるので
帝はいよいよたまらなく不憫な者に思えて
人の非難にも気がねせず
世の話の種にもなりそうな
もてなされ方である