るるの日記

なんでも書きます

源氏物語「もののあはれ」魂があれば救われる気持ち

2022-11-14 07:27:12 | 日記
■帝、「故大納言の遺言あやまたず
宮仕の本意深くものしたりしよろこびは、かひあるさまにとこそ思ひわたりつれ、言ふかひなしや」
とうちのたまはせて
いとあはれに思しやる

帝、「かくても、おのづから
若宮など生(お)ひ出でたまはば
さるべきついでもありなむ
命長くとこそ思ひ念ぜめ」
などのたまはす

かの贈物御覧ぜさす
亡き人の住みか尋ね出でたりけん
しるしのかんざしならましかば
と思すも、いとかひなし

帝、「たづねゆく
まぼろしもがな
つてにても
たまのありかを
そこと知るべく」

※ものしたるよろこび→守ってくれた御礼

※かひある→宮仕えに出ただけのかいがある、せめて女御に、、

※さるべきついでもあり→若宮に立派な地位を与えて更衣に報いよう

※まぼろし→幻術師
長恨歌「能く精誠を以って魂魄を招く」

★「更衣には、大納言の遺言を違えないで、宮仕えを守ってくれたことへの礼に、それだけのかいのある女御にさせてあげようと、心にかけ続けてきたのに、、今はもう、、言うのも悲しい」
と言われながら、更衣の母君のじつに不憫な現状も思われ

「更衣が亡くなっても、若宮が成人すれば、しかるべき折もあるでしょう。長生きして、その時のためにこらえてほしい」
と言われる

女官命婦は、更衣の母君からの贈物をお見せになるが
帝は、これが亡き人の、魂の住みかを捜し当ててきた証拠のかんざしなら、、と思ってみるが、そんなことはないのだからと、余計悲しくなる

「たづねゆく、、
更衣の魂を捜しにゆく幻術師がいてほしい、、そうすれば、人伝にでも、その魂のありかを知ることができるのだから、、」

源氏物語・もののあはれ「望みが消えても、消えぬわが身」

2022-11-14 06:38:45 | 日記
■いと、かうしも見えじと
思(おぼ)ししづむれど
さらにえ忍びあへさせたまはず

御覧じはじめし年月のことさへ
かき集めよろづに思しつづけられて
時の間もおぼつかなりしを
かくても月日は経にけりと
あさましう思しめさる

※かくても月日は経にける
「身を憂しと
思ふに消えぬものなれば
かくても経ぬる
世にこそありけれ」
古今・恋五 読人しらず
わが身を「憂いもの」と思っても
消えるわけではない
だからこのまま憂い身で
過ごすのが世の中なのだ
望みが消えても、それに合わせて
わが身は消えぬことができない

★帝は、(更衣の母君のような)こんなにまで取り乱した様子は見せまいと、気持ちをお静めになるけれど、
少しもこらえることができない

更衣を初めて見た当時の事から
何から何まであれこれと思い続けている
生前は更衣が片時も側にいないと気がかりで仕方なかったのに、
こうして亡くなって側にいなくとも
「かくても月日は経にけり」と
あさましう思しめさる