郷土教育全国協議会(郷土全協)

“土着の思想と行動を!”をキャッチフレーズにした「郷土教育」の今を伝えます。

教員の「働き方改革」って何なの?

2018年12月08日 | 日記
教員の長時間労働が問題になっています。

今のこのクニにおいては、何も教員だけが働きすぎ(働かされすぎ)というわけではありませんが、仕事内容が将来このクニの立役者になるべき子どもたちに関わるものだけにあらためて考えるべき問題です。

学校教育においては知識教養を身に付けるだけではなく、人しての在り方を共に考え学び合う場としての役目もあります。
教員は「教える」者として重要な役割を担っていますが、子どもたちにとっては教員は人間として丸ごと対応する者として存在しているのも事実です。

ですから、教員は自身の日常の生き様そのものが子どもたちに反映していると言っても過言ではありません。
極端な話、お上の言うがままに行動し主体性も失った様な教員に対応する子どもたちは、多かれ少なかれ同様な生き方を志向しても不思議ではありません。

また、それとは別の観点から言うなら、教員の心身の健康状態も子どもにとっては大きな影響を受ける可能性があります。
例えば、多忙さに振り回されている教員のもとでは子どもたちまで心の余裕を失い、健全な発達が困難に陥ることさえあります。

したがって、教員の長時間労働は教員自身の問題にとどまらず、子どもたちにまで影響を及ぼすものとなるのです。

ところが、文部科学省の中央教育審議会は、「教員の働き方改革」を論議する中で次のような方向性を示してきました。
(以下、毎日新聞より一部抜粋)

「公立学校教員の時間外勤務の上限を月45時間と定めたガイドライン(指針)の順守を柱とする総合的な方策の素案をまとめ、6日の会合で示した。
学期中の勤務時間を一部延長し、夏休みなど長期休業期間に学校閉庁日の設定を促す『変形労働時間制』の導入も正式に明記された。
ガイドラインに罰則は設けなかった。」


なんと驚くことに、予め時間外勤務時間を設けて労働基準法で定められた勤務時間を超えて勤務させると言うのです。
つまり、「夏休み」等の子どもが登校しない期間の勤務時間を少なくして、学期中は合法的に勤務時間を延長しようというものです。

この発想はともすると受け入れられがちですが、トンデモナイ考え方です。
長時間労働を改善するのではなく、異常な状況にある現状を追認するための隠れ蓑を着せたに過ぎません。
これを「変形労働時間制」という企業論理で祭り上げようとするものです。

教員にとって「夏休み」こそ貴重な研修期間です。
授業をしなくて良い期間だからこそ可能な研修を自分から行うのです。
良い授業をするための準備期間でもあり、心身の健康を担保する自由行動期間です。

これを、企業論理で「繁忙期」に労基法を超えて働かせ、「閑散期」には勤務時間を縮減するという、いかにも整合性あるような表現をしてもまやかしに過ぎません。
教員の仕事をいかに愚弄・軽蔑しているかに気づいていません。

どんな仕事でも忙しいこともあれば、暇な時もあるのです。
「変形時間労働制」とは、労働者を休むことなく働かせるまさに奴隷法ともいうべきものです。


-S.S-

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