テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

クレルボ交響曲

2013-06-11 23:02:25 | 脱線して底抜け
フィンランドの作曲家、シベリウスの初期の交響曲です。
シベリウス自身は、まだ若い頃でもあるし、未完なところも見えていたのか、「独唱者と合唱、管弦楽のための交響詩」として譜面に記していたようですが、その内容、構成などから充分に合唱交響曲として認められている作品です。
このCDのライナーノーツに従い、”クレルボ”としましたが、現在では原語の発音にちかい、クッレルヴォ、クレルヴォと呼ばれることが多いようです。




フィンランドの国民的叙事詩、カレワラ(牧場の少女カトリなどで紹介されていました)のエピソード、剛力無双のクレルボについて唄われています。
不幸な境遇に生まれ育ち、剛力ばかりが空回りするクレルボが父に代わって務めを果たし、橇にのって旅する途中、3人の乙女に声をかけ、ことごとくふられてしまう。ところが3人目を無理矢理橇に乗せ、金銀を見せびらかして、籠絡し、思いを遂げた。ところがその乙女は、母とともに生き別れた妹で、彼女は身を投げて自殺してしまう。その後、クレルボは、父や自分の家系の簒奪者へ復讐を遂げるが、その部分は歌われず行進曲調の楽曲のみで表現される。怨敵を討ち果たしたクレルボは、妹が自害した水のほとりで胸を突いて自殺する。といった内容です。
音楽を言葉で表現するほど、難しいことはないので、この曲については興味のある方はCDなどを手にとって頂くとして、フィンランドについて少し触れたいと思います。
ご存じの方もおられると思いますが、北はラップランドから広がり、自国語では、国全体を指してスオミ、と言います。ジャパンと日本のような感じです。
カレワラはもともとは口伝の昔話で、19世紀に一人の医師によって、現在の形にまとめられました。柳田国男のとその著作のような感じです。ただ、その口伝説話の伝承されていた中心であるカレリア地方はほとんど旧ソ連に奪取されています。

ケケ・ロズベルグを嚆矢とするF1ドライバー、バタネン、マキネンなどのラリードラバーそしてノキアや高い教育水準でも知られていますが、私には、ラップランド地方、およびカレリア地方がスオミらしさであり、トゥオネラの白鳥などシベリウスの曲がそのイメージです。